another TOKYO ~もう一つの東京探検~

「周縁」の東京を探索します。下町アルキストのための町歩きブログです。

宮部みゆき『小暮写眞館』散歩~大田区大森の小さな旅(3)

2010-12-03 | 文学散歩
さて、話を小説に戻しましょう。つづきは──


「バス通りからそれて、横道に入った。まわりはマンションと
ビルばっかりだ。歩道がなくなって、ガードレールにかわった。
自転車がその外側を走るようになった・・・」


横道に入ろうと思いつつ、どうしてもそれらしき雰囲気が
感じられないので、わたしは延々とバス通りを歩いてしまいました。

で、とうとう京急の大森海岸駅まで来てしまいました↓。



小説にはこの駅は出てきませんし、やはり
ちょっと行きすぎたようです。

もと来た道を戻ってイトーヨーカドーの角を曲がってみました。

しかし、そこもやはり「バス通り」らしい大通りでした↓。
こちらのバス通りには自転車専用レーンあり。







とにかく、歩道のないガードレールつきの道を
探さなければなりません。

が、ない!

どこにもそんな道は現れません!

とりあえず、適当なところで大通りから内側へ入ってみました。
それでも、やはり目当てのような道がどこにもありません。
ガードレールなんてどこにもない・・・。

ふだん見慣れているガードレールをこれほど真剣に
探したことはいまだかつてありません。

わたしがこんなに必死になって探しているというのに、
無情にも見当たらないのです。

そうこうしているうちに、
あたりはすっかり真っ暗になってしまいました。

ただでさえ極度の方向オンチのわたしには最悪の条件が
重なってしまいました。
どうも暗くなるとさらに方向オンチ度が倍増するらしいのです。
(町歩きが趣味でありながら、ひどい方向オンチというのは
どうなんだか・・・)

それでも、

なんとか、ようやく、ガードレールだけは発見しました↓



しかし、これは小説のなかの目的地とはちがうと思われます。

というのは、小説には、

「一方通行の細い道に面して、中規模のマンションと住宅が
建ち並んでいる。コインパーキングもある」

とあって、さらに、

「(有)河合精鋼の跡地には雑居ビルが建っていた。洒落たアール
を描いた白い外壁が目立つ三階建て。一階には歯科クリニック、
二階には学習塾、三階には横文字の会社名の看板が出ていた」

とつづきます。

ガードレールを見つけた界隈は、
そのような条件を満たしてはいなさそうでした。

もう暗かったので、見落とした可能性がなくはないのですが・・・。

とにかく、またしても、
わたしの宮部みゆき探索の旅は失敗に終わりました。





ただし、

小説中の英一たちのつぎのような会話には納得しました。


「町工場がずらっと並んでる景色を想像してたんだけど、
違うんだね」

「昔はそうだったんだろうな。だんだん歯抜けになって、
住宅やマンションに変わってるんじゃねえか」


まさにわたしが歩いた大森北界隈もそうでした。

いや、厳密にいうと、以前そこに町工場があったのかどうか
わかりませんし、大森北だけでもけっこう広いからたまたま
そういう場所を歩いただけなのかもしれません。

とはいえ、随分歩いたつもりなので、
その範囲では、大森=町工場というイメージはほとんどなかった、
とはいえます。





なお、小説にはこんな一節もあります。


「区画の角を曲がったところにコンビニがあった。古びた
小さなコンビニだけれど、酒類を扱っていたので、もともと
地元の酒屋が転業したのかもしれない・・・」


たしかにコンビニは見かけましたが、
これもちょっと違うように思えました・・・。

ついでに、

小説と関係ありませんけど、路地発見↓。
まっすぐな路地がどこまでも続いていそうです・・・



結局、今回も挫折した宮部みゆき小さな旅なのでした。


(この項おわり)




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