ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

夏の日の歌

2018-08-04 03:26:23 | 資料


青い空は動かない、
雲片一つあるでない。
  夏の真昼の静かには
  タールの光も清くなる。

夏の空には何かがある、
いじらしく思わせる何かがある、
  焦げて図太い向日葵が
  田舎の駅には咲いている。

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。

山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の真昼の暑い時。



今日は中也をとりあげた。
何かを浄めているような夏の光と、夏服の母の幻影がしじまのなかで結ぶ。
母親は上手に子供を育てられるのか。その声は汽笛に似ている。
何を言っているのか。

人間を育てるのはだれだろう。

真実との間に一瞬ひらめく傷が痛い。

詩人は親に上手に育てられたのだろうか。



かぞいろの夢となりたき子は病みてかなしかりけるゆがみゆく骨    揺之





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