TAKE IT EASY

~Don't think,feel.

#214.授かった命は預かった命

2007年03月04日 00時11分08秒 | 2004-2019
あったかい番茶 飲んでる

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さすがにわんだふるじゃない こんばんわ。

おととい夕方、息子さんが突然高熱を出しました。あたふたするわたしの腕の中で、みるみる様子がおかしくなって、目つきがおかしくなりました。どんどんうつろになって白目むいてました。

結果的には、熱も落ち着いて、入院することもなく、今は薬も手伝ってぐっすり眠っています。喉も少しはれているようで、おそらく風邪だろうってことで大事には至らず。

はじめてこのとに、おろおろしながら、たくさんの経験をしたので、まだいろいろ消化できていないのだけれど、記憶がうすれないうちに記録として残しておこうと思います。

*****

その日は午前中、母に息子さんを見ていてもらってずっと行きたかった鍼灸院へ。そんなことになるとは知る由もなかったので、いつもならおっぱいあげてミルクあげて、ちょうど3時間~4時間の間隔になるよう授乳量を調節するのだけれど、ホント、こんなときに限って、初めてミルクオンリーで母に預けていきました。

帰ってくるとすでにミルクを飲み終ったあとで、その量が微妙に中途半端だったので、その後、ぐずぐず言っても、それがSOSと気づかず、お腹が空いているのだと思ってしまいました。

午後は3時頃に友だちが息子さんに会いにきてくれるというので、時間を調節しておっぱいをあげてみるものの、なんだかぐずぐず。それなりに飲んだけど、寝かせてもすぐに起きて泣き出してしまうし、今思えば、こんときからすでに様子がおかしかったんだよな。

友だちが来て1時間くらい息子さんをだっこしながらお話ししてたけど、その間中、やっぱりぐずぐず。眠りかけては目をさまして必死に体調が悪いのを訴えてたんだ、これも今思えば。

友だちが帰って息子さんをだっこしてみるとなんだか少し身体が熱いような気がして熱を計ってみると、体温計のデジタル表示が恐ろしいスピードでぐんぐんあがっていく。

この時点で熱は38.8℃。

こんなときに限って実家には2人きり。とりあえず母や姉に電話してみるもつながらず。

息子さんは、不調をやっとワタシに気づいてもらえたと安心したのか、火がついたように泣き出しました。

どうしよう。

その状況がどの程度のことなのかさえ、よくわからない。

なにかあるとすぐに大騒ぎするワタシだから、また、「熱くらいで大騒ぎ」なのか。

でも、息子さんの様子を見ていると、ただごとじゃない感じがした。どこがどういうふうにってのは分らなかったけど。

ワタシの判断にかかっている。

そう感じた瞬間なんかふるえてきた。

まずは、息子さんをだっこしたまま、出産した総合病院へ電話する。

「小児科にお電話まわしてください」
「用件は?」
「3ヵ月半なんですけど。高熱が。みてもらいたいんです。」
「うち、(医師不足で)緊急外来やってないんです。」
「じゃあ、どうしたらいいんですか。」
「お近くの開業医さんを探して行かれるとか...」

なんかそんなことを言われたと思う。

怒りにまかせて電話を切る。

その頃に息子さんがぴたりと泣き止んだ。

いやな予感がした。だっこしている息子さんの体温がますますあがっているのが、腕に伝わって来る。

心配そうにワタシを見上げている。

...と思ったら、その黒目がワタシよりもっと高いところへむかっていった。

え。白目むいてる。

....。

ワタシの全身が震える。

なぜか救急車を呼ぶってことにあたまがまわらなくて。

ふと思い出した。先日。3ヵ月検診で、保健所のひとが、なにかあったら保健所へっていってた。

急いで母子手帳をもって来て保健所へ電話。

「この近くですぐにかかれる小児科を教えて下さい。緊急ですぐにかかりたいんです!」
「お待ち下さい」

...無情に流れ続ける陽気な保留音。

正直、息子さんの顔を見るのが怖かった。このままもし...。

「お待たせしました。うちではわかりませんので」
発狂。
あまりよく覚えてないけど、多分今の状況を必死に説明したんだと思う。

結局、緊急医療情報センター?みたいなところの電話番号を教えてもらった。

もうそこに電話するころには指がふるえてうまく番号がおせなかった。

息子さんは泣きわめいたり、ぴたっと泣き止んだり。わたしの動揺が伝わるのか、泣き声は今まで聞いた事がないような声だった。

保健所で教えてもらったところに電話すると、うちの近所らしい小児科を一件教えてくれた。住所を聞いたけど場所の見当がつかない。どのあたりか尋ねると、また、少々お待ち下さいと言われたので、急いでお礼だけ言って電話を切った。

次にその小児科に電話。

すると返ってきた答え。
「うち、完全予約制なんで」
絶句。
どうして?これだけ緊急でってお願いしてるのに。
発狂。
狂気。

とにかく、とにかく、と懇願。

するとまた、陽気な保留音。

この一連のやりとりで一体どのくらいの時間がかかったんだろう。

もし、この間に息子さんになにかあったら。

今、そう考えても鳥肌がたつ。

結局、ホント、あからさまなしぶしぶで、みてもらえることになった。場所を聞く。聞いてみると、歩くには遠く、でもタクシー呼んだら待ってるより走ったほうが早い...と思って、電話を切って気づいたらベビーカーに息子さんを乗せてた。

実際走り出してみると。

病院が。

ものすごい坂の上の上にあることがわかった。

ベビーカー押して。

泣きながら。

大激走で。

坂をのぼりきる。

ちょうど夕方で、犬の散歩してる人がみんな立ち止まってふりかえってた。

今になったら笑い話しなんだけど。
とにかくすごい形相ですごい勢いだったの。

でも、どうでもよかった。そんなこと。

到着してみると。こぎれいな病院。このあたりの住宅街のマダムたちが子供連れて待ち合い室に座ってた。

そこへ。すごい形相のワタシと。息子さん。

そしたら受け付けのねーさんが。

「じゃあ、まずこちらの問診票に記入して...」

また発狂。んなもの書いてる場合じゃない。

息子さんの目を見たら、さすがにすぐに処置室へ通してくれた。

ベビーカーおしながら走ってるときに不在着信を見て電話をくれた母が。自分はすぐいけないからと、たまたま職場が近かった姉のだんなさんをこの病院へ向わせてくれてたおかげで、問診票を書いている間に義理のお兄さんがかけつけてくれた。

「おかあさん、すぐ中に」

処置室から看護師さんがとびでてきた。

なんだ、なんだ、なんだ。

泣叫ぶ息子さんを直視できなかった。

あいかわらず目がうつろだった。

先生に状況を話すと、「うちでは対応しきれないので、大きな病院へ」とのこと。なんてこった。

最初に息子さんが生まれた病院へ電話したら断られた旨を告げると、

「僕が紹介状書いて電話すれば受け入れてくれるから」と言われた。

同時に「すぐに入院になると思うけど」とも言った。

その場で先生が電話。

その後の先生のひとこと。

「満床で受け入れてもらえないそうなので、とりあえず血液検査とインフルエンザの検査します」

どういうことなの。

すぐにでも入院しなきゃいけない状況なのに、満員だから断られたってこと?そういうことでしょ?

こんなとこでのんびり検査受けてていいんだろうか。

このあと、なにを話したか、あまりよく覚えてないんだけど、先生からは耳を疑いたくなるような言葉をなんこか聞いた。

「うちでは、本来、こんな緊急の子供を見ませんからね。」

とか。

結局、血液検査の結果、細菌などからくる悪い発熱ではなさそう...とのことで紹介状を渡されて家に戻される。

今晩、熱がさがらなかったら、これもって息子さんの生まれた病院へかけこめって言う。

どのタイミングでいったらいいんですか?
っていうようなことを聞いたら、それが一番むつかしいんですよね。

え。それが答え?

ってなやりとりもあった。

義兄さんに送ってもらって家へ帰る。

結局、なんの対処もなんの解決もないまま。

家へ戻ると再び母から電話。

そういえば。ワタシがお産で入院したとき。偶然、母の知人がその病院の産婦人科の看護師長さんと知り合いで、声をかけてもらったおかげで、とってもよくしてもらった。

母が先にそのことを思い出して、連絡をとってくれた。

「たのんでおいたから、とにかく連れていきなさい」

急きょタクシー呼んで向う。

病院につくころには息子さんはずいぶん落ち着きはじめていた。

その看護師長さんも、帰宅する寸前に母からの電話を受けて、到着を待っていてくれた。その間に、これまた帰宅直前の小児科の先生をひきとめて。

実は、偶然、最初に行った個人病院の先生からの電話を受けたのもこの先生だった。あとからこの先生に話しを聞いたら。

ここの先生、要は、予約制なんて悠長に診察していて、ちょっとでもなにかあると、すぐにこの病院へ患者を送り込んで来るんだとか。で、怒ってるんですよ、総合病院の先生は。

で、そのやりとりのときも。「とりあえず検査はそちらでしてください。その上で問題があったらまたお電話ください」って電話を切ったのだそう。

でもね。わたしにしてみると。そんないがみあいとか。関係ないんですよ。実際、この病院の受け付けの人だって、「近所の開業医探して行け」って冷たく電話切ってるんです。

でも、ここで出会ったこの先生個人は。ホントに良い先生で。

息子さんをしっかり見てくれながら。いろいろなことを教えてくれました。

「びっくりしただろうけど。これから、こんなことは数えきれないほどおこるんだよ。」そういいながらワタシが目にした息子さんの症状ひとつひとつをしっかり聞いて、診察してくれた。

「今はパソコンやら育児書やら情報がいっぱい。おまけに、昔とは世間が違う。だからこそ、お母さんが自信をもって育児をしなさい」

なんか、はりつめていたものがふとゆるんでワタシは必死に涙をこらえてました。

結局、どうも少し喉がはれているし。風邪、かな。って程度にしかわからないけど。

結果、次の日から少しずつ熱もさがってきて。息子さんの表情ももどってきた。

先生が言った世間の違い。

これって。

「昔はね、身近なひとも、近所のおばちゃんも、「ほれ、うちで晩ゴハン食べていき」とか。そういうのがあたりまえだったけど。今はね、「あんたのやりかたがまちがってんのよ」とか。
こうしないからよ」とか。協力ってのが口出しに変わっちゃったんだよね」みたいなこと言ってた。確か。

*****

これが、おおかた、ことの顛末。

結果論だけど。
風邪ひかせちゃって。熱でて。わたしが大騒ぎしすぎた。
みたいなことを。
遠回しに言う世間のひともいた。結構身近にも、ね。

でも。息子さんのあの表情と。あの目。
今思い出しても。
泣けてくる。

病院や。医者や。世間に。
思うことや感じることも。怒りも。感謝も。
たくさんあったのだけれど。

なによりも。
まずは息子さんが回復しつつあって。

ホントよかった。

正直、その他まであんまあたままわらないんだよね、まだ。

しぶしぶながらとくべつに診てくれたから感謝もしなきゃならないけど。怒りがあるのもホントだし。

良い医者にあたりながら。あんたんとこの受け付け、こんなふうに電話きりましたよってのもホントだし。

なんかね、まだ、今はよくわからないんです。

とりあえず、事実の記録まで。

(追伸)コメントへのお返事は、また後日いたします。遅れてごめんなさい。