私は日本の伝統精神はきわめてすぐれたものだと思います。ではその伝統精神とは何か。
その一つは「和を似って貴し」とする平和愛好の精神です。
千三百五十年も前に、この「和」の精神が聖徳太子によって掲げられています。
第二は「衆知を似って事を決す」という、つまり民主主義です。
古事記にも八百の神々が相談して事を決したとあります。日本は真の民主主義の本家本元だと言えるでしょう。
第三は「首座を保つ」。古来日本人は常に首座を失わずに外来のものを消化吸収し、日本化してきました。
この和、衆知、首座、という三つの柱を守っていくことは、今後においても大切なのではないでしょうか。
※松下幸之助【一日一話】より