木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

被災地ボランティアの減少

2011-07-16 23:01:15 | 地方自治
 被災地ボランティアの減少が深刻なようです。

 ゴールデンウィーク後のボランティアの減少と人手不足が指摘されていましたが、7月2日の朝日新聞(夕刊)の記事によりますと、その人手不足が裏付けられたかたちです。

 同記事のリードには「東日本大震災から3カ月半の間に、岩手、宮城、福島3県の市町村の災害ボランティアセンターを通じて活動したボランティアは延べ約48万3千人で、阪神大震災の約4割にとどまっていることが、全国社会福祉協議会のまとめでわかった。阪神では、同時期に約117万人が活動していた。」とあります。

 なぜなのかは、私にもよく分かりません。しかし、指摘されているような、人々の「無関心」のせい、とばかりにも単純には言えないのではないかと思います。私なりの感じている人手不足減少の理由は次のようなものです。

 一つには、長引く不況の中ですでに人々が生活に余裕がない経済状況下にあったという点です。この点は、阪神淡路大震災時と比べると大きな違いだと思います。例えば、阪神大震災と今次の震災との日経平均の株価だけを比べてみても、国の経済力の差は一目瞭然です。午前5時に発生した阪神淡路大震災のあった当日の日経平均の始値はなんと1万9322.46円もあったのです。およそ今の倍近い株価です。今は9000円台後半で、円高も手伝い、景気は長期のヘロヘロ状態です。被災者の方々が直面されている惨状を前にこうした表現をするのはためらいもありますが、そもそも震災前から国民全体が慢性的な生活に余裕のない状況下にありました。阪神淡路大震災の発生によって約半年間、株価は下落していきましたが、それでも底をついた95年8月の日経平均は1万4000円台でした。

 もう一つには、大変皮肉なことだと思うのですが、阪神淡路大震災時のボランティア活動とその課題に対する記憶と経験値があるだけに、たくさんのボランティア活動をめぐる規範や能書き(「能書き」と書くと悪いことのように聞こえてしまいますが)が周知されてしまったということでしょうか。例えば、「ボランティアに行くなら、自己完結型で装備していくこと」「思いつきの単身ボランティアではなく、なるべくグループでいくこと」といったボランティア活動のお作法が周知されたことで、二の足を踏んでしまっている人がいるのではないかと思われる、ということです。阪神の経験でボランティア活動の課題が明らかとなり、よりよいあり方が広く理解されるようになったという点では確かに進歩なのです。よいことなのです。しかし、そのことがボランティア活動参加のブレーキとなっているとしたら、どのように評価したらよいのでしょうか。戸惑ってしまいます。私の思い過ごしかもしれませんが。

 さらにもう一つは、明らかに福島第一原発事故による放射能漏れの影響です。放射能に対する心配がボランティアに参加しない人を作り出してしまっていることは、間違いありません。私が先月ボランティアに行く時に、友人から冗談ながらも「戻ってこなくていいよ、汚染されてるだろうから」と言われたことがありました。よく考えれば、笑えない冗談です。

 大勢の市民の力で成り立つボランティア活動は、一人の先導や努力でどうなるものでもありません。お互いに善意を広め、積み上げていくしかないのだと思います。

 私の所属している習志野レスキュー・サポート・バイクも、今月は会員の都合がつかず、被災地へのがれき撤去派遣の日程が組めなかったので、偉そうなことはひとつも言えません。

 それでも、来月以降も、また現地へ赴きボランティア活動に参加していきたいと思います。

 私自身の取り組んでいる「車を被災地へ寄付する活動」も引き続きよろしくお願いいたします。車の買い替えなどで、まだ乗れる、でも廃車してしまうという車がお手元にある皆さんは一言お声掛けいただければ、現地の被災者の方々に車を寄付できるよう手配をしたいと思います。どうぞ遠慮なく、ご連絡ください。




江戸川区議会議員 木村ながと
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