Keep Your Stick on the Ice!

カナダで出会った生きている英語

Tell me about it!

2007年03月27日 | Weblog
 Beverlyの仕事場にお邪魔している時、彼女がキャビネットの大きな引き出しを引いているのを見て、ちょっとびっくりした。多数のファイルにおびただしい数の書類が整然と保存されている。「すごい数のファイルだね」と口にしたら、彼女は"Tell me about it!"と返してきた。「それについてわたしに語れ!」っていったい何だ。もう語ったではないか。何と返事をすればよいか分からずまごついているうちに、忙しいのか彼女は足早に去って行った。こんな時の友、Christianである。彼に説明を求めたら「説明するのが難しい」と言いだしたから、やはりこれは特別な表現だったらしい。同意を表す言い回しであることをあれこれと説明してくれたが、後で辞書を見てみると、ちゃんと出ていた。「とうに知っているよ」など、いくつかの意味があるが、さっきの状況を最も端的に表した訳は「ごもっとも」のようだ。"You don't have to tell me about it."と置き換えられるだろう。Beverlyは怒っていたのかと、少しばかり危惧したが、それは杞憂だったようだ。

She's older than me.

2007年03月26日 | Weblog
 前回の"That's me!"に引き続いて、"me"が"I"の目的格としてではなく、"I"の単なる口語として使われるという話で、"She's older than me."が一例であるということが辞書に書かれていた。これは意外な文法解釈である。最も一般的には、"than"は接続詞であるから本来は"She is older than I am."とするべきで、最後のbe動詞を省略して"She is older than I."となると教えられることだろう。ところが"than"を前置詞のように扱ってしまうと、代名詞は目的格にせねばならず、"She's older than me."となる。Janetに聞いてみると、僕が予想した通りの回答で、「前者が正しい英語だが、実際には後者を使うネイティヴも多い」とのこと。僕は"She's older than me."でも"She's older than I."でも、どっちでもいいと思っていたが、中学、高校の英語では"She's older than me."では点数がもらえないと、日本人の友人が言っていた。何も書けない生徒よりはずっといいではないか。英語教師には知識ではなく、表現しようとする努力を評価して欲しい。教えたって、子供たちは学ぼうとしない。インスピレーションを与えなければ。

That's me!

2007年03月25日 | Weblog
 Janetがタイに行った時のビデオを、彼女のパソコンで見せてくれた。1ヶ月間の旅行中にvideographerが撮影して、それを彼女が購入することによって手に入れたものらしい。さすがに手が込んでいて、いい感じの音楽も編集によって組み込まれている。かなり大柄のJanetが、熱帯魚の泳ぐ珊瑚礁を優雅にダイビングしているのには驚かされた。それを指して"That's me!"と年齢にそぐわずはしゃいでいた。この"That's me."はよく聞く英語であるが、ふとおかしいことに気付いた。自分の辞書で確認してみると、意外なことが書かれていて、この"me"は"I"の目的格でなく、どうやら"I"そのものの代わりに使われるらしいことを発見した。別の言い方をすれば、"I"の口語が"me"ということである。実際、"That's me."は第2文型であるから、主語、be動詞、補語の順に並ぶはずで、最後の補語は目的格にする必要はない。本来ならば"That is I."が正しい英語のはずであるが、いったいどうなっているのか。Janetは僕の論文を書き直す仕事をしているので、そんなことをちょっと聞いてみた。ChristianやAndrewよりもかなり英文法は詳しい彼女であるが、「最後は目的語だから目的格の"me"にしなければいけない」などとあやふやに言い、やはり奴らは英語の文法なんて分かっていないようだ。後日、英語の文法書で確認してもらい、ノン・ネイティヴの僕の言い分が正しいことを認めてもらった。とにかくはっきりしたことは、"That is I."が正しい英語でも、こんな言い方をする人は誰一人いない。"That's me."がインフォーマルであることを知りつつ、みんな"That's me."と言う。"That's he."も同じで、誰しもが"That's him."と言う。

The human body is made up of 80% water.

2007年03月24日 | Weblog
 僕が子供の頃、mineral waterが売られていないことはなかったが、特別な目的がない限り、お金を出して水を買うという気にはなれなかった。水道水が飲める日本でも、今や、どこに行っても水は売られている。Torontoでも状況は同じである。先日、そんな水の宣伝文句を見ていたら、"The human body is made up of 80% water."という文があった。"be made up of"で「から成り立っている」だから、「人の体の80%は水から成る」という意味だろうが、文法的にどう解釈すればいいのだろう。どう頭をひねっても、今の僕の英語の知識からはこのような表現は出てこない。割合のいい表し方は難しい、丸暗記するしかないのかと思っていたが、"It is made up of 80% cotton and 20% polyester."という文を見つけ、ようやく理解できた。"80%"は形容詞的に使われているということと、残りの"20%"が省略されているのである。では、残りの20%とは何か。タンパク質、脂質、炭水化物、核酸などなど、数え上げたら切りがない。そもそも80%というのは科学的に正しいのだろうか。生物学者の端くれとして、ちょっとだけ気になる。

Can I borrow you for two secs?

2007年03月23日 | Weblog
 Christianに"Can I borrow you for a second?"と呼ばれた。「ちょっと手を貸してくれ」といった感じだろう。"a second"は言うまでもなく、文字通りの「1秒」ではなくて、「ちょっとの間」という意味で"a minute"とたいして変わらない。カナダに来て気が付いたことは、こういう状況で"two seconds"とか"two minutes"と言う人がけっこういることだ。日本では習ったことも、聞いたこともなかった。特別な意味でもあるのかと思っていたが、「ちょっとの間」よりも少し長いことを意味したいだけで、そんなに深い意味はないらしい。彼によると、よく使われるのは"a second", "two seconds", "a minute", "two minutes"に加え、もう一つが"ten minutes"らしい。"a second"は"a sec"、"two seconds"は略して"two secs"ともよく言われる。"secs"は"sex"と同音だが、何も使うことを恥じる必要はない。

She's a wimp.

2007年03月22日 | Weblog
 先日の送別会で、タイ料理のgreen curryなるものを口にした。辛い物はあまり得意ではないが、いつの間にかある程度は食べられるようになったようだ。Taraは僕と同じく辛い物は食べられないようだが、やめておけばいいのにgreen curryを注文して、やはり食べられず、Christianに押し付けたことがあるという。彼は"She's a wimp."と言っていた。「弱虫」とか「いくじなし」という意味の口語だが、こんな時にも使えるようだ。僕はグルメでもなんでもないが、ちょっと書かせてもらうと、辛い食べ物を好み、かつそんなことを誇りに思っている奴らをかわいそうに思う。生理学的には、辛味は味覚ではなく痛覚とされている。発熱、発汗、食欲増進などメリットはあるだろうが、単に刺激を追求するだけでは、どんどんエスカレートして、日本食独特のあの繊細な味を楽しめなくなると勝手に思っている。作る側にしたって、辛くすれば喜んでもらえるのだから、味へのこだわりもなくなってしまう。そんな奴らには日本の子供たちが食べるあまり辛くないカレーのあの絶妙な味は分からないだろう。幸い、辛い物にそそのかされていないChristianもAndrewも、僕の作ったカレーを娘と一緒に喜んで食べてくれ、今では日本のrouxを買って自分たちで料理を楽しんでいる。

Forget it!

2007年03月21日 | Weblog
 カナダでの一つの夢は大陸横断道をcoast-to-coastに、車で走ることである。これによって日本とは比べものにならないくらい広大なカナダを、せめて一次元的にでも自分の意志で見て回ることができる。一度で端から端までドライブしてみたいところだが、時間とお金の関係でそうも行かず、10回かそこらに分け、それらを全てつなげることで夢を達成したいと思っている。この長い冬の間はおとなしくしていたが、いよいよ春が近づき、さらに4月末には帰国ということもあって、東のSt. John'sから西のVictoriaまでをつなげる最後の3回の計画を立て続けに立てた。「そんなばかなことしていないで、仕事をしないなら一刻も早く日本に帰って来て!」というのが、一人で働いて、かつ子供の面倒を一人でみている妻の当然の言い分であるが、僕は仕事のためだけにカナダに来たのではなく、僕の人生のためにカナダに来ているのだ。Christianには"Forget it!"と言えばいいと言われた。これはいろいろな状況で使える便利な口語のようだが、ここでは、うるさいと思うことに対して「もう言うなよ」という意味で、妻に対して頻繁に使えそうな表現だ。

They're a bunch of losers.

2007年03月20日 | Weblog
 家でのインターネット接続は、SympaticoのADSLを利用している。このSympaticoというのは日本でいうNTTのようなBell Canadaの一部門で、電話サービスも含め、僕の周りではかなり評判の悪い会社である。僕自身も何度となく苛つかされたり、腹立たせられたりしていて、個々の事例を書き連ねたら、数ページに及ぶだろう。いよいよ帰国ということで、決別の時がきた。契約を切ったのに、請求書が延々と毎月送られてくるなんていうことをよく聞くので、確実に契約を切らねばと1ヶ月以上前に連絡を取っていたのだが、なんとちょうど1ヶ月前にいきなりサービスを切られた。電話をかけても全く連絡が取れない。予期せず、情報隔離された週末となった。そんなことを話したら、Christianは"They're a bunch of losers."と言っていた。この"loser"は彼がよく使う俗語で「負け犬」というような意味だが、辞書を見てみると「だめなやつ」という意味も出ている。ここでは明らかに後者だろう。"bunch"はいい意味の「仲間」としても使われるが、これも俗語っぽい口語である。

Everything's aces.

2007年03月19日 | Weblog
 子供向けのテレビ番組を見ていたら"Everything's aces."という言い回しが出てきた。郵便局にお願いしたことが、万事うまく行っているようであることを表したものである。日本にいる時にオーストラリア人から、"How are you?"の答え方の一つとして"I'm ace."というのを教えてもらったことがある。この"ace"はトランプのエースに由来し、「すばらしい」とか「最高の」という意味の口語になるようだが、どうも"aces"というように"s"を付けても意味は同じらしい。あくまで口語であり、英英辞典を見ると"informal"と書かれているが、"very good"、"excellent"、"wonderful"などのsynonymとして使えそうである。

Gotta minute?

2007年03月18日 | Weblog
 僕はガラス張りのボスSteveの部屋のすぐ前に座っており、まれに「ちょっと」と呼ばれることがある。彼が何と言っているのか、ほんの一言ながら聴き取れていないのだが、意味は取れるので特に問題はなかった。これについて、ちょっとChristianから解説してもらい、口語の奥深さを思い知らされた。Steveは"Do you have a minute?"と言いたいのだろうが、"have"は口語では"got"になり、"do you"がなくなって、"Got a minute?"、さらには"Gotta minute?"になるのだという。これは英語の文法の知識のない彼の解説であって、僕なりに解釈すると、現在完了"Have you got a minute?"の"have you"がなくなったものではないだろうかと勝手に思っている。"Gotta minute?"あるいはもっと短く"Gotta sec?"も同じ意味である。念のため書き添えておくと、"sec"は"second"の省略である。Steveが発していた聞き取り困難な英文は、たったの2単語から成っていた。

She's a busybody.

2007年03月17日 | Weblog
 VancouverにいるChristianの日本人の友人が「最近、izakayaが増えてきた」というメールを送ってきたらしく、「izakayaとは何だ?」と聞かれた。居酒屋とは懐かしい響きだ。博士課程の大学院生の頃は教授の趣向で、洋風の店に行くことが多かったが、会社で働いていた頃、また仙台で修士課程の大学院生をしていた頃はよく居酒屋に足を運んだものだ。日本に帰ったら、温泉だけでなく、居酒屋にも行かなければならない。日本酒を好まない彼がどれだけあの雰囲気を分かってもらえるかどうか分からないが、日本に来た時にはぜひとも連れて行ってやりたいと思っている。そんなわけで、居酒屋で出される料理の話をしていたら、Janetがやってきて、3人で鮨の話になった。話し好きな彼女はいろいろとしゃべって去って行ったが、また口の悪いChristianは"She's a busybody."と漏らしていた。"busybody"とは4、5年前に米国人Robertから教わったことがある懐かしい言葉だった。頭の中では意味が分かっているのだが、日本語が出てこない。辞書で調べてみたら「おせっかいな人」と書かれていたが、まあそんなところだろうか。いろいろとお世話になっている彼女には申し訳ないが、あの年齢と体型と性別が、僕のイメージする"busybody"に見事に合致していたので、心の中で笑えた。もう3年も海外に住んでいると、意味は分かるけれども適切な日本語訳がすぐに出てこないという状況がけっこうある。

It's a blast.

2007年03月16日 | Weblog
 Torontoの西には、カナダで7番目に人口の多いMississaugaがある。反対に東にはPickering、Ajax、Whitby、Oshawaというような市が順番に並んでいる。Whitbyに住んでいるJulieが家を買ったということで、先週末はホームパーティーがあった。懐かしい、12号線へと続くBrock通りの近くだった。さてその帰り道でのこと、tobogganingというそりの話になって、Beverlyが"It's a blast."と言っていた。"blast"とは「とびきりすばらしいもの」という俗語だが、その後で僕が"Driving is my blast."と言ったら、「"blast"の前には必ず"a"を使わなければいけない」と彼女が直してくれた。こういう時、カナダ人は不定冠詞"a"を「エイ」と発音する。高校生の時にそう習って、疑問に思っていたが、これに限らず「エイ」と発音される場面はけっこうある。さて、"blast"はスピード狂の言葉かと思っていたが、そうでもなく、Julieが"My party was a blast."と言っていた。それを聞いたChristianは「そんなのは80年代の英語だ」と言い、JulieはJulieで反論していた。言葉はやっぱり人と一緒に生きていて、一筋縄では行かない。

What's their name?

2007年03月15日 | Weblog
 中学校で"everybody"など"every"があると「単数扱い」と習うが、カナダ人とこのことを話してみると、彼らは「扱い」どころではなく、本当に単数の名詞だと思い込んでいる。いや思い込んでいるのは僕らの方であって、"every"は"each of all"の意味であることをよく認識しなければいけない。しかし、このややこしい話は実は英語の文法そのものの中で破綻を来しているようにも思われる。単数だから、正確にはhisやherで受けなければならないのだが、男女が分からない場合や、混じっている場合がある。"his or her"がよく使われるが、最近の英語では"their"で受けるのが一般的になりつつあるという。確かに僕の辞書にも口語としてならば"their"は"his or her"と同等だと書かれている。ちなみに"her or his"とは誰も言わない。さて、生活のいろいろな場面で赤ちゃんに会うことがあるが、話をつなげるために何か会話をしたい。そんな時、日本語だったらあまり問題にならないが、英語だと性別が分からないといろいろ困ったことになる。当てずっぽうで間違えてはなおさらだ。例えば、名前を聞くにはどうすればいいのか。"What's its name?"でいいかとChristianに聞いてみたら「動物じゃないんだから絶対駄目」とのこと。普通は"What's their name?"と聞くらしい。"their"の後に単数名詞が来るのが不思議に思えるが、これが現代の普通の英語。では、"How old is they?"かと思ったら、これも駄目で、正しくは"How old are they?"とする。赤ちゃんが一人でもそれ以上であっても。

Ages ago.

2007年03月14日 | Weblog
 テレビを見ていたら、降りるべきバス停を寝過ごした男が、近くにいた乗客にそのことを確かめると、"Ages ago."なんて言われてばかにされている場面があった。「とっくの昔に」という意味の強調された面白い表現だ。数年前のことを"I met him ages ago."などとも言えるが、そのテレビの例ではほんの数分前のことを"ages ago"と言い表している。つまり非常に主観的な言葉であることが分かる。"age"は基本的には「年齢」を意味するはずだが、月齢でも、週齢でも、日齢でもいい。"Stone Age"などとすれば「時代」となる。複数形にすれば、他にも"for ages"などのように、漠然と「長い期間」を表す口語になる。

Pictured is a dried self-pollinated ear from ...

2007年03月13日 | Weblog
 遺伝学のジャーナルを読んでいたら、また倒置と思われる表現を見つけた。"Pictured is a dried self-pollinated ear from the heterozygous plant."というような一文が載っていたが、意味は取っていただけるだろうか。"self-pollinated"や"heterozygous"という単語がjargonかもしれないが、それほどproprietaryな表現でもない。ポイントは"ear"で、辞書には載っていないし、日本語で正しくはどう言えばいいのか分からないが、これはトウモロコシの穂を意味する。店で売られているあの棒状の一塊のことである。それに対し、一つ一つの粒のことは"kernel"と呼ばれる。遺伝学の特別な言葉ではなく、なぜあれが「耳」なのか判然としないが日常会話にも出てくる。さて、ここでは"picture"が動詞として使われ、受動態の過去分詞が文の先頭に置かれている。プレゼンテーションで、"Pictured here is ..."つまり「ここに示した写真は」というような言い方も耳にするので、覚えておくと便利そうだ。