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「プロセス不透明で国民はパニックに陥りやすい状況だ」 メディア研に岩田健太郎教授寄稿

2020-03-02 22:00:00 | ニュース
 新型肺炎の流行をめぐり、日本全国が対応に追われている。大学生にとっても、イベントなどのキャンセルでアルバイトがなくなるなど実生活への影響が及んでいる。感染症の専門家である神戸大病院感染症内科の岩田健太郎教授(48)は2月18日、新型肺炎の集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号船内での感染対策を告発する動画をYouTubeに公開した。動画は海外のメディアにも注目され、大きな反響を呼んだ。
 いよいよ全国の小中学校・高校が休校となるなど重大な局面になった現在、岩田教授は日本の社会、感染対策をどう見ているのか。岩田教授にメールで聞いたところ、3月2日15時過ぎに岩田教授からの返信があった。その内容を掲載する。<玉井晃平>

−−神戸大学の新型肺炎対策をどう評価しますか。
▽神戸大学は所属先なので、コメントすべきではありません。特に危機時には、パブリックに所属先のやり方を褒めたりけなしたりはしないものです。決定的な誤謬があれば担当者に直接連絡します。

−−現在の日本の新型肺炎の対応についての問題点はなんでしょうか。
▽全体的には上手くいっています。が、コミュニケーション部門が弱いので、政府とか厚生労働省とか、感染症研究所がなにを意図してなにをやっているのかが明白ではありません。
 意思決定プロセスも不透明です。よって、国民はパニックに陥りやすい状況になっています。

−−岩田教授からは、今の日本の社会がどのように映っていますか。
▽少しずつですが、よくなっているのではないでしょうか。以前は、上意下達で自治体は政府からのFAXが送ってこないと何も動けなかった(例えば09年インフル)。しかし、今は政府の方法に準じつつも、地域の実情に応じて自分の判断を守ろうとする自治体や団体、個人も現れています。全部おかみにおまかせではなく、自分で考え、自分で判断する萌芽があります。
 情報マネジメントについても、たくさんの問題がありながらも、それを正常化させようという意志が常に出現しています。デマが出れば訂正され、意見がでれば異論が出現し、「ものをいうのがタブー」といった、悪い意味での同調圧力が弱くなっています。なんだかんだで、日本社会はいろいろ不自由ながらも、少しずつましになっているのです。

●いわた・けんたろう
神戸大学病院感染症内科 教授

(写真:神戸大医学部サイトから)


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