国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

小論文の上達法(メモ活用)

2018-09-27 11:50:03 | 国語
●小論文を書く時にいきなり書いている人は全体の構成がめちゃくちゃになったり、結論が付け足し程度になったりすることが多い。

●そこでメモを取るのだが、自由な発想でメモを取るというのもいきなりでは難しい。

●さらに課題文を読む時にもメモを取ることは有効である。

●そういうわけで課題文をメモすることと小論文を同時にやればよいのである。

●手順としてはこうなる。

 課題文を読む→メモを取る→メモから文章をつくる

●これをやると要約力は身につくわ、小論文のためのメモから文章を起こすときのコツはつかめるわでいいこと尽くめ。

●強いてアドバイスをするなら、自分でわかることだけをメモにしないで、わからないままにメモをとることかな。




練習
【課題文】(以前の記事も参照のこと)
(大澤真幸『不可能性の時代』より)

 リスク社会のリスクに関して直ちに見出しうる、表層的な特徴をはっきりさせておかねばばらない。リスク社会のリスクには二つの顕著な特徴がある。第一に、予想され、危惧されているリスクは、しばしば、極めて大きく、破滅的な結果をもたらす。たとえば、温室効果ガス(二酸化炭素等)の増大に代表される、自然生態系の破壊はリスクの典型だが、その結果は、場合によっては、人類のあるいは地球の生物全体の絶滅でさえありえる。あるいは、テロもまた、リスク社会のリスクだが、それがもたらす死傷者数や精神的なダメージがいかに大きなものであるかを、われわれはすでによく知っている。
 第二に、このようなリスクが生じうる確率は、一般に、非常に低いか、あるいは計算不能である。たとえば、地球の温暖化によってある島が完全に水没してしまう確率を、きちんと算定することはほとんど不可能である。あるいは、東京やロンドンのような先進国の大都市で無差別テロが起こりうることは分かっているが、その確率は、非常に低いと見積もらざるをえない。
 つまり、リスクがもたらす損害は、計り知れないほどに大きいが、実際にそれが起こる確率は、極めて小さい(と考えないわけにはいかない)。それゆえ、損害の予想(確率論でいうところの期待値)に関して、人は、互いに相殺しあうような分裂した感覚を持たざるをえない。










【メモ】
リスク社会のリスク
表層的な二つの特徴
・ 予想され、危惧されているリスクは、しばしば、極めて大きく、破滅的な結果をもたらす
    (例)自然生態系の破壊=人類のあるいは地球の生物全体の絶滅
       テロ=死傷者数や精神的なダメージ(大きい)
  ・ リスクが生じうる確率は、一般に、非常に低いか、あるいは計算不能である
   (例)地球の温暖化によってある島が完全に水没してしまう確率を、きちんと算定することはほとんど不可能
     東京やロンドンのような先進国の大都市で無差別テロ=確率は、非常に低い


リスクの損害=計り知れないほどに大きい+起こる確率は、極めて小さい
∴分裂した感覚を持つ








【メモから文章にしたもの】
 リスク社会のリスクには二つの特徴がある。まず、予想され、危惧されているリスクは極めて大きく破滅的な結果をもたらす。例えば自然の生態系の破壊は人類や地球の生物全体の絶滅をまねきかねないし、テロは死傷者に加え精神的なダメージが大きいものとなる。次にリスク社会のリスクは生じる可能性が非常に低いか、計算不能である。例えば地球の温暖化によってある島が水没してしまう確率を算定することは不可能だし、また、先進国の大都市で無差別テロが起きる可能性は極めて低い。
 つまり、リスク社会のリスクは計り知れないほど大きく、加えて、起こる確率は極めて小さいものになる。
 その結果、私たちは分裂した感覚をリスクに対して持つことになる。




  


※課題文と比べるとだいぶ君たちの書く文章っぽくなったのではなかろうか。




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