大同大学-高森裁判 経過ブログ

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問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

電機連合が同一価値労働同一賃金の方針

2009-07-15 05:42:16 | 労働問題ニュース雑感
日経新聞の社説に電機連合が、派遣以外のパートなどの非正規社員も含めて同一価値労働同一賃金の原則を打ち出したというニュースが載ってました。

社説1 正規、非正規社員の壁を崩す電機連合(7/12)  
 パートなど非正規社員の処遇を公正な仕組みにし、正社員と均衡させるにはどうしたらいいか。電機連合が定期大会で決定した新しい賃金政策はその手立ての一つになる。
 賃金を仕事内容や社員の能力に応じて決める方式にし、パートなどにも適用する。非正規社員の賃金制度を正社員に近づけ、両者の壁を崩そうという案だ。非正規社員のやる気を引き出し、企業の生産性向上にもつながる。労組が投じた一石を電機はもちろん、他業界の経営者も受け止め、均衡処遇に取り組む時だ。
 電機連合は8年ぶりに刷新した賃金政策のなかで、「同一価値労働、同一賃金」の立場から正規、非正規社員の均衡処遇を打ち出した。派遣や請負社員を除き、パート、契約社員など雇用契約を企業が直接結ぶ非正規社員が対象になる。
 傘下労組に労使で協議する際の材料として新しい賃金制度のひな型を示し、製造現場、設計開発などの職種ごとに、求められる能力や役割に応じて5つの等級を設けた。非正規社員の多くは「担当業務の知識や技術の習得段階」とした「レベル1」や、「上司の指導で業務を遂行できる」などとした「レベル2」に位置づけられると想定している。
 仕事の中身を基準にすることで非正規社員の納得を得やすくなる。流通、サービス業界などの労組から成るUIゼンセン同盟も均衡処遇を目指し、パートの賃上げに力を入れているが、電機連合の案は賃金の決め方がより合理的といえるだろう。
 業種の性格上、非正規社員が傘下組合員の45%に上るUIゼンセン同盟などを除けば、大部分の労組は均衡処遇の実現に消極的だった。念頭にあるのは組合員の大半を占める正社員の処遇改善だった。
 今回の電機連合の方向転換は、労働形態の多様化という時代の変化を直視した結果である。これを呼び水に均衡処遇を目指す動きが産業界でさらに広がることを期待したい。
 総人件費が限られるなか、非正規社員の処遇の向上は正社員の待遇切り下げにつながる可能性もある。均衡処遇の実現は簡単ではない。
 だが非正規社員の士気を高める効果は大きい。電機連合の案のように等級ごとに求められる能力を明確にすれば、パートや契約社員が自ら能力開発に励む際の目安にもなる。
 非正規社員を含め人材の力を引き出すことで、企業はより多くの付加価値を生み出せる。それが新たな雇用創出につながる。そうした中長期的な視野に立って経営者は均衡処遇に取り組んでほしい。


 はてさて、連合系の労働組合が自分たち(=正社員)の待遇を切り詰めてでも、非正規社員の待遇をマシにしてあげて、生産性を上げましょうと考えることなんてありうるのかな?という懸念はあります。これだけ非正規切りが行われているなかでも、平然とベアを要求できてしまう厚顔無恥なみなさんなのですから。
 この中でUIゼンセン同盟という労働組合が非正規のことを考えているようなことがでてきます。実は地労委のあっせんで、労働者委員がゼンセン出身のおばちゃんだったんですが、到底、非正規のことを考えているような感じはありませんでした。「これからもお仕事を続けていくためにはちゃんと大学側の言い分を聞いて、誠実に対応しなさいよ」なんてことを平然とおっしゃってましたからね。きっとゼンセン同盟の組合員がクビ切られても、そうやって会社に面倒がいかないように予防線になっているんでしょう。あっせんでは公益委員の大学の先生のほうがよほど実情が分かっており、大学側にきちんと言ってくれました。
 この案でポイントは「総人件費が限られるなか、非正規社員の処遇の向上は正社員の待遇切り下げにつながる可能性もある」というところで、生産性の低い人間はこれまで年功序列制度のなかで自動的に賃金が上がってきていたかもしれないが、生産性に見合った権限と責任と賃金にしますよ、ということでちゃんと降格、減給が可能な制度にするのかどうかということでしょう。電機連合のHPにもまだこの件について情報が掲載されておらず実際にはどういったシステムになるのかはっきりしません。

 弱小私立大学なんかではとくに大学の先生たちも、中には非常勤よりよほど仕事(≒論文や著作)がなく、十年一日というようなつまらない授業をしている方々も大勢いらっしゃるわけです。それでも一旦椅子を確保したらあとは、まともに仕事をすることよりも、学内政治闘争(≒理事長へのゴマすり)を一生懸命やったりするようになったりするわけですね。自分の椅子は必死で確保しながら、総人件費を削減する必要に迫られると、新規に採用する人は任期を付けたり、非常勤で済ませたりするよう法律論を展開したりする。まあ、そうこうしているうちに大学もつぶれていってますけど。

 そういう大学の先生方が、非常勤講師の均等待遇なんてことを考えたりしたという話はついぞ聞いたことがありません。
 大学教授の年収が1000万円くらいとすると、そのうち会議をしたり、学校の教育システムの整備をしたりという業務と、授業をするという業務があるわけで、その見積もりがどの程度になるのか難しいところがありますが、ごく直感的に見積もって授業に支払われている賃金が3割程度とすると300万円と仮にしてみる。だいたい週に5コマ授業を持っているとして、非常勤の先生が10コマ持っているならばその非常勤講師の先生の年収は600万円になるはずなわけです。実際には半分しかもらってません。大学側としては実際には内訳がどうなっているかなんてのは分からないようにしているので、常勤の教授でも授業に対して支払っている賃金は150万円ほどで、残りの850万円はそれ以外の業務に対して支払っているという論理を立てることは可能なので、実際には文句が言えない状況ではあります。そして常勤の大学の先生たちが、非常勤講師の待遇改善を考えたりするような可能性は、ほぼゼロでしょう。そもそも大同の件についても、東海私大教連に会合で今回の事件について説明する時間を取ってほしいと申し入れても、門前払い、話すら聞いてくれないんですから。その点、電機連合のほうがまだポーズだけでも打ち出すだけマシということでしょうか……。

 
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