2011四大陸選手権 女子の感想

今シーズン初戦、NHK杯を見て男子と比べ、女子の仕上がりがまだまだと感じた私。

それが４大陸選手権では、男子に負けない見応え十分な戦いを見せてくれた。 後半グループ一人目のレイチェル・フラット。

今シーズンで一番の滑りだったのでは！？

私にとってレイチェルのイメージは典型的な「元気で健康的なアメリカ娘」。昨年の全米選手権優勝の若手実力者ではあるけれど（今年は２位）、Ｇシリーズでは今ひとつ演技に身が入っていないという印象があった。NHK杯で2位と台乗りを果たしつつも、感動が伝わらない、自己満足で終えてる気がしてならなかった。その彼女も４大陸では見事なショートを演じてくれた。曲に乗っているし、最後までスピーディーで迫力のある演技だった。フリーではジャンプが綺麗でなかったけど、昨今の彼女の滑りの中では、良かった方だ。強かったのはレイチェルだけではなかった。

次に登場した長州未来ちゃんは好調のレイチェルをさらに上回る演技だった。ワールドへの枠を２つに減らしたアメリカ、全米選手権優勝では３位に終わり、出場権を逃した未来が、その雪辱をはらさんとばかりに気迫の演技を見せてくれた。ショートが良くてもフリーで崩れてしまうことが多かった未来けれど、今回は、フリーでより実力を発揮した。キレのあるジャンプ、美しいスピン、彼女の持ち味を十分に出し切ったように思う。

「（代表に）未来を選べば良かったと言われるような演技をする」と公言し、見事にそれを果たした。まだ若い彼女は、次に必ずこの経験を生かしてくれると思う。

そして何と言っても美姫。シーズン途中で変更したショートプログラムを短期間で見事に仕上げた。

初戦となった中国杯の時、

「今シーズンは安藤美姫のシーズンになるのでしょうか！！」

と興奮気味にアナウンサーが実況したが、大げさな言葉ではなかった。あの頃、素人目には完璧に思えた演技も、ダウングレードをとられたり、スピンの基礎点を低く抑えられたりと点が伸び悩んだが、それら課題の１つ１つを克服していったのだろう。

そしてスローテンポの優しい曲も演じられることを証明した。にっこりと優しい笑みを浮かべるその表情一つをみても、技術だけでなく、表現するスケーターへと成熟したことが解る。

フリーは、全試合完璧。自信に満ち満ちた女王の貫禄を、今回も見せつけてくれた。後で知ると体調は良くなかったらしい。そういえば、ロシア杯の時も練習で怪我をして痛々しいサポーター姿で試合に臨みながらの優勝。

どれだけ強くなったんだろう美姫は。誰もが納得する完全優勝でありながら、

「完璧ではない、まだまだ課題はある」と答えていた。

キスクラで有頂天に喜ぶ姿が見られなかったのはそのせいか。大輔も同じ事を言っていたし、その向上心と謙虚さが日本人選手の強さの源になっているんだろうな。

そして真央。

ショートの直前練習で転倒があったらしく、不安がよぎったのか３Ａの着氷でバランスを崩すシーンが見られた。

それでも全日本の時よりさらに良くなっていたと思うし、私やっぱりこのタンゴ大好きだ。誰よりも難易度の高いプログラムだと荒川さんが言うように、後半のステップ、ビールマンスピンと、どこを見ても迫力満点で飽きさせない。新衣装もフラメンコっぽくて良かったけど、大人のタンゴだからメイクはもっと濃くして、真っ赤なルージュがいいと思う。ベージュ系の口紅は顔色が悪く、元気無さそうに見えるから表現面でマイナスかも。

翌日のフリーは、今シーズンで初めてのノーミス。前日失敗した３Ａはすごい高さで見事な着氷、残りのジャンプも難なく決めた。

こうなると真央の流れは止まらない。愛を夢見る可憐な乙女を、優雅に繊細に演じきってくれた。

連続ジャンプで回転不足の判定を受けたようだけど、今出来ることを全て出し切った真央は飛び跳ねて喜びを表し、見ている者まで幸せな気分にしてくれる。

「順位よりも自分が満足できる演技をしたい」と言っていた真央、２位に終わったけれど心からの笑顔が見られた。ジャンプの矯正という難題に果敢に挑んだ彼女、また一つ強くなった。矯正には数年間の時を要するだろうと覚悟していた佐藤コーチも、真央の進化のスピードには驚嘆したという。やはり並みの選手ではない。フィギュア初心者のように基礎から練習を重ねてきた真央の素直さが実を結んだのだろう

男女ともに日本人１，２フィニッシュ、３位にアメリカで表彰台を飾ったが、女子は日本人が３人揃ったとも言える。（未来ちゃん、米代表だけど日本国籍も所有しているから）

やっぱり最強だよ日本フィギュアは

シズニーとあっこちゃんはジャンプが決まらずに少し残念な結果だったけど、二人とも素晴らしい表現力の持ち主。シズニーはワールドに向けて、そしてあっこちゃんは来期に・・・輝きを放ってくれると信じている

いよいよひと月を切ったワールド、本心を言えば、真央に優勝して欲しいけれど、美姫が真ん中でも十分嬉しい。日本人最強のスケーター二人が火花散らせ、四大陸同様、１，２フィニッシュを飾って世界を羨ましがらせたい。（勿論、佳菜子が食い込めばもっとすごいけれど、他国の選手も頑張って欲しいし・・若い佳菜子はまだまだ先がある。今回は初めてのワールドを思い切り楽しんで滑って欲しい）