裁判官忌避申し立て書Ⅳ
忌避申し立て書Ⅳです
初めての方は前記事をご参考ください
裁判官忌避申し立て書Ⅰ
裁判官忌避申し立て書Ⅱ
裁判官忌避申し立て書Ⅲ
第4 更新後の三者協議の経過(「不公平な裁判をする虞」の高いことの根拠となる事実)
1 平成25年5月23日に、第28回の三者協議が開かれた。
裁判長平出喜一、主任裁判官大橋弘治が移動となったため、この日から平成22年(た)第1号事件の裁判所の構成は、裁判長武田義徳、裁判官堤雄二、同佃良平の3名となった。
同期日に、武田裁判長はそれまでに検察官、弁護人双方から提出されている証拠関係を整理することを求め、すでに必要な審理は尽くされているのではないか、再審申立から3年近くが経つので最終意見をまとめることを検討されたい旨述べた。
弁護人は、証拠関係の整理には応じるが、今後必要な立証等については改めて検討したいと発言し、それに対して武田裁判長から特段の意見は出なかった。
前回の三者協議の後、検察官より三宅鑑定書に対する科警研の意見書と山崎回答書が提出されており、科警研の意見書では、上述したとおり三宅鑑定書に対する質問ないし疑問の提起がなされていたので、裁判所としても当然それに対する弁護人としての対応の予定を聞くのが当然と思われるところ、武田裁判長がこの点に言及することはなかった。
弁護人としては、更新後まもない時期であり、裁判所は未だ十分に記録を検討するに至っていないのであろうから、次回以降に具体的に今後の立証計画を明らかにしようと考えた。
2 弁護人は、科警研の意見書と山崎回答書に対する三宅氏、川上氏の各意見書の作成提出の準備を進めた。
平成25年7月22日に第29回の三者協議が開かれた。
この協議において、弁護人は三宅洋一氏の意見書を準備しており、追って提出予定である旨を告げたところ、武田裁判長は、前回これ以上の立証はないことを確認したはずだと発言し、弁護側の立証を制限する態度をあらわにした。
その上で、検察官、弁護人双方に対し、平成25年10月末をめどに最終意見書を提出する旨督促し、三宅意見書は次回期日までに提出されたいとして、次回期日を平成25年9月12日午後4時と指定した。
3 弁護人は、平成25年9月2日に、三宅意見書及び川上氏作成の「山崎回答書への意見書」を提出した。
平成25年9月12日に第30回の三者協議が開かれた。
上記第3で述べたとおり、三宅意見書は、ドットを明確には確認できない方法による2次ネガフィルム作成の手法を、高知県警察の有していたシステムに即して解明し、さらに画像処理のなされている事実について鑑定書の所見をさらに深化させて説明する内容となっているのであるが、専門的な記述が多く含まれており、素人には十分な理解が難しいものであった。そのため弁護人は、冒頭に、理由を簡潔に述べた上で、次回三者協議までに、理由の詳細を記した書面による三宅証人調べの証拠調べ請求を行うので、それを踏まえて採否を決せられたい旨要請した。
また、証人調べの必要性の要旨を口頭で述べるのに先立ち、3本のネガフィルムを、1本の全く新しいネガフィルムに移し替えた実物のネガフィルムを提示して確認を求めたが、武田裁判長ら裁判官がこれらのネガフィルムを手に取ることはなかった。
武田裁判長は、三宅証人調べについて野崎検察官の意見を求め、同検察官は、立証趣旨が明らかでない現段階では、証人調べは必要ないと考えると答えた。
その後武田裁判長は合議をしますというので、弁護人が書面での証拠調べ請求を待って採否を決してもらいたい旨述べたが、これを無視して合議のため退席した。
裁判官らは2、3分後に席に戻り、武田裁判長は、意見書の内容は理解している、証拠調べは必要がないので行わない旨告げた。
弁護人は、三宅鑑定書については検察官も、場合によっては証人調べを行いたい旨発言もしていた(平成21年11月21日三者協議)ところであるし、今回提出した三宅意見書には極めて重要な論点が含まれるのに、内容を十分に理解もせずに終結しようとするのは「不公平な裁判をする虞」があるといわざるを得ないと告げた。
これに対し、武田裁判長は、専門家に難しいことを証言してもらっても理解できない旨発言した。
弁護人は、口頭で(武田裁判長を)忌避することを伝え、速やかに忌避申立書を追完する旨告げて退席しようとした。
武田裁判長は、10月末の最終意見書の提出期限は変わらない旨の発言をした。
請求人片岡晴彦及び弁護人坂本宏一は、裁判長を忌避した以上、忌避の是非の判断を待たず審理を進めることはできないとの理解の下、三者協議の席を退いた。
武田裁判長は,同年9月13日付けで意見書の提出期限を10月31日と定めるとの「再審最終求意見書」を申立人(請求人)及び申立人代理人(弁護人)に送付し、申立人は同月14日に、申立人代理人は同月17日にそれぞれ受領した。
第5 「不公平な裁判をする虞」(刑事訴訟法第22条)の高いこと
1 本件忌避申立は、平成25年9月12日の三者協議において、三宅洋一証人の証人調べをしないとの発言を受けてなしたものである。
同年5月23日の第28回三者協議から、裁判長及び主任裁判官が更新となったところ、更新後の武田裁判長は、更新直後から、それまで積み重ねた再審審理の審理の流れを意図的に断ち切り、申立から3年近く経っているとの理由にもならない理由をかざして、証拠調べを一切行わないで結審させようとの意図が顕著に感じられた。
以後同年7月22日、同年9月12日の三者協議を重ねた時点で、武田裁判長が、三宅洋一氏の鑑定意見が、刑事訴訟法第435条6号の新証拠すなわち無罪と「認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」に該当する可能性が高いのに、これをあえて無視して結審しようとする意図が明らかとなった。すなわち、武田裁判長の訴訟指揮は「不公平な裁判をする虞」がきわめて顕著なものであることが明らかとなったのである。
2 確かに、証拠採否の判断自体は、当該裁判所で判断されるべきであり、裁判官に対する忌避事由とはならないであろう。
しかしながら、採否に至る経過は、それまでの裁判手続きの経過も踏まえた上での適正なものでなければならない。裁判官の訴訟指揮や発言が、それまでの審理と連続性がなく、明らかに公平・適正を欠き予断を持つものであるとしか考えられないような場合には、「不公平な裁判をする虞があるとき」に該当する。
証拠採否に至る経過において、当該の裁判官に、明白に適正を欠き、公平を欠く言動や訴訟指揮があったとしても、証拠採否の問題に過ぎないものとして忌避の対象とならないとするのであれば、刑事訴訟法が「不公平な裁判をする虞あるとき」を忌避事由とした意味をなくするものであるし、憲法31条の適正手続の要請にも反することとなる。
以上
裁判官忌避申し立て書Ⅴに続く
|
01:36:24
1945戦場への橋 ―ナチス武装戦線―
ヒトラーに忠誠を誓った少年兵士たち