今日の栗橋さん

つらつら書き綴りますよ?

セデック・バレ 太陽旗/虹の橋

2013年05月05日 | 映画

GW後半初日に鑑賞。

 

『セデック・バレ 太陽旗/虹の橋』

 

2部構成、合計4時間半のオリジナル・フルバージョンですw

1930年に日本統治下の台湾で起こった暴動「露社事件」を扱ったお話ですが、いわゆる“反日”“抗日”的な要素は殆ど無いです。

事件が起こったのも価値観というか文化的アイデンティティーの相違が根本にある感じに描かれていて、単純に日本=“悪”という描き方ではなく、淡々と事象を積み重ねていきます。

まぁ、暴動を起こすセデック族は山岳狩猟民族にしていわゆる“首狩り族”なワケで、『狩場は命をかけて守れ』『敵の首を狩って初めて一人前の男』という、勇猛にも程がある皆さん・・

 

しかも『死後、一人前の男の魂のみが虹の橋を渡った向こうにある先祖の待つ家に入れる』という死生観なワケで・・

 

つまり日本側に首狩りを禁止されて狩猟生活から文明的な生活にシフトさせられたら『一人前の男』になる機会を奪われ、ひいては死後に虹の橋を渡れないワケになることに・・

 

↑狩った首を破棄させられるのに抵抗する若き主人公w というかどんだけ首狩ってたんだww

ちなみに彼の顔にある刺青が一人前の証です。なので日本統治後の若い衆には刺青がありません。なぜって首が狩れないから・・

 

対する統治者たる日本人の大部分の態度も「野蛮人を教育してやっている」というあまり誉められたものではない感じですが、それも無理なきことかと・・

暴動の引き金になった事件も、セデック族の結婚式の宴に通りかかった日本人警官を族長の息子が宴席に誘ったものの、当の警官が頑なに固辞しあまつさえ殴りあい、というか警官がボコボコにされたというもの・・

文字で見れば警官が無礼すぎるわけですが、じっさい映像にすると宴会中に解体した牛の血で血まみれ姿&進める酒も口かみの酒(米を咀嚼して瓶に戻して発酵させたやつ)で、しかもセデック族の習慣の“2人で顔をくっつけて一つの杯を飲む”をやらされそうになるという、そういうのが無理な人には絶対に無理なおもてなしw

やっぱりこういう異郷の地に赴任するのに向き不向きってあると思うんですよね・・

 

だってそれなりに上手く付き合ってた人もいたわけなのでねぇ・・

 

で、うっぷん溜まってたのもありますがそれがきっかけで「日本人に仕返しされる前に殺ってしまえ」と、露社で開催されていた運動会に殴りこみをかけちゃうことに・・

(映画の中では、日本側にこの件でどうこうしようという動きは一切無かったりするんですが・・)

『血の宴じゃぁぁ!!!ホォォォ!!!!』とばかりに若い衆は首をポンポン狩っていきます。日本人なら女子供関係なく・・

で、皆で嬉々として顔に刺青を入れていきます。 やっと一人前の男になれたわけなので・・

 

ただ、暴動を率いた筈の族長さんはなぜか疲れきった顔で座り込んでいたのが印象的でした。

 

初めから日本に勝てる筈が無いのはわかってるわけです。皆さんバカじゃないので。

でも戦わなきゃいかんかったんです、自分たちの価値観的に。

なので、蜂起したメンバーは死ぬまで戦い、残った者は自決するという壮絶な結果になり、討伐にあたった日本の将軍をもって「彼らの中に侍魂をみた」と言わしめるまでに・・

 

 

とにかく見ごたえ充分の傑作です。4時間半があっという間でした。



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