あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

天高く

2007-11-05 23:47:13 | つれづれ
星新一氏の本を読んだのは、中学から高校にかけてだったと思う。
はじめは兄が読んでいたのを借り、自分で買ったものもあった。
けど、どんな話だったかが思い出せない…

先日の旅に持参した、最相葉月さんの「星新一 一〇〇一話を作った人」を、今日読み終えた。
人気作家が、その人気の影で苦しんでいるという話はよく聞く。だが、星さんの苦しみは、作家としてのものだけでなく、生い立ちから生涯続いた苦しみもあった。
最相さんは、星さんの足跡を遺族の方の了承を得ての遺品整理や、また星さんと関係のある130人以上の方々へのインタビューを通じ、彼の生涯を綴られた。
有名ではあるが、会った事もない人のことを、ここまで克明に描くことができるのは、彼女の才能…もあるだろうが、それよりも、描く対象に向けた、彼女なりの愛があってのことだろう。500ページを越える大作だが、おススメである。

人物を描くノンフィクションは、あまり読んだことがない。でも、この本は今までに読んだこうした本の中で、もう一冊と共に僕の心の中に残る作品となるだろう。
ちなみにその一冊は、映画監督の是枝裕和さんが書かれた「しかし…ある福祉高級官僚 死への軌跡」という本だ。今はタイトルを「官僚はなぜ死を選んだのか」と変え、文庫版として書店に並んでいる。
どちらの本にも共通しているのは、まるで眼の前にその対象がいるような錯覚に陥ることだ。発した言葉や様子など、ノンフィクションとはいえ、そうした想像部分は許されると思う。

星新一さんの人となりを知り、改めて彼の作品を読んでみたいと思う。
そう、今は「読書の秋」なんだから…
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  | トップ | 記憶 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

つれづれ」カテゴリの最新記事