私は、ずっと以前でしたが、当時の年若き社員に、
得意先から「松下電器は何をつくるところか」と訪ねられたならば
「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気商品をつくっております」ということを
申せと言ったことがあります。
その当時、私は事業に人あり、人をまず養成しなければならない、
人間として成長しない人を持つ事業は成功するものではない、ということを感じており、
ついそういう言葉が出たわけですが、そういう空気は当時の社員に浸透し、
それが技術、資力、信用の貧弱さにもかかわらず、どこよりも会社を力強く進展させる
大きな原動力となったと思うのです。
※松下幸之助【一日一話】より