男か女か？

このあいだの会話クラスのトピック、「もう一度生まれるなら男と女、どっちがいい？」にしてみました。いやぁ～おもしろかった！

会話クラスをやってる2年生は男女半々くらいあるんだけど、ほぼ全員、男はまた男、女はまた女がいいって結果でした。でもね、女の子8人中でふたりだけ、次は男がいい、とのこと。それがまたヒジャーブ（頭に巻いて髪を隠してる布）してない子たちなの。服装もけっこう自由で髪もカラーしたりとかしてけっこう自由にやってるようなのに、男のほうが「自由」だから男がいいって言うんだよね。おもしろいなぁ～って思った。
全体の意見を簡単にまとめると、以下の通り。

男性：自由、いつでもどこでも好きなところに行ける、責任が大きい（特に家の外）、軍隊に行かなければならない、結婚してもしなくても働かなければならない、結婚式のときたくさんお金を払わなければならない、子どもが産めない、（肉体的に）力が強い、家事をしなくてもいい

女性：責任が少ない、好きなときに好きなところに行けない、軍隊に行かなくてもいい、結婚したら働かなくてもいい、結婚しなくても（家族が養ってくれるから）働かなくてもいい、子どもが産める、家の中の責任がある（家事、子育てなど）、結婚するときお金を払わなくてもいい、（肉体的に）力が弱い

ここでおもしろかったのが、①働くことのチョイスと②責任の大きさについて。

まず①についてだけど、男の人は結婚しようがしなかろうが家族を養わなければならないという義務（←コーランにも明記されているらしい）がある。つまり、結婚したら妻と子どもを養い、結婚していなくても年老いた両親や結婚していない女兄弟、小さい弟などを養わなければならないそう。大変ねー。男が家計を支える、という基本だから、たとえ奥さんのほうがお給料が高くても仕事をやめさせて自分が働いて養うって意見の男の子もいた。逆に、女の子は働くことのチョイスがある。働きたかったら働いてもいいし（ほとんどの男の子は、子どもがいなくて奥さんが働きたいと言えば働いてもいいという意見）、働きたくなかったら旦那に養ってもらえる。あ、ここでいう「働く」っていうのは家の外でってことね。その場合は家事は女性がやることになるんだろうけど、ご主人がお金持ちだった場合は、お手伝いさんを雇うという選択肢もある。実際うちのアパートの向かいの家も何人かお手伝いさんがいるみたいだし。いずれにしても、家族を養うのは男の役目らしい。

①とも関係してるんだけど、次のポイントは各自が持つことになる「責任」について。おもしろいのが、基本的に、家の外の責任は男が、家の中の責任は女が持つっていう考えが基礎にあるみたい。子育てはふたりの責任とは言ってたけど、まぁ他の家事同様、夫は基本的には「手伝う」という姿勢みたい。いっしょに、じゃなくて。やっぱりメインは女性が、ってことらしい。それで、気になったのが、女の子がまた女に生まれたい理由として、「責任が少ない」ってことを挙げているところ。やっぱりこれは、基本的には夫が家族を養うから、女性は仕事をしていてもそれで食べていかなければならないほどの重要さとか危機感はないってことみたい。仕事がなかったら夫に養ってもらえばいいや～みたいな感覚かな。逆に男性は家族を養っていかなければならないという大きな責任があるから、なんとしても仕事を見つけ、できれば高い収入を得たい、と。結婚のときもたくさんお金を使うみたいだから、仕事のよしあしは収入に関係していて、またそれは、結婚にも関係している、と。まぁでも、女性は家の中での責任が大きいから、総合的に見た責任の大きさって面では平等になるとは言ってたけど…あ～なるほど～って思ったよ。女は家事をするべき！みたいな男の子の意見に「○○さんは500年前の人です！」（＝考え方が古いってこと）って憤慨しながら抗議してた女性とでさえ、「女性は社会的責任が少ないからいい」という。つまり、仕事をする自由はほしいけど、それに付随する責任はほしくないってことだよね。仕事はしたいけど、社会的にも経済的にも自立して自分の人生をしょって立つってほどの覚悟とか危機感はないみたい。まぁその根底には、「家族は夫が養う」っていう宗教的な考えがあるんだろうけど…。

でも、そんな感覚でする仕事って、果たして楽しいんだろうか？
責任が伴うからこそやりがいがあるわけで、危機感を持ちながらやるからこそプロとしての意識も高まるし、その責任や危機感を維持して結果を残していくことが自分の社会的、経済的な自立につながり、それが満足感とか達成感とかやりがいってのになるんじゃないのかなぁ。それがなくてただ楽しいだけだったら、ただの趣味なんじゃ…。
そんなことを、授業のあと同僚の先生方を話したりした。ある程度目標を定めないと趣味だって飽きてくるだろうし、趣味ならいつだって好きなときにやめられる。なんにも「やるべきこと」のない毎日はむしろ苦痛だよねぇ…ってことで私達は意見が一致。まぁそれというのも、ただでさえこの職場は毎日の業務に忙殺されてるから、自分達の苦労をねぎらうって意味もあったんだろうけどね（笑）。

あとね、「女性は（結婚相手として）男性に選ばれるのを待ってるだけでいい（から女性がいい）」という意見もあったんだけど、これには即反論（←私が・汗）。だってね～、選ばれるまで待ってるなんてイヤだよぉ。自分で自分の好きな人を選びたい。決められるのを待ってるなんてイヤ。自分で決めたい。そうじゃない？って聞いたら、何人かはわかって同意してくれたけど…どこまで本気の同意なのか（笑）。まぁ、自分で決めたからには責任も伴うからね。昔みたいに親が決めたなら、結婚が失敗しても親のせいにできるけど、自分で決めたなら維持する努力も失敗したあとのことも、全部自分の責任だもんね。それを負うのもイヤなのかもしれないなぁ…。


私だけじゃなく、学生達もなかなかの盛り上がりをみせたこのトピック。やっぱり結婚関係のネタは、みんなちょうどお年頃だからか、食いつきがいい。次は何にしよう・・・毎週、ネタ探ししてます。

ちなみに私の答えは、「女」です。次生まれても女がいい。「きれいであること」を意識しなくちゃいけなかったり（←これはどこの世界でも同じみたい。シリアでも「きれいな」女の人は得だって）、「低方婚」の流れ（←シリアでも同じ！ってクラスの女子たちが言ってた）にどうしても逆らう方向に進んでしまったりと面倒も多いけど、やっぱり女がいい。自由だもん。同じように責任をとらなければならなくても、男性はどうしても規制が多いような気がする。社会に沿わなくちゃいけないよう風潮がどうしてもあるような気がする。その点女性は、まだまだ障害もあるけれど、社会との関係がいまだ定まっていないところが多いから逆にどのようにも変えられるっていう利点があると思う。楽観的すぎるのかもしれないけれど、まだまだ開拓の余地ありって感じる。自由があれば、もちろんそのことに対するリスクや責任もあるけれど、それがなくちゃなんだか偽物の自由みたいで、そんなの欲しくない。そこらへん、もうちょっと詰めて学生たちと話してみたいなぁ。特に女の子たちと。

そうそう、こないだ学生のお母さんと会ったときにもそんな話をした。サウジの女性がいかに良いか、について（笑）。すっごくおもしろかった！もっといろんな世代の人とも話したいなぁ。よーし、やっぱりアラビア語かぁ。この夏は頑張りまーす！