木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

空間放射線量や給食食材の放射能汚染の調査を要望する陳情に対する私の意見

2011-07-22 22:52:47 | 地方自治
 今日、福祉健康委員会がありました。朝10時から始まり、午後1時25分までの約3時間30分の長めの委員会となりました。

 議論の多くが陳情審査に割かれたのですが、中でも、子どもたちへの放射能の影響を不安視し、空間線量や給食食材汚染の調査を要望する陳情8本をめぐる議論に多くの時間が費やされました。

 私が今日の委員会で発言した内容を箇条書きで簡潔に記しておきます。

●教育委員会から提出された資料要求に対する回答資料について。「江戸川区は実施しておりません。23区に関する資料はございません」などという木で鼻をくくったような回答が多い。「23区に関する資料はございません」とは「調べていません」「調べません」と同じ。もっと誠意ある回答を出すべき。

 ということで、私の要求した資料に対する回答部分ではなかったのですが、あまりにひどい回答だったので、まず、委員長に教育委員会への誠意ある回答資料を要求しました。この点は他委員も異口同音に述べていた点です。

 次に、「食材は生産自治体で食品衛生法に基づいて検査され、汚染されたものは取り除かれ、市場に出回っていないと考えている」という健康部長の発言があったことを受けてのものです。

●先月までなら、その理屈は成立したかもしれない。ところが、その検査体制はこの1週間で破綻したと言える。セシウム汚染牛の問題だ。食品衛生法に基づく検査が実施され、「安全」とされる食材が出荷されていた。国際放射線防護委員会(ICRP)専門委員の甲斐倫明教授も「食品監視の失敗。健康不安だけでなく、裏切られたという不信感が広まっている。国は検査計画を立て直す必要がある」(注1)とはっきり指摘している。根本的には国の責任だが、いま現行の検査体制の欠陥が明らかとなり、消費者が不安と不信を抱く状況になったなかで、なお国の検査体制を信じるというのは、自治体サイドとしては無神経。むしろ、身近な区民が不安を持っている状況を理解するなら、われわれ自治体から国に食品検査の見直しを要望すべきだ。

●食材の検査をするのは野菜でも肉でも生産する都道府県。しかし、食肉は家畜を解体しないと汚染されているか否かわからない。同時に、処理能力の問題もあり、福島県の牛が福島で解体されるのは1割程度。残りは出荷先の都県で解体される。国が全頭検査を要請しているが、都は全部こなせないということらしい(都の対応については衛生課長の答弁を受けたもの)。今、区の学校給食では特に牛肉の産地別対応措置は取っていないようだ。今日までのところ、学校で消費した牛肉の中にセシウム汚染牛として発表された個体識別番号に合致する牛から取られたものは、幸い、ないようだ。しかし、今後、汚染牛の問題がさらに広がりを見せれば、後の祭りということもありうる。

●国の検査体制は欠陥があった。都は全頭検査を実施できない。そうであれば、やむを得ぬ措置として、区で対応を考えるべき。具体的には、厚生労働省がモニタリング検査を要請した福島や宮城など7県の牛肉を、当面、給食の食材として利用するのを控えるべきだ。横浜市はいち早く産地別の対応をとった。

 この他にも、認証保育所入所者への保育料補助の陳情や保育園民営化に関する陳情なども議論が交わされ、私ももちろんそれぞれで発言しましたが、それらについてはまた別の記事として今後、考えを発信してまいりたいと思います。

 とりいそぎ、今日の委員会での放射能関連陳情をめぐる発言抄録でした。


(注1)『朝日新聞』2011年7月20日38面




江戸川区議会議員 木村ながと
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