ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

樹下の二人

2018-06-29 03:24:31 | 資料


あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。

かうやつて言葉すくなに坐つてゐると、
うつとりねむるやうな頭の中に、
ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。
この大きな冬のはじめの野山の中に、
あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、
下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう。



高村光太郎の詩から引用した。
男女の彼我の融合の快への憧憬が強く描かれている。
それは天上の幸福ではなく地上の幸福なのだ。
この世界に生きている者だけが味わえる、地上の幸福。
つないでいる手が強い。

詩はもっと長いが、この部分が快いのであげた。



たはぶれて吾妹の喉にふれみればながるるもののあつきにゑひぬ    揺之






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