理由を説明する設問が小論文であったとしよう。小論文での場合、単純に現代文の問題と思ってはいけない。例題を一題やってみよう。
学部は社会科学系の学部の問題と仮定する。
日本全体の就業者人口は2007年の6,427万人をピークに減少しており、景気に左右される面はあるものの少子化の影響で趨勢的には減少が続くだろうと予想される。それでも高齢者の就業率が上昇することは経済には大きなプラスになるだろう。年金支給開始年齢の影響もあるだろうが、近年高齢者の就業率が上昇してきているのは心強い。
設問 赤字部分の理由を説明しなさい。
まず、現代文として文脈を追っておくと、就業者人口が減る傾向にある中で「高齢者の就業率が上昇すること」は「心強い」わけだ。
すると「就業者人口の減少に歯止めがかかるから。」程度の解答になるだろう。
しかし、小論文としては「経済には大きなプラス」という部分も活用する。
経済にプラスというのは景気がよくなること程度のイメージは持てるはず。しかも「大きなプラス」である。ここで「経済」のセンスとして、「景気がいい=生産と消費がいい=需要と供給が大きい」みたいな知識を持っているかどうかである。公民科目の公共(現代社会)や政治・経済の知識を活用するといいだろう。また、学部志望のセンスも問われているかもしれない。単なる読解問題ではないかもしれないと「冷静に、正確に、丁寧に」考えてみることだ。
そう考えると先ほどの20字程度の解答が「就業者人口に高齢者が加わることとは生産面において貢献していることにつながる上に、消費面においても高齢者に収入があるので、需要を増やすことに貢献することになるから。また、高齢者にも収入があるなら、生活で貯蓄に頼る部分が減るので、より消費しやすい社会にもなるから。」 というように130字近い解答になる。
小論文で字数を増やすときは、思考する視点を増やしてみることだ。もちろん、文脈把握は前提でだ。今回は「経済には大きなプラス」に気づけたか。ここでは、収入と消費の面に加え、貯蓄と消費の関連も付加してみた。これをみれば社会科学系の学部の教授=採点者も安心して入学を許可してくれるだろう。採点者は進路先の先生なのだという視点を忘れてはいけない。その専攻(大学で学ぶこと)にふさわしい知性やセンスを試験しているのであり、単なる水増しする技術を期待しているのではないのだ。そのためにも先ほどと同様に、進路先について基本的な知識は持つように努力しよう。白紙のまま、進学してもつらいだけだ。
*昔、書いた教材の一部を改変して掲載しました。
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