祖母の着物

昨年春、亡くなった母方の祖母は、かなりの着道楽だったと聞いている。
福岡県内の田舎町で一生をおくった祖母。
女性の普段着といえば着物が主流だった時代に、
助産婦の職を持ち、祖父にも劣らないほどの収入を得ていた彼女は
いつも上等のスーツに身を包み、
ハイヒールで町中を闊歩するような女性だったらしい。

戦後まもなくの、しかも田舎でのこと、かなり目立つ存在だったろう。
時代の先端をいくハイカラな祖母だが、
洋服だけでなく着物もたくさん持っていた。
（残念ながら私の記憶では洋服姿の祖母しか思い出せないが）

母曰く、
「緑で竹が描かれた銘仙を持っていたはずだけど、どこにいったのかしらねぇ。」

気前が良かった祖母、喜ばれると親類縁者に惜しげ無く着物を配っていたそうな。

いいなぁ・・・祖母の着物欲しいなぁ・・・。

母の弟夫婦（叔父、叔母）と同居していた祖母だが、
息子である叔父を１昨年、
そして叔父の死後も祖母の面倒をみていた叔母（叔父の妻つまり嫁にあたる）が、
そのわずか一年後に突然、くも膜下出血に倒れ、還らぬ人となった。

痴呆の症状のある祖母に、そのことをどう伝えるべきかと親戚一同頭を悩ました。
特に実の娘以上に嫁である叔母を可愛がり、頼りきっていただけに、
とても本当の事は告げられなかった。

しかし、叔母の葬儀からわずか２週間の後、祖母は入院先の病院で静かに息を引き取った。
実家に戻っていた私のいとこは、
わずか1年の間に自分の両親と祖母の３回、立て続けに葬式をあげることになった。

叔母の1周期の法要に出かけた母が、遺品を整理していたいとこに
私が着物にハマっていることを告げてくれた。
するといとこ、「私は着物に全く興味がないから、全部持っていっていいよ」
と言ってくれたらしい。
まさか叔母の着物を実の娘であるいとこを差しおいて私が貰うわけにはいかないので、
せめて祖母の着物だけでも貰いたい、と
この週末、母の里、瀬高に出かけてきました。

帰りはこの大荷物


詳しい模様は後日


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