湖山池の部 (一般)
青島賞 時雨るるや石がま古りし湖山池
蕭条たる時雨に降りこめられた湖山池の風景。その中の歴史を秘めた石がま周辺の格別のたたずまいを滑らかに詠み下ろしてある。ずっしりと安定感のある一句。
津生島賞 父と居て公魚釣りし湖山池
湖山池といえば先ずなつかしい父との公魚釣りのこと、穏やかな初春の池畔のことが思い出される。いつまでも鮮やかに残る追憶の一齣がさらりと描けた。
団子島賞 寒鮒の眠る石がま湖山池
冬の季節。寒々とした石がまを眺めていると、鮒の生態を巧妙に利用する石がま漁のこと、その石積みの下に息を潜めて眠って寒鮒のことが思いやられる。
猫島賞 くろぐろと水鳥の群湖薄暮
湖山池の冬の夕暮れの風景が的確なタッチで写生されている。上五の「くろぐろ」によって、影となりうごめく水鳥の群が活写され、冬の池の夕暮れの表情が一幅の 絵となっている。
鳥ヶ島賞 竿で突く石がま漁の頬被
石がま漁の実況がそのままに写しとられている。冬の季語「頬被」の斡旋がいかにも適切、情景、動きを感じさせる軽妙な一句である。
次回は「湖山池の部・小中学生」の発表です。