東洋町が漁協へ1千万円融資は合理的 最高裁が審理差戻し
高知県安芸郡東洋町による野根漁協への貸付金1千万円をめぐり、町内の男性が「違法な支出」として、松延宏幸町長ら幹部が全額を東洋町に弁済するように求めた訴訟の上告審判決が22日、最高裁第2小法廷で言い渡された。融資は違法であるとして町長に1千万円の支払いを命じた二審高松高裁判決に対し、千葉勝美裁判長は「貸し付け手続きは合理的だった」と指摘。高松高裁の判断には「明らかな法令違反がある」として破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
東洋町は2011年10月、野根漁協の漁業者の定置網が台風で破損したため、「東洋町漁業災害対策資金貸付規則」を制定し、翌月、野根漁協に1千万円を貸し付けた。
訴訟では、融資を受けるために開かれた漁協理事会の決議に、水産業協同組合法などで議決に加わることができない利害関係者が加わっていたという手続き上の違法性や瑕疵(かし)などが争われた。
千葉裁判長は、理事会(8人、2人欠席)の議決に利害関係者2人が加わったことについて、6人の過半数に当たる4人が賛成したことを挙げ、「議決要件を満たす」と判断した。
また、貸付規則の制定時、文書の掲示が不十分だったことなどから、二審が「規則は効力を生じていない」とした点についても「合理的な手続き」だったとし、町長の裁量権逸脱を否定した。
訴訟は、元町長の沢山保太郎氏が2012年6月に提訴した。一審の高知地裁判決は訴えを棄却したものの、二審判決は、漁協決議の瑕疵を知らなかったのは町長の過失だとして、融資の違法性を認めていた。
松延町長は取材に「判決文を精査し、議会と対応を慎重に協議したい」と述べた。野根漁協は22日現在、貸付金を返済していない。
東洋町は2011年10月、野根漁協の漁業者の定置網が台風で破損したため、「東洋町漁業災害対策資金貸付規則」を制定し、翌月、野根漁協に1千万円を貸し付けた。
訴訟では、融資を受けるために開かれた漁協理事会の決議に、水産業協同組合法などで議決に加わることができない利害関係者が加わっていたという手続き上の違法性や瑕疵(かし)などが争われた。
千葉裁判長は、理事会(8人、2人欠席)の議決に利害関係者2人が加わったことについて、6人の過半数に当たる4人が賛成したことを挙げ、「議決要件を満たす」と判断した。
また、貸付規則の制定時、文書の掲示が不十分だったことなどから、二審が「規則は効力を生じていない」とした点についても「合理的な手続き」だったとし、町長の裁量権逸脱を否定した。
訴訟は、元町長の沢山保太郎氏が2012年6月に提訴した。一審の高知地裁判決は訴えを棄却したものの、二審判決は、漁協決議の瑕疵を知らなかったのは町長の過失だとして、融資の違法性を認めていた。
松延町長は取材に「判決文を精査し、議会と対応を慎重に協議したい」と述べた。野根漁協は22日現在、貸付金を返済していない。