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ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

アルマ

2017-08-27 04:02:04 | 絵画


トマス・ウィルマー・デューイング(1851-1938)、アメリカ。


女性が闇に塗りこめられている。

白い肌だけが空蝉のように浮かび上がっている。

幻になっていく人間の姿を予感しているようだ。



墨染のたそかれにあふまぼろしの白きおもてに忘るる月夜   揺之






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春の踊り

2017-08-25 03:25:20 | 絵画


アーサー・フランク・マシューズ(1860-1945)、アメリカ。


動きのある風景だが、押さえた色調と人々の硬い表情に、何らかの恐れを感じる。

時代は暗い方向に流れていても、春は来る。踊る人はいる。

だがそうしながら、人は何かの予感を感じているのだ。



かぎろひの春にとけゆくあはゆきのとけぬがごときおもひにうずく    揺之






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早春の夜明け

2017-08-24 03:41:14 | 絵画


ドゥワイト・W・トリオン(1849-1925)、アメリカ。


光が美しい。

希望はいつもこういう形でやってくる。

だがそれも深海の底に溶けていく一筋の糸のようだ。

人間はこれから、あまりにも大きな闇に入っていかねばならないのだ。



つはもののなさむ心を夏草のしげくためして世をとはむとす    揺之






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青ざめた馬に乗った死

2017-08-20 03:37:53 | 絵画


アルバート・ピンカム・ライダー


鎌を持った死神が馬に乗って走っている。

彼はレース・トラックをぐるぐると回っているらしい。

どこにいくつもりなのか。


いさなとり海に吠えにしわらはがみ死んでくれとはいうてはみるが   揺之






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だれのものでもない土地

2017-08-17 03:41:24 | 絵画


アレクサンダー・ヘルウィグ・ワイアント(1836-1892)、アメリカ。


何もない荒れ地の上に陰鬱な空が広がっている。

こんな世界に引かれる心とはどんなものなのか。



はてしなき荒野の風が泣くものはゆくすゑかそも我がこしかたか   揺之






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月明かりの道

2017-08-13 03:25:09 | 絵画


ベン・フォスター(1852-1926)、アメリカ。


どこかに続く道を見ると、吸い込まれていきそうだ。

こことは違うどこかに、本当の世界があるかもしれない。



しゃうめつは月のかたちのさだめかはなきものとなりあるものとなる   揺之






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嵐の後

2017-08-09 03:12:24 | 絵画


ジョージ・イネス(1825-1894)、アメリカ。


嵐の後の風景。

虹はまるで閃光のようだ。鳥はまるで戦闘機のようだ。

これから晴れるとはとても思えない。

人間はこれから闇に入っていくのだ。



知らぬ身を着ねばたふことかたき身のいつはりをとふ後ろ身の影   揺之






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黄昏の五番街

2017-08-05 03:15:17 | 絵画


ローウェル・バージ・ハリソン(1854-1929)、アメリカ。


幻のような街だ。

自分が幻なのか、それとも世界が嘘なのか。

どちらにしろここで生きていかねばならない。



わたつみを虚仮とそしりし飛び魚の風にまよひて砂丘に溺る   揺之






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嵐の風景の中の原住民野営地

2017-08-02 03:12:50 | 絵画


ラルフ・アルバート・ブレイクロック(1847-1919)、アメリカ。


嵐の空の下に、アメリカ原住民のテントが小さく見える。

見てはいけないものを見ている、人間の心がある。

だがあれは、決してないものではないのだ。



やらざりしことはかへりてとこしへのきぬとなりてはをとこをしばる    揺之







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黄昏の帰還

2017-07-28 03:17:52 | 絵画


エリオット・デインジャーフィールド(1859-1932)、アメリカ。

黄昏に疲れ果てた女が家に帰って来る。

悲惨な仕事なのだろう。アヒルは何も考えてはいない。

日没は何かの終わりを表しているかのようだ。



たそかれの老いはしばしのまぼろしか明日を見むとて見えぬわがきは   揺之






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