京都市東山区は、京都の中でも有名な寺院が点在する地区だが、その中でも有名なのが、清水寺ではないだろうか。
思いきった行動をする時に「清水の舞台から飛び降りたつもりで…」というが、これは清水寺のあの高い舞台を指している。
京都市街を眺める事の出来る本堂の舞台は、清水寺に祀られている千手観音に雅楽を奉納する神聖な場所なのだ。
舞台は木々が茂る谷にせり出し、高さ13mの舞台を139本のケヤキの柱で支えている。
じつは、この舞台から飛び降りると言うのは、例えではではなく、1694(元禄7)年~1864(元治元)年に残された記録によると、234件もの飛び降りがあったというのだ。
最初に飛び降りたのは、ならず者に追いかけられた男だった。
男は本堂に逃げ込み、舞台に追い詰められて、谷に飛び降りたのだが、怪我もせずに逃げおおせたというのだ。
それが噂になってか、清水の舞台から飛び降りると願いがかなうという、俗説が全国に広まったのだ。
以来、観音様に願を掛けて飛び降りる人が後を絶たなくなってしまった。
そこで、明治政府は飛び降り禁止令を出し、ようやく飛び降りは収束した。
しかし、4階建てほどの高さから200件以上の飛び降りがあったにも関わらず、その生存率は85%を上回ったというから大したものだ。
年齢別に見れば10~20代がほとんどなので、血気盛んな若者の肝試しの様な行為だったのかも知れない。
なかには2回も飛び降りた女性もいたというから、よほど「ご利益」が有ったのかも知れない。