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映画『小さき麦の花』(これは卑怯な映画だ・・・)

2024年01月25日 | テレビ・映画・DVD・演劇

“ワイフ君”が『あの人たちは本当に役者さんなんだろうか』と思ったほどリアルだったと話してくれました。そこで、わたしも早速「WOWOWオンデマンド」で観てみたんです。

貧しくて障害をもった人たちに、ここまで辛いおもいをさせるものではありません。時を経て夫婦間に静かな愛は流れていますが感動というのとも少し違います。あまりの卑怯さに不覚にも涙してしまいました。

2023/2/10(金)公開『小さき麦の花』予告編

 

わたしが一番身につまされたのは、馬車に刈り取った麦の束を積み上げるシーン。馬車の上から夫のヨウティエが妻のクイインに麦束を棒で上にあげてくれと頼みますが、身体に障害があって力のないクイインはどうしても上手に上げてやることができません。

「たらふく麦は食うくせにそんなこともできんのか ロバだって餌をやればはたらく」

と夫のヨウティエが妻をなじります。折しも隣の畑では、同じ作業をやすやすとこなしている他家の嫁の姿が見えます。思い余ってヨウティエはそんな妻を突き飛ばしてしまいます。倒れた妻を起こしてあげたり謝ったりはしませんでしたが、ヨウティエが自分を責めて深く後悔していることは容易に想像がつきます。

もしかしたら、状況は違うにしても、いままでの人生の中で似たようなことを自分は“ワイフ君”に多少なりともしたことはなかっただろうか・・・。そんなことを本気で考えてしまったのでした。こんな卑怯な映画は絶対に作ったらいけません。

 

映画『小さき麦の花』公式サイト

映画『小さき麦の花』公式サイト

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4 コメント

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Unknown (avril_kanabun)
2024-01-25 15:21:31
重いですね
昔観たフェリーニの「道」を思い出しましたよ
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“アブリルさん” (koji)
2024-01-25 15:45:03
コメントありがとうございます。
感動作を装いながら、若者達のかかえる不満の矛先を変えるためのプロパガンダ映画と捉えることが出来なくもありません。
この国ですからね。
いずれにしても、このような境遇にある人々にこそ、どこの国家だろうとも救いの手を差し伸べるべきで、清く貧しく美しい感動作などと持ち上げたりしてみせるのは、とても恥ずかしいことだとわたしは思いますがどうでしょう。
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Unknown (eowyn)
2024-01-25 20:46:40
kojiさんの「卑怯」とは、この映画が「清く貧しく美しい感動作」のように作られているという意味ですか。

昨年春、映画館で見ました。
わたしのブログ記事にも書きましたが、この映画は検閲後、エンディングが差し替えられています。
ネタバレになるので伏せますが、「清貧を称える」映画ではありません。
監督は「この状況をどう解釈するか」と観客に課題を突き付けたと、わたしは感じています。
ラストを差し替えた当局は、わたしも「卑怯」だと思います。「清貧を称える」映画のように見えるなら、当局はまんまとやったと言えるでしょうね。
中国では公開後、特に若い人たちのSNSでバズって、大ヒットにもかかわらず、突然上映中止になりました。
金儲けに狂奔する社会にうんざりした若者が、現状に疑問を持ったのかもしれません。
いかに経済成長しているとはいえ、今でも6割の人たちは非常に貧しい暮らしをしていることを思うと、いろいろと闇は深いです。

ちなみに、ヨウティエは地元の人だそうです。クイインは、有名人気女優です。
この映画はリアリティを出すために、西北地方の方言で話されています。
クイイン役の女優さんは、撮影前から地元に入って方言を身に着けたそうです。
わたしは普通话(標準語)しか勉強していないので、全くと言うほど聞き取れませんでしたw

>いままでの人生の中で似たようなことを自分は......
お優しいですね。
でもきっと奥様はわかっていらっしゃると思います。
聞いてみてください。手に花の模様をつけてくれるか、と。
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“eowynさん” (koji)
2024-01-26 03:44:21
コメントありがとうございます。
立場の弱い人たちがさらに辛い目に遭う、そんな状況をみせられて心を痛めない人はいません。
そこに訴えかけるのは“卑怯”だという意味です。
救いとなっているのは、厄介払いされて夫婦にされた二人だったけれど、次第に相手を慈しみ愛し合うようになるというところが、実にさりげなく日常生活のちょっとした中に見事に表現されているところで、配役を含めてこの監督さんの手腕だと感じました。
お仕舞いは、妻をなくし、ロバを捨て、家を金に換えてしまったこの男は土を捨ててこれからいったいどうなってしまうのか・・・。しかし、政府の住宅政策にまんまと乗っかってしまうというころに、この映画の本筋とは異なる違和感と意図を感じます。
それが“eowynさん”の言葉を借りれば「清貧を称える」映画にされてしまったということだと思います。
ラストの差し替えをさせられる前のオリジナルをぜひ見てみたかったものです。
農民が農業を営んで豊かな生活が出来ないという状況はわが国をはじめとしてどこの国にも存在している由々しき事態で、これはまったく国家の責任だとわたしは思っています。
“ワイフ君”はいったいどう思いどう感じながらこの映画を観たのでしょう。
小さき麦の花ってあれのことだったんですね。
わたしが尋ねたら“ワイフ君”はきっとおもい当たることが沢山あるんだろうと思います。
だって、わたしもヨウティエと同じく聖人君子ではありませんからね。
これを機会に、極力やさしくあろうと思わせるいい映画でした。
ありがとうございます。答え方が不十分でしたので回答を追加修正させていただきましたことをご了承ください。
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