another TOKYO ~もう一つの東京探検~

「周縁」の東京を探索します。下町アルキストのための町歩きブログです。

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(10)

2010-06-11 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■『葛飾の女』のその後■ 前回で、わたしたちの所期の目的である菖蒲散策は終了しました。 とはいえ、 せっかくここまで小説のストーリーを追いかけてきたのです から、この物語を最後まで見届けたいとは思いませんか?  そうですか、思いますか。よかったよかった。 で、実は、この後、菖蒲はもう出て来ませんが、まだまだ 水元が重要な場面として再登場するのです! とても哀しい場面ではありますが……。 . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(9)

2010-06-10 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■団子より花?■ 一行はやがて「小高い場所に敷物をひろげて、花見」と あいなりました。 しかし、 清澄は宴会よりもすぐに、またしても写生を始めてしまいます。 (いったい、どんだけ写生好きなんだ) 引用するとこんなかんじです(↓)。 「時の立つのを惜しんで、場所を替えては描きつづけた。 真紀は堀切の菖蒲園へ行ったことがあったが、人工的に 調ったそれと比べて、葛飾のあやめはなんと自然で、 . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(8)

2010-06-09 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■菖蒲の鑑賞■ さて、次に、肝心の菖蒲そのものに注目しましょう。 小説は森の中の菖蒲をこんなふうに描写しています(↓)。 「見渡すかぎり、湿地一面に色とりどりの菖蒲の群生が現われた。 江戸小紋の優雅な花柄をひろげたようであり、また白鳥が重なり ながら紫の鳥を抱いて飛ぶような、浮世離れの清らかな眺めであ った」 芝木好子の面目躍如たる流麗な文章ではありませんか。 こういう一節に接する . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(7)

2010-06-08 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■森の中の水生植物園■ 前回、やっと、森の中の菖蒲園に到着しました。 小説はこの菖蒲をじつにイキイキと活写しています。 ですが、それを見る前に、 水元公園歩きの基本(覚えていますか? そうです、位置確認 です)、わたしたちの現在地を確認しておきましょう。 まずわたしたちはずっと森の中を歩いてきました。 小説ではやがて菖蒲園に到着したとあるのですが、じつは、 わたしたちの場合はちょっと違 . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(6)

2010-06-07 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■水辺の道を通って森の中へ■ とりあえずビール、じゃなくて、位置確認から。 (↑すみません、ベタで。わたしのなかの下町魂がどうしても 言えと命じたのです。抵抗したのですが、無駄でした) で、今、わたしたちは、正面入り口方面から「森」へ向かう 途中の水辺にいます。 小説の一行は、そこでひとしきり写生に没頭した後、 再び歩き出します。 わたしたちもかれらに倣って、さらに奥へと奥へと 水辺に . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(5)

2010-06-06 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■オニバス■ さて、 滝川清澄はここで「川」(=小合溜井)のなかに何かを 見つけたようです。 「川の中に一抱えしきれないほど大きい水蓮の葉が叢生 している。 『大きな葉ですね。花が咲いたら見事でしょう』 『これは鬼蓮と言います。花も大きく、まことに見事です』 『咲いたら、描いてごらん』」 清澄たちはオニバスを見つけたようです。 オニバスとは、一年草としては世界最大の葉を広げる水草の . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(4)

2010-06-05 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
さて、小説では、水元公園の内側の様子がどんなふうに 描かれているでしょうか。 少し長くなりますが、とりあえず引用します。 「堤に立つと、眺望はひらけた。葦の生えた沼地の先は見渡す かぎり水郷で、鏡のように水が湛えられている。その先は森で ある。道が細く水際をまわっている。葦の叢で葦切りが鳴いて いた。途中の木橋の際に菖蒲が咲いている。水際をめぐって ゆくと、水は岸にすれすれに溢れて、川のよう . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(3)

2010-06-04 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
■水元公園までのあらすじ■ すぐにも公園散策を始めたいところですが、もう少しお待ちを。 文学散歩のための「準備運動」としてこの物語の中に水元公園が 登場するまでのあらすじを簡単に紹介しておかねばなりません。 時代は明治。 主人公の真紀は東京・本郷の紙問屋のひとり娘です。 彼女は病弱なため活発な性格ではないものの、 絵を描いているときだけは「自由」を感じていました。 母親の俊はそんな . . . 本文を読む

水元公園「菖蒲」文学散歩~芝木好子『葛飾の女』を歩く(2)

2010-06-03 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
芝木好子『葛飾の女』は、わたしたちがこれから歩く 水元公園界隈が舞台となっています。 明治の女性のはかない運命を描いた切なく哀しい物語なのですが、 この小説には、現在水元公園となっているあたりの菖蒲が 印象的な場面で登場します。 というわけで、以下、小説の中の菖蒲の描写を紹介しながら、 該当箇所のストーリー展開に合わせて、わたしたちも実際の 水元公園を歩いてみることとしましょう! なんだかワ . . . 本文を読む

祝!葛飾菖蒲まつり~水元公園「菖蒲」文学散歩・連載スタート!

2010-06-01 | 水元公園「菖蒲」文学散歩
今年も6月1日から葛飾区では、水元公園と堀切菖蒲園で 「葛飾菖蒲まつり」 がスタートしました!(たぶん) じつは、わたし自身はまだ見に行ってませんけど…。 でも、過去に何度も見物していますから、わかります、大体。 このアバウトさが下町アルキストには不可欠なのです。 でなけりゃ、のん気に歩いてらんないでしょ、 こんな平べったい土地なんか。(意味不明のつぶやき) ■ で、菖蒲まつり . . . 本文を読む