国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

古文動詞の基礎

2023-08-14 12:55:06 | 国語

PCで見ないとつらいかもしれない


動詞攻略!

前提
・活用形→未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形  (未・用・終・体・已・命=ミヨシタイメ)
・行=(通常の)五十音図のたて  段=(通常の)五十音図のよこ
ラ行四段活用  ら・り・る・る・れ・れ(「ラ行のア段・イ段・ウ段・エ段の四つを使ってるからラ行四段)
※活用形の対応
 文の終止・・・終止形&命令形(「。」が来ることが多い)※1   
 修飾する・・・連用形&連体形(連用修飾・連体修飾)(体言に連続する形=連体形 用言に連続する形=連用形)
        注 体言=名詞  用言=動詞・形容詞・形容動詞
 条件接続・・・未然形(仮定)&已然形(確定)(「~ば」の形)

※1 終止形、命令形以外での文の終わり方の例
係り結び
 ぞ・なむ(なん)  → 強意   →連体形
 や・か       → 疑問・反語→連体形
 こそ        → 強意   →已然形


※活用を導く言葉   未然(ず) 連用(たり) 終止(。) 連体(とき) 已然(ば) 命令(!)

※活用語の構成  語幹+活用語尾     (一部に語幹と語尾の区別のつかないものがある)

※活用・・・下につく単語によって単語が変化すること

●活用の種類(活用形は? ××形   活用の種類は?  ××段××活用  両者は違うものだよ。解答の時はラ変とか略さない。ラ行変格活用)

タイプⅠ(四段とその仲間たち ― 現代では五段活用・未然形がア段 → これは助動詞の接続で重要な話になる)
※ 色の文字の部分が相違している=変わっているところ(「変」格)
※ ナ行変格(2単語)(死ぬ・往ぬ・去ぬ)  
※   ラ行変格(4単語)(あり・居りーをり・侍り・いまそがり(「いましがり」「いますかり」「いますがり」「みまそがり」など)

活用形  未然    連用    終止   連体   已然   命令
四段   a     i     u    u    e    e (正格活用)(aiueを使っているから四段)
知る   ら     り     る    る    れ    れ 
ナ変   な     に     ぬ    ぬる   ぬれ   ね
ラ変   ら     り            る    れ    れ



盲点
  ・ 複合ラ変動詞に注意・・・「持たり(持ち+あり)」「さり・かかり・しかり(指示副詞の「さ・かく・しか」+あり)」
  ・ 「ラ変型」というものに注意(助動詞や形容詞・形容動詞などにある)。多くは下に助動詞が来る
  ・ 「飽く」はカ行四段   ・「借る・足る」はラ行四段  ・ ナ変は識別でよく出る
 ※複合動詞=複数の語で一つの動詞を作っているもの

タイプⅡ(一段と二段)(左右対称に配置していることに注目)
活用形   未然    連用    終止   連体   已然   命令
上一    i     i     iる   iる   iれ   iよ
上二    i     i     u    uる   uれ   iよ
下二    e     e     u    uる   uれ   eよ
下一    e     e     eる   eる   eれ   eよ

※ 上一段、下一段を暗記後、太字を中心にして暗記する。太字の部分があるので二段活用になる。
※ 上一段(着る・みる・似る・煮る・居(ゐ)る・率(ゐ)る・射る・鋳る・干(ひ)る)
    (「きみにゐいひ=君にいい日」と覚える)(「ひいきにみゐる」という覚え方もある)
※ 下一段「蹴る」のみ(け・け・ける・ける・けれ・けよ)   (「蹴らず」×)

盲点(よく間違えるんだこれが)
 ●「切る・散る」は四段   ●「居る」(上一) 「居り」(ラ変)  
 ●「涙こぼるる」の「るる」は下二段の活用語尾(自発の助動詞ではない)
 ●「見る」系列に注意(かへりみる・試みる・垣間見るなど)
 ●「ゐる」系列に注意(もちゐる・率ゐるなど)(ワ行)
 ●「ゐる」は文脈が必要。「居る(座っている)」か「率る(連れる)」かを判断する。
 ●「射る」はヤ行(ア行は「得」だけ) [い・い・いる・いる・いれ・いよ](「矢(ヤ)を射る」からヤ行)
 ●「鋳る・沃る」もヤ行
 ●「答ふ」の未然形・連用形は「答え」ではない。ハ行下二段だから、「答へ」。
 ●「恨む」はマ行上二段が原則。   「忍ぶ」はバ行上二段。
 ●「見す」はサ行下二段。「見ゆ」はヤ行下二段。
 ●終止形が同形で二種類に活用するものがある。(「頼む」 四段=あてにする  下二段=あてにさせる)

頻出(活用を聞いてきたらこれやもよ、これやもよ)
 ●ヤ行上二段(い・い・ゆ・ゆる・ゆれ・いよ)「老ゆ・悔ゆ・報ゆ」
 ●ヤ行下二段(え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・えよ
 ●ワ行下二段(ゑ・ゑ・う・うる・うれ・ゑよ)「植う・飢う・据う」
 ●ア行下二段(え・え・う・うる・うれ・えよ)「得」(ア行は「え・う」が同時に存在している)(複合動詞「所得・心得」)
 ●語幹のない下二段動詞は読みが頻出 「得(う)・寝(ぬ)・経(ふ)」

タイプⅢ(その他
活用形   未然    連用    終止   連体   已然   命令
カ変    こ     き     く    くる   くれ  こ・こよ
サ変    せ     し     す    する   すれ   せよ

※ カ行変格(「来(く)」だけである。読み方に注意する。活用形が見ぬけないと読めない。
     なお、複合語として「まうで来」「持て来」などがある。
※ サ行変格(基本は「す」「おはす」の二語である。また、「音読み+す」もサ変(複合動詞)になる。
「念ず・興ず」などはザ変ではなく、サ変となる。
注意!  「死す」はサ変(「死ぬ」はナ変


活用の種類の識別

① 少ないものは暗記→変格(カサナラ)&下一段&上一段
② 「ず」をつけて直前の音がそれぞれ
  a段 → 四段(読まズ)    i段 → 上二段(報いズ)   e段 → 下二段(消えズ)
※注意!「せ+ず」の「せ」はサ変
常識 古文に可能動詞はない(初心者はやたら下二段動詞にしたがる)
  (通へるところ  → 通うことができる×
   通った・通っている○→通へ(四段・已然形)+完了の「り」の連体形)
参考 終止形の作り方
   現代語の連用形(「ます」に接続)の子音をウ段にする(撫でる→撫でマス→「で=de」→「du」→「づ」→「撫づ」)
       ※例外が多いのであくまでも参考のこと
参考2 「終止形+る=連体形 終止形+れ=已然形」になるもの
    上二段・下二段・サ変・カ変・ナ変  (上下にサカナ)

     ※「る・れ」を助動詞にしがちなので注意。

参考3 用言(動詞・形容詞・形容動詞)から名詞になったものを転成名詞という。(品詞分解で注意)
  例 あるく→あるき(連用形)   うつくし→うつくしさ(形容詞の語感+さORみ)
参考4 動詞が連続する場合  
  ① 複合動詞として1語(思ひ出す)  
  ② 下の方が補助動詞  (思ひ給ふ 「給ふ」尊敬の補助動詞)
参考5 変格の反対語は正格(四段・上一段・上二段・下二段・下一段)

 

※2018-10-15の記事を一部、修正、補記。

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