裁判官忌避申し立て書Ⅴ(最終)
裁判官忌避申し立て書Ⅰ
裁判官忌避申し立て書Ⅱ
裁判官忌避申し立て書Ⅲ
裁判官忌避申し立て書Ⅳ
3 すでに述べたとおり、「有罪の言渡を受けた者に対して‥‥無罪を言い渡」すべき「明らかな証拠をあらたに発見したとき。」(刑訴法435条第6号)に該当する可能性のある証拠(いわゆる「新証拠」)として、更新前の裁判所が大いに注目し、採用されたのが、本件事故現場を撮影した画像のネガフィルムを画像解析の専門家として解析した三宅洋一氏の鑑定書である。
更新前の裁判所では、私的鑑定である三宅洋一氏の鑑定書の前提資料作りに公正を期すために検証手続によって顕微鏡撮影を行った。
このような経過を経て提出された画像解析の専門家の鑑定書であるから、素人である裁判所、検察官、弁護人がその内容について理解を共通なものとするために鑑定人の証人尋問が必要であれば、特段の理由がなければ証人尋問は採用されなければならない。
4 三宅鑑定書は、開示された本件事故現場のネガフィルムを解析し、本件確定判決の最大の根拠とされたブレーキ痕が、真のブレーキ痕ではなく、液体などによるねつ造であると判断するものであり、さらに開示されたネガには画像処理(ねつ造)の形跡があり、現場で撮影した1次ネガではなく、画像処理後の2次ネガである疑いが高いとするものである。また、科警研の三宅鑑定書に対する意見書の疑問に答えて提出された三宅意見書では、このような画像処理が、高知県警察のシステムによってどのようにして行われたかを解明し、プリンターを介さない2次ネガ作成であれば、2次ネガの画像に明確なドットを識別することは困難であることも明らかにしているのである。
画像解析の第一人者である三宅洋一氏の鑑定書、意見書の判断が確かなものであれば、再審手続における「新証拠」として、再審開始に道を開くものであるから、その内容の信用性は慎重に確かめられなければならない。
5 裁判所としても、少なくとも鑑定書、意見書を熟読し、判断内容、鑑定内容につき理解した上で、証人尋問の必要性を判断すべきであることは言うまでもない。
しかるに、武田義徳裁判長は、更新直後であり、鑑定書を熟読理解する暇もなかった平成25年5月22日の打合せ協議(三者協議)の時点から本件再審事件は申立後3年が近いので早期に終結されなければならないなどと公言し、鑑定書や意見書の内容を理解しないままで、予断をもって、証人調べをしないと決定した。
弁護人は、三宅洋一氏の証人調べについては、次回協議までに速やかに詳細な理由を付して書面で証拠調べ請求を行うので、それを待って採否を決せられたいと求めたのにもかかわらず、弁護人に正式に証拠調べ請求を行うこともさせずに、合議に入った後に証拠調べ請求を却下したのである。弁護人の詳細な理由を付した書面での証拠調べ請求を待つことのできない特段の事情などがあるわけではない。
明らかに予断を持ち、適正を欠いて、「不公平な裁判をする虞」を抱かせる訴訟指揮であり措置である。不公平な裁判をする虞があるにとどまらず、被告人(再審請求人)の裁判を受ける権利を侵害する行為でもある。
6 三宅洋一氏の証人調べ請求を行いたい旨を告げる際に、弁護人は、35㎜の銀塩ネガフィルム4本の実物を裁判官に提示して、35㎜の銀塩フィルム(1次ネガ。1本が2枚に分断されたものと別のネガ1本)から1本の銀塩フィルム(2次ネガ)を作成した実例を示し、このような形で、高知県警察は2次ネガフィルムを作ることができたし、その前に1次ネガに処理を加えることも容易だ。デジタルに取り込んだ1次ネガに処理を加え、プリンターを介することなく2次ネガを作成すれば、明確なドットを識別することは困難だ。三宅氏の意見書では専門家としてこの点に言及されているが、記述内容が専門的なので、証人として尋問して説明を求める必要がある。詳細は証拠調べ請求書に記載する。証人調べの形式にはこだわらない。裁判所から疑問点を三宅洋一氏に照会するという形式でもかまわない。柔軟に対応するつもりだなどと説明した。
この時に、弁護人が裁判所に提示したサンプルの2次ネガフィルムを手に取ってみれば、別のフィルムに撮された画像が、新しいフィルムに連続した番号が付されて1本のフィルムとなっていることが確認できるのであるが、武田裁判長以下3名の裁判官は、弁護人が面前に提示したフィルムを手に取ろうともしなかった。前任裁判長や前任主任裁判官であれば、フィルムを手にとって明るいところにかざし、古い画像が新しいネガフィルムに連続した番号で転写されていることを確認したであろう。
第6 結語
武田裁判長が、更新後の最初の三者協議期日から、申立後3年を経過しているとして結審をほのめかし、画像解析の第一人者として、更新前の裁判所も敬意を払ってその判断に注目した三宅洋一氏の鑑定書が提出され、高知県警察が現場で撮影したとされるスリップ痕等の画像をねつ造していることを、ねつ造の手法まで具体的に解明して明らかにした意見書が追加して提出されているにもかかわらず、あえてその内容を見極めようともせず、弁護人の説明を聞こうともせずに、無理矢理に審理を終結させようとしているものであることは明らかである。
権威ある専門家の鑑定書が出され、大きな争点となった開示ネガフィルムからのドットが顕出されない理由、それでも画像処理がされた2次ネガであるとの判断をする理由につき高度の専門的解明がなされているのに、なぜ、三宅意見書を十分に理解するための期日を持つことができないのか。
その理由は一つしかない。
武田裁判長は、これ以上事実の解明をさせないままに三宅鑑定書、意見書を抹殺して、刑事訴訟法第435条第6号にいう新規証拠に該当しないものとして、本件再審請求を棄却するとの予断に基づいて訴訟指揮を行っているのである。結論が先にあって、前任裁判長の訴訟指揮と全く異なる訴訟指揮をし、無理矢理に結審を迫っているものである。
これ以上に、「不公平な裁判をする虞」の高い訴訟指揮は考えられないといっても過言ではない。
速やかに、武田裁判長を忌避する決定をされたい。
次回より
高知地裁の却下理由を掲載予定
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タンクから汚染水漏えい=周囲から20万ベクレル―福島第1
東京電力は2日、福島第1原発の貯蔵タンクから汚染水が漏えいしたと発表した。漏れた量は不明だが、このタンクを囲っているせき内の水からストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり20万ベクレル検出された。タンクに設置されている点検用の足場を伝い、せき外に漏れた可能性もあるという。(時事通信)
[記事全文]
◆高い濃度を検出
・ タンク周辺で高濃度汚染水 - 放射性物質が1リットル当たり、20万ベクレルという高い濃度で検出されました。NHK(10月2日)
◇ためた水があふれるトラブルも
・ せきの水23トンあふれる=タンク周辺、微量の放射能―福島第1 - 時事通信(10月2日)
・ ためた水4トン漏れる 移送用ホース誤接続 - 福島民報(10月2日)
・ [映像]福島第1原発で汚染水約4トンあふれる 土壌の汚染状況調査へ - フジテレビ系(FNN)(10月2日)
◇汚染水対策は
・ 「多核種除去設備」3系統増設 第1原発、浄化加速へ - 福島民友新聞(10月1日)
・ 汚染水、国が追加対策…凍土壁の効果不十分なら - 読売新聞(9月30日)
・ 汚染水対策「もっと前へ」=事故調元委員ら、規制委に注文 - 時事通信(9月30日)