another TOKYO ~もう一つの東京探検~

「周縁」の東京を探索します。下町アルキストのための町歩きブログです。

亀有・香取神社祭礼探訪記

2010-01-26 | 探検!亀有
今から1、2年ほど前、
東京・葛飾区亀有にある香取神社の祭礼に出かけた。

この神社は見るからに格式の高そうな神社で、
たしかこの地域の鎮守の社だ。

場所はJR亀有駅からほど近く。

この方面では知らないひとはいない
大ショッピングセンター「Ario」とはほんの目と鼻の先である。





わたしが訪ねたのはもう夕暮れ時だったろうか、
暗くなってきていた。

徐々に神社に近づくにつれて、
お祭り特有の賑やかさが感じられてきた。

近所の子どもたちも忙しく走り回っている。

大人たちもどこかそわそわしているかんじ。
もちろん子どもみたいにはしゃぐわけにはいかないので、
「ああ今年もそんな時期か」といった余裕の風情を
見せてはいるものの心中は穏やかではないにちがいない。

一刻も早く「現場」へ駆けつけたいのは
子どもも大人も一緒なのだろう。

そう思いながら、わたし自身心なしか足早になる。





昔はきっと参道だったんだろうなといった印象の
神社前の道を歩いていると、どこからともなく
子どもたちの声が耳に飛び込んできた。
おそらく女の子だ。

「ああ! お祭りのにおいがしてきた!」

お祭りのにおい!

そういえば、そのときわたしも、たとえば、
あの屋台の焼きそばの香ばしいにおいとか、
ワタアメの甘い香りとか、
なんやかやが混ぜ合わさったような摩訶不思議なにおいを
たしかに嗅ぎ取っていた。

そう、そうなのだ。

わたしたちをお祭りに駆り立てる要因には
この「におい」という訴求力満点の「実体」があるのである。

もちろん集団から沸き起こる喧騒や
焼きソバを焼くときのジュウジュウいう音なども必要不可欠だが、
忘れてならないのがこの「におい」なのだ。

お祭りの「におい」にはわたしたちを力ずくで
引っ張ってゆく不思議なパワーがある。

わたしたちはそれに抵抗しないだけでなく、
むしろ自らすすんでスタスタ足早になる……。





ふだんなら広く感じられる境内も
このときばかりはひどく狭苦しかった。

押すな押すなの満員電車状態なので、
わたしは軽く一周してあっけなく退散した。

しかし、
お祭りの「真価」は、実は、終わった後に来る。





祭りの後の静寂が支配する境内。

さっきまでのあの喧騒はどこへ行ったのか。
わたしたちを引きつけたあの「におい」はどうしたのか。

だがそんな人間の感傷には冷淡に、
まるではじめからお祭りなんかなかったかのように
「現場」はそ知らぬふうだ。

上の写真はたしか、お祭り最終日だったろうか
(ちょっと覚えていないのだが)。
屋台もなにもない。すべて撤去されている。

覚えているのは、
この写真を撮った直後に灯りがいっせいに消えたこと。

祭りが終われば、
夜の神社はこんなふうに暗いものなのだ、
と否応なく思い知らされた。

……が、それでもわたしは
懲りずにまたお祭りへ行こう
と思ってしまうのだった。




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