標高600m足らずで、手軽に登山を楽しめ、東京都内からのアクセスも簡単な事から、高尾山は人気が高い観光地の一つなのだ。
じつは高尾山は、フランスのミシュラン社により発行される『ミシュランガイド』の最高クラスの三ツ星認定をを受けている。
日本の山で三ツ星の観光地は富士山と高尾山だけである。
富士山は日本一の山として、有名なのは理解出来るが、なぜ高尾山はフランス人からの評価が高いのだろうか。
その理由の一つは、高尾山が古くから人々の信仰を集める、山岳信仰の場だと言う事に有るのかも知れない。
高尾山は「修験道のお山」とも言われ、今でも山中にある琵琶滝と蛇滝では滝に打たれる水行が行われている。
俗世の穢れを清め、山の神聖な霊気を体中に浴びる、絶好のパワースポットなのである。
また、古くから天狗が住むとされる高尾山は天狗信仰の山としても知られ、名所の一つである「たこ杉」にも天狗伝説が残る。
たこ杉は樹齢およそ450年の杉の木だが、土から露出した根があまりにも奇妙にねじれていて、タコの足を連想させる為、その名が付いた様だ。
伝説によれば、その昔、山に住む天狗たちが参拝者の為に、山道を整備し始めた所、途中で四方に根を張る大杉に出くわした為、翌朝に杉を引き抜こうと相談していたのだという。
すると、杉の根がみずからくるくると丸まったとのだという。
こうした怪異な伝説も、霊験あらたかなる高尾山中では、あながち作り話ではないと思えるのだ。
日本の神秘に惹かれる外国人の目には、より謎の多い神聖な山と映るに違いないのかも知れない。