つれづれギャモン日記

バックギャモンに関する日記です。面白いポジションや大会、例会の結果などを徒然と書いていきます。

パラドックス

2013-01-23 11:55:56 | 日記
バックギャモンはダイスを使うゲームのため運によって勝敗が大きく左右されます。ただし長い目で見れば運は全ての人に平等であり、トータルでは強い人が多く勝ちます。
今日はこの運に関する問題です。


AさんとBさんが1ポイントマッチをするとします。1ゲームの間にAさんは10%勝率を落とし、Bさんは20%勝率を落とします。単純に考えればAさんの勝率は50-10+20=60%と求まりますが、運は平等という観点からもう少し冗長に求めてみましょう。

ゲームの開始時にはお互いの勝率は50%ですが、勝負が終わった時にはそれが0%か100%になり、50%がエラーと運で変動します。二人の犯すエラーの差が10%なので、Aさんが勝つ時は40%の運を、Bさんが勝つ時は60%の運を得ます。
これではBさんの方がラッキーなように思えますが、これは二人の間の勝率の違いによって補われます。長い目で見て二人の得る運が平等になるためには、AさんとBさんの勝率が6対4である必要があります(6×40=4×60より)。したがってAさんの勝率は60%でBさんの勝率は40%となります。



ところでコンピュータでマッチの解析を行うと、何%の勝率を運によって得られたかが計算されます。コンピュータの解析も厳密には正確ではないので多少の誤差はありますが、このLuckの推定値も実は平等になるようにできています。

コンピュータが一手以上先読みして局面評価する時、ダイスをロールする前の期待値は36通りの目が出た後のそれぞれの期待値の平均で求められます。
またダイスの目によって変動する期待値がLuckに相当します。
したがってコンピュータの局面評価が正確か不正確かに関わらず、Luckの期待値は必ず0となります。


それでは人間のCさんとコンピュータが対戦する場合を考えてみましょう。
コンピュータの手はコンピュータで解析すると勝率を1%も落としません(解析に用いる評価器は対戦の時と全く同じとします)。一方Cさんの手はコンピュータと全く同じ手を選ばない限り、解析によれば何%か勝率を落としてしまいます。仮にx%落とすとしましょう。
すると解析によれば、Cさんが勝つ時は(50+x)%のLuckを得て、コンピュータが勝つ時は(50ーx)%のLuckを得ます。

またCさんとコンピュータが得られるLuckの期待値は先ほど述べたように双方必ず0になります。長い目で見てLuckが0になるために、Cさんとコンピュータの勝率はそれぞれ(50ーx)%、(50+x)%になります。xは0以上の数字なので、したがってCさんはコンピュータに対して勝率で上回ることは決してできません。


問題: 上の文章から得られた結論は明らかに誤りですが、一体どこに論理的な欠陥があるのでしょうか?