門前の小僧になりたいくらげ

学究的な空気に憧れて専門家の周りに出没しては雑感を綴るブログ。化石鉱物系がやや多し、の予定。

阿寺断層遠望〜2017.10.15学芸員と歩くふるさとの大地「東濃編」その2〜

2017年11月01日 | 古生物学・地学

 地学講座のバスは中津川市山口、弥栄橋(いやさかばし)交差点(国道19号と国道254号の分岐点)付近の弥栄ループ1号橋で止まります。 ここが本日最初の目的地で、阿寺断層を遠望できます。

  ループ橋からざっくり言って西方向、坂下の町を見たところの写真です。くらげびとに写真加工の技術がないため矢印などで示せないのが申し訳ないのですが、画面中央付近、山の手前に横たわってる丘が真ん中でぶつんと途切れているのがお分かりでしょうか?そこから手前の木曽川河岸の竹薮の右の方までが阿寺断層のずれを観察できる部分です。まるで薄皮(土砂・樹木や家屋)が張った状態の大地の切り傷のようです。そして周辺の地形がブロックを積み重ねたように段々になっているのはここが木曽川の河岸段丘の特徴をよく示した場所でもあるからです。国土地理院の公式サイト内に阿寺断層崖の3D画像を見られるページがありますので下にもリンクを貼っておきます。

 なお、「阿寺断層」は今回の講座の主題になっている下呂から中津川にかけて走る断層の名であり、その阿寺断層と左見断層帯、白川断層帯からなる断層帯全体の呼称でもあるため、混同を避けるために単に「阿寺断層」という時は後者を指し、前者を示す時は「狭義の阿寺断層」と表記することもあるそうです。他にも断層系という表現があったり。断層帯と断層系に各々どの断層を含めるのかが研究によって違ったり。何がポピュラーな表現なのかよくわからない、というのがくらげびとの正直な感想です。いずれにしても大地が受ける大きな力の片鱗をうかがうことができる場所で、いただいた配布資料によるとここは「日本で最初に活断層の正確な運動像が確認された場所」となっているそうです。ちなみに断層とは「大地にかかる大きな力によって岩盤や地層が割れ、割れ目に沿ってずれているところ※」のことです。

 

 

「第16回企画展解説書 阿寺断層ー活断層のわかったこと・わからないこと」Sep.2012 中津川市鉱物博物館刊 p1 より引用

 参考:国土地理院公式サイト内→地図・空中写真・地理調査>主題図(地理調査)>日本の典型地形について>1.地殻の変動による地形

   学芸員と歩くふるさとの大地「東濃編」配布資料 Oct.15.2017 岐阜県博物館刊

   「第16回企画展解説書 阿寺断層ー活断層のわかったこと・わからないこと」Sep.2012 中津川市鉱物博物館刊

   ミュージアムレクチャ−2008「阿寺断層がやって来た!」Oct.28.2008 中津川市鉱物博物館刊