着物で文化人気取り

諸事情により最近は着物を着る機会が減り、
ネタも様変わり
日々感じたこと、本、映画など
思うままに書き綴っています

巨星逝く

2009-11-15 23:28:16 | エンターテイメント
また一人、
子供の頃から馴染んでいた名優が旅立ちました

森繁久弥さん、老衰のため死去。
享年96歳。
大往生と言えるでしょうが、もうあの演技を見れないかと思うと寂しい思いがあります

最近はテレビ画面から姿を消していたけど、
少し前まではあらゆるドラマで名演技を見る事が出来ました。

少し年配の方たちは映画「社長シリーズ」が思い出されるようですが、
私が好きだったのは
小学生の頃のTV番組、「だいこんの花」シリーズ


竹脇無我さんと親子の役を演じていて、
今は少なくなったホームドラマでしたが、
とにかく親子の会話が面白くて毎回家族で楽しく観ていました

もともと喜劇役者だっただけあって、
コミカルな演技は他の役者さんとはひと味違っていましたが、
喜劇以外にもその才能は発揮されていて、
私の記憶に残るのは司馬遼太郎の「関ヶ原」で演じた徳川家康。
したたかな策謀家を見事に演じられ、別の側面を見せつけられた思いがしました。

その後は
かつて恒例だった日本テレビの年末時代劇スペシャル。
第1回目の「忠臣蔵」で吉良上野介を演じた時も、
それまでのただ憎らしい悪役のイメージから、
風流人・文化人であった上野介像を構築されました


お年を召す毎にその演技はさらに円熟味を増し・・・

記憶に新しいところでは、「もののけ姫」の乙事主(おっことぬし)
人ならぬ、さらに自然に近い生命体の声をどう解釈して演じようと思ったのか、

当時TVでそのアフレコ風景を観ましたが、
宮崎監督の要求をすぐに理解し、要求以上の演技をする森繁さんに
監督以下感嘆の声を漏らしていたのを記憶しています
そのころ既にかなりのお年で、付き添いに支えられてのスタジオ入りでしたが、
演技の勘は全く衰えていなかったようです

もって生まれたリズム感というのでしょうか、
どんな役も彼独特の節回しから生まれる間の取り方は絶妙でした

今回、ワイドショーや追悼番組で、
役者として以外の様々な顔も知ることになり、その才能の豊かさに驚愕しています

加藤登紀子さんが歌う「知床慕情」を作詞作曲され、
以前はご自分で歌われていたとか

書の腕前にも長けていて、大河ドラマの題字も手がけていました。
さらにその豊富な知識、教養から生まれた著書も多くあったようで、
人間性の奥深さを垣間見る思いです

素敵なジィ様です
しゃれっ気があって、
毒舌で
お茶目で
エロで
優しくて・・・

あんなチャーミングな役者さんはもう二度と現れないのではないでしょうか。
生きてきた背景が、今の人たちとはあまりにも違いすぎるから。

一度で良いから森繁久弥演じる
「屋根の上のバイオリン弾き」生の舞台で観てみたかったなぁ・・・

ご冥福をお祈りします

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