つれづれギャモン日記

バックギャモンに関する日記です。面白いポジションや大会、例会の結果などを徒然と書いていきます。

テイクラインがギザギザする本当のわけ

2013-12-15 10:24:05 | キューブアクション
今回は2Away-NAway(もしくは逆)のスコアでテイクラインがNに応じてギザギザに振動する理由について述べます。相当マニアックな話題なので、全く関心がない普通の方はどうぞスキップしてください。

テイクラインのグラフを以下に再掲します。横軸がN[point]で縦軸がテイクライン[%]です。

NAway側がキューブを受けた時のテイクライン


2Away側がキューブを受けた時のテイクライン


このように1%程度の振れ幅で振動しています。ではなぜグラフがギザギザするのでしょうか?
結論から言いますと、1Away-NAwayのマッチエクイティテーブル(MET)のグラフがギザギザしているからです。

1Away-NAway PostCrawfordのマッチ勝率


1Away-NAway Crawfordのマッチ勝率


上のグラフはPostCrawford/Crawfordそれぞれの場合のマッチ勝率を表しています。横軸がN[point]で縦軸がトレイラー側のマッチ勝率[%]を意味します。
PostCrawfordのグラフを見るとNが1と2、3と4、5と6・・・の場合でそれぞれ勝率が同じくらいになっています。これはどうしてかと言うと、例えば1Away-2AwayのPostCrawfordではトレイラーが最初から2倍キューブを打つので、実質1ゲームでマッチが終了します。したがって勝率はほぼ50%になり1Away-1Awayの場合と変わらないのです。ただしフリードロップの権利がリーダー側にあるので、少しだけ50%を下回ります。Nが3以上の場合も同様の理由で、1Away-(2n)Awayと1Away-(2n-1)Awayのマッチ勝率は同程度になります。
こうして考えるとPostCrawfordの場合はNが偶数の方がトレイラーにとって美味しいスコア、と言うことができます。奇数の場合(1Away-(N-1)Away)と比較してスコアが1点少ないにも関わらず、勝率がほとんど同じですから。

次にCrawfordのマッチ勝率を注意深く観察すると微妙にギザギザしていることがわかります。本当に注意深く見ないと気づかないのですが、Nが奇数のとき少し高め、Nが偶数のとき少し低くなっています。つまりCrawfordの場合はNが奇数の方がトレイラーにとって僅かながら美味しいスコアと言うことです。これはPostCrawfordのグラフがギザギザしている理由と関係しています。CrawfordのときNが奇数の方が、トレイラーが勝つ場合は大抵シングル勝ちで1点を得るので、1Away-偶数Away(PostCr)の美味しいスコアになりやすいです。したがってCrawfordでは奇数Awayの方がリーダーのマッチ勝率が高くなります。勿論ギャモン勝ちしてPostCrawfordでも1Away-奇数Awayになるケースもありますが、ギャモン勝ちは5回に1回しか起きないのでその影響は小さいです。


ではNAway-2Away、2Away-NAwayのキューブアクションに話を戻します。まずNAway側(トレイラー)がキューブを受ける場合、Nが奇数のときにパスするとトレイラー側に有利な奇数Away-1Away(Cr)のスコアに導くことができるために、パスしやすくなります。逆にNが偶数のときにパスするとトレイラーにとって不利な偶数Away-1Away(Cr)になるので、それを避けるためにテイクしたくなります。したがってNが奇数のときテイクラインが低く、偶数のときにテイクラインが高くなるわけです。

2Away側(リーダー)がキューブを受ける場合は少し話がややこしくなります。リーダーは1Away-偶数Away(Cr)のスコアに誘導したいので、Nが奇数の場合はパス、Nが偶数だの場合はテイクすることによってトレイラーのスコアを偶数Awayに維持したいです。そうすれば自分がキューブを打って相手を降ろしたときに1Away-偶数Away(Cr)になりますから。ただし、これはNが十分に大きいときの話でNが10以下になると今度はリーダーにとって最も嫌な2Away-4Awayのスコアを避けたいので、トレイラーを奇数Awayに維持したくなる方向に働きます。2Away-5Awayだとかなりテイクしやすく、2Away-6Awayだと逆にパスしやすくなります。Nが7から10の間では2つの要因が互いに打ち消しあうので、この範囲ではグラフが滑らかになっています。


結論:
・トレイラーは1Away-奇数Away(Cr)に誘導したい。逆にリーダーは1Away-偶数Away(Cr)に誘導したい。
・リーダーがキューブを受けるときは2Away-4Awayを避けるようにする。ただしNが十分大きければ、最終的に1Away-偶数Away(Cr)になるように2Away-偶数Awayに誘導したい。
・こんな細かい知識を持っていても強くなるわけではない。


2Away-NAwayのテイクライン

2013-12-12 21:06:51 | キューブアクション
今回はスコアを逆にして2Away-NAwayの2倍キューブのテイクラインについてお勉強します。自分が2Away側で相手からキューブが来た場合を考えます。またギャモン率は互いに0%とします。
NAway-2Awayのときと同様にテイクラインのグラフを調べてみました。横軸がNを意味し、縦軸がテイクライン「%」です


2Away-NAwayの2倍キューブのテイクライン



さて今回のグラフはNAway側がキューブを受ける時よりもかなり特徴的です。
1. Nが9以上の場合ではテイクラインが振動しながら全体的に緩やかに大きくなる
2. N=5の場合はテイクラインが極めて小さい
3. N=3の場合はテイクラインが大きい
4. N=4の場合はテイクラインが少し小さい
5. 6<=N<=9の範囲でテイクラインが下がっている
6. Nが10を超えるとグラフがギザギザする。Nが偶数のときのほうが奇数のときよりテイクしやすい

1番目は直感どおりです。スコアで勝っているほど通常はパスしやすくなるので、Nが増えるとテイクラインは大きくなります。
2番目も納得がいきます。パスすると2Away-4Awayスコアになるのでそれを避けるためにテイクしたいです。
3番目、2Away-3Awayスコアはトレイラーからキューブが打ちやすいことはよく知られています。しかし理由を説明するのは結構難しいです。テイクして負けると2Away-1Awayになるのが嫌だから、と僕は考えています。
4番目は意外と知られてないです。2Away-4Awayはギャモン負けがある状況ではものすごくパスしやすいのですが、ギャモンが全くないと逆にテイクしやすいです。2Away-3Awayのときにパスしやすいことと併せて考えると、2Away-2Awayのスコアに誘導することがリーダーにとって重要なのかもしれません。しかしその理由はよくわかりません。
5番目、よくわかりません。スコア差が開くほど通常テイクしにくくなりますが、逆の現象が起きています。
6番目、NAway側が受けるときにもグラフがギザギザになりました。そしてその理由はトレイラーはNの値を偶数に誘導し続けてぴったりマッチ勝ちしたいから、と僕は考えました。しかし2Away側が受けるときもNが偶数のときにテイクしやすいということは、リーダーもNの値を偶数に誘導したい、ということになり矛盾します。しばらくの間かなり頭を悩ませ、マッチテーブルを生成する際に生じたエラーなのではないか、とも思いましたが、とうとう理由がわかりました。どうやら僕の考えが最初から誤っていたようです(ごめんなさい)。どうしてテイクラインのグラフがギザギザに変動するのか、(お詫びとして)次回に述べたいと思います。

NAway-2Awayのテイクライン その2

2013-11-30 09:22:15 | キューブアクション
今回は4倍リダブルを打つことができない、という条件でNAway-2Awayの2倍キューブのテイクラインについて考察します。ラストロールポジションでもない限りリダブルが打てない状況というのはないのですが、2Awayのスコアの性質を理解するうえで重要だと思うので、あえて取り上げました。

XGと表計算ソフトを使ってテイクラインのグラフを作成しました。横軸がNを意味し、縦軸がテイクライン「%」です


NAway-2Awayの2倍キューブのテイクライン(リダブルが打てない場合)



リダブルありの場合と比較すると、いくつかの異なる特徴が明らかになりました。
・マネーゲームの25%と比較してテイクラインが大きい
・N=2の場合は局所的にテイクラインが小さい
・N=5の場合は局所的にテイクラインが大きい

1番目は意外と知られてないことです。リダブルが打てない(キューブが2倍で止まる)条件下であれば2Away側からのキューブは非常に厳しくなります。例えばスコアが2Away-25Awayであっても、圧倒的にリードしている2Away側からのキューブのほうが25Away側からのキューブよりずっと厳しくなります。これは「スコアで負けているほうがテイクしやすい」という原則に反しているのですが、「ぴったりマッチ勝ちできる」メリットがそれ以上に大きい、ということです。
2番目もテイクして勝つと「ぴったりマッチ勝ちできる」要素が大きいのでしょう。
3番目は予想外でした。N=5の箇所でテイクラインが40%近くあります。いまいち理解できてないのですが、考えられる理由として
・テイクして勝っても2Away-3Awayという悪いスコアになる(3Away=奇数で、かつ2Away-4Awayになるチャンスがない)
・パスすると1Away-5Away(Cr)という5Away側にとって良いスコアになる(1Away-4Away(Cr)とマッチ勝率が大して変わらない)
が挙げられます。


NAway-2Awayのテイクライン 

2013-11-23 14:18:14 | キューブアクション
今回は基本的?なNAway-2Awayの2倍キューブのテイクラインについてお勉強します。自分がNAway側で相手からキューブが来た場合を考え(今後のルールとしてXAway-YAwayと書いたときは自分がXAway側でキューブを受けた場合を意味します)簡単化のためギャモン率は0%とします。またラストロールポジション(※1)のような特殊な場合は考慮せず、リダブルにはテイクされるものとします。

XGと表計算ソフトを使ってテイクライン(※2)のグラフを作成してみました。横軸がNを意味し、縦軸がテイクライン「%」です


NAway-2Awayの2倍キューブのテイクライン



グラフから以下のことがわかります。
・Nが大きくなるとテイクラインが小さくなる傾向にある
・N=4の場合は局所的にテイクラインが小さい
・グラフが直線的ではなくギザギザしている

1番目は直感と一致します。通常スコアで負けているほどキューブは積極的にテイクできるので、テイクラインは小さくなります。
2番目は2Away-4Awayの特殊性をよく表しています。4倍リダブルを返して勝つと丁度マッチ勝ちできるので、勝率がかなり低くてもテイクできるのです。
3番目は予想外の結果でした。隣同士のスコアで1%もずれています。Nが奇数だとパスしやすくて、Nが偶数だとテイクしやすいです。これはNの値が偶数だとぴったりマッチ勝ちしやすいことに起因してます。
理由付けするのは簡単なのですが、Nが20くらいのときでもこんなに影響があるとは思いもしませんでした。なぜなら20Awayくらいだと今後ずーーっとNを偶数にし続けられる可能性は低いです。だからNが大きくなるとこのギザギザは十分無視できると思っていたのですが。。へーーー意外


さてテイクラインの近似式を立てるとこんな具合になります。(TL:Take Line)
TL = 23.5 - N/4 +0.5 (Nが奇数のとき)
TL = 23.5 - N/4 -0.5 (Nが偶数のとき)
N<5だと誤差が大きいので、その点は気をつけてください。以上




※ラストロールポジション:次のロールでゲームの勝敗が決まるポジション。テイクした後即リダブルしてもパスされることがある
※テイクライン:テイクするのに必要な勝率

25ポイントマッチの勉強

2013-11-21 20:13:42 | キューブアクション
現在名人赤坂リーグに参加していて、25ポイントマッチを戦う機会が増えています。名人赤坂リーグとは名人戦の枠を勝ち取るための予選でして、今年は3部に分かれています。僕は1部リーグに属しているのですがこれは8人の間で25ポイントマッチの総当たり戦を行う、という大変な長丁場な戦いです。

さて25ポイントマッチは5時間くらいかかるので、通常のトーナメントでは(僕の知る限り)モンテカルロ世界選手権の決勝戦ぐらいしか行われません。日本選手権で15ポイントマッチとかは経験ありますけど、対人で25ポイントマッチをやったのはこの赤坂名人が初めての経験でした。
2戦やってみて思ったのは、スコアが大差になったときのキューブアクションがチンプンカンプン、ということです。例えば2Away-25Awayのキューブアクションはどうなるのか?とか経験値ゼロなので全くわかりません。。 その欠点を名人戦の長年経験者につかれると大変痛いです。

そこで今回から25ポイントマッチのキューブアクションについて勉強をしていきたいと思います。こういうの興味ない人にとっては本当に退屈でしょうけど、ギャモン界はこういうのが好きなマニアックな人も多いので、気にせず書いていきます。