忘れ物になる前に

写真を撮ったり出かけたり。たくさんの思い出を忘れないために、書き記していきたいと思います。

新潟の話 T14編成

2015-12-01 08:10:01 | 485系まとめ
最後にいなくなる編成というのはいろいろなところで名が知れますが、やはり最初にいなくなった編成というのはあまり名が知られないもの。今回はひっそりといなくなってしまった編成を。



485系T14編成
転入:1997年8月
編成移動
転入時:T18編成
2000年3月以降:T14編成
編成(最終時)
クハ481-352(6号車)
モハ485-1012(5号車)
モハ484-1012(4号車)
モハ485-1043(3号車)
モハ484-1043(2号車)
クロハ481-1018(1号車)
最終運用:2013年9月16日 北越9号
廃車回送日:2013年9月25日

晩年のT13編成などと同じ時期に新潟へ転属となった特急編成。転属時は4連化対象となったT17,T19,T20編成の真ん中であるT18編成であったことから編成名の変化が6連編成の後半であるT14編成へと移動。構成ユニットも車両故障により当時余剰となっていた雷鳥用グレードアップ車両が組み込まれ、特急編成でありながらグレードアップ車両連結という特徴的な編成でした。しかしながら、検査期限の関係上晩年に残った485系編成の中で最初に離脱してしまったことや、T14編成とその後すぐに離脱したT11編成が離脱した後も上沼垂色編成が5編成残存していたことから、大きな話題にはならずにひっそりといなくなってしまいました。離脱してから2年ほど経ちましたが、このような編成があったということの記録となれば幸いです。


クハ481-352(6号車)
6号車を飾ったのは1000番台ではなく300番台車。新製配置は1976年に青森で、1000番台の初期製造車も同年配置であることから、ほとんど1000番台車と同等の扱いを受けています。1993年に秋田へ渡り、1997年に新潟へ。同時期に製造された車両のほとんどがクロハ481や3000番台への改造を受けましたが、この車両とクハ481-351(T16編成に連結)は最後まで改番を伴った改造を受けることなく生涯を終えました。


モハ485-1012(5号車)
9連時代に電話室だったこともあり、その当時のアンテナが残っています。車両詳細は下記を参照。


モハ484-1012(4号車)
グレードアップ車であった2両は他の4両とは生い立ちが異なり、こちらは1976年に秋田に配置されたものの、新潟への485系配置が決まった際の初転属車として民営化直前の1987年に新潟へ転属。以降他の地区への転属はなく新潟を拠点に活躍していました。この際に転属されたモハ484/485-1000,1500ユニットはほぼ全車両グレードアップ改造を受けることとなり、1012ユニットもその対象に。新潟に485系が配属となった当時は全て9連編成だったため、1012ユニットも9連編成の一員として活躍。6連編成が続々と転入してきた1996年代以降も9連編成に組み込まれ、9連時代末期はT3編成の一員として活躍。2001年3月に新潟車の「雷鳥」運用が消滅したため余剰車となりましたが、同時期に元々T14編成の4,5号車であった1084ユニットが故障。その代替車として組み込まれた結果、グレードアップ車最後の生き残りの1ユニットとして生き残ることとなりました。なお、元雷鳥用編成はそのほとんどが編成短縮や改造を受け生き残ることとなりましたが、T3編成のみはこの1012ユニットを除き一切転用されずに廃車となったため、T3編成唯一の生き残りでもありました。


モハ485-1043(3号車)


モハ484-1043(2号車)
こちらは他のユニットと同じような動き方。1978年に秋田に配属され、1996年に新潟に転属。モハ484の乗務員室窓も原型であり、他の4両が目立った分おとなしい車両でもありました。


クロハ481-1018(1号車)
種車:クハ481-1033
1978年に秋田に配属。1987年に青森へ転属となりましたが、1988年にクロハ481へ改造。1993年に秋田、1997年に新潟へ転属し、以降新潟を拠点に活躍しました。新潟に転属となった時は転属当時のT18編成(晩年のT14編成)ではなくT19編成(晩年のT16編成)のクロハ481として配属。そのため新潟に配属となった後は、T19編成→T22編成(4連編成短縮化)→T16編成(6連編成復帰)→T14編成のクロハ481として活躍しました。T14編成へ移る際はクロハ481-1011と組成位置を交換。クロハ481-1011がT16編成のクロハ481となり晩年を迎えました。前述の通り新潟配属時のT19編成のクロハ481だったため簡易リニューアル改造の対象車となっており、乗降ドア交換を伴った本格的な簡易リニューアル車でした。編成中のグレードアップ車が大きく目立っているためかあまり目立ってはいませんでしたが、この車両のみ乗降ドアが異なっていました。当然ながら、この車両だけが簡易リニューアル車なのは、この車両のみ組み替えが行われたためです。新潟へ485系が転属となった際はかなりの回数組み替えが行われましたが、このクロハ481-1018⇔クロハ481-1011の組み換えが新潟車485系最後の組み換え車になりました。1~3号車の座席は3000番台仕様のものですが、1号車と3号車は取っ手がついていました。


編成表記。左がクロハ、右がクハです。晩年は数少ない標準フォントで両端統一というスタイル。他の編成では晩年も特徴的なフォントや位置のものが多かったですが、最後はおとなしめな編成表記でした。


連結器カバーは両端黒。変更が多かった他の編成に比べ、ほとんど変更なく両端とも黒カバーでした。写真はクハ側で、300番台らしくジャンパ栓受けが4つあります。ジャンパ栓受け4つ+黒カバーというスタイル、300番台車自体の在籍数が少なかったこともあり、実はあまり多く見られないものでもありました。
クーラーは特急編成と同じ仕様。T13編成の項目のクーラーと全く同じ構成なのでここでは省略します。


ステップは非装備。外観が「くびき野」編成とそっくりですが、くびき野代走は未経験。関西地区への乗り切れ実績はあるので、その際にステップを装備したかどうかもありますが、普段は非装備でした(ステップ非装備編成で関西地区への乗り切れ実績がある編成は他にもいくつか在籍していました)。


グレードアップ車は本来指定席用の改造車ではありましたが、改造時に座席数が1列減少し未改造車より定員数が4名少ないため、6連編成の指定席車に組み込むと他の編成の指定席車両と定員数が異なることから指定席車には組み込めず、普段は自由席車となる4号車と5号車に当たる部分に連結されることとなりました。とはいっても、4号車は繁忙期を中心に指定席となるため、繁忙期には指定席車として活躍した頃の面影がよみがえりました。
(ただし、9連編成の晩年は運用数減少などによって生じた余剰車の組み替えを行いクハ2両以外はすべてグレードアップ車となったため、日常的に自由席車のグレードアップ車が見られてはいたのですが)
グレードアップ改造の際乗務員室窓に関しては手を加えていないので、この部分は原形のままで残っています。ちなみに、客室窓の拡大方法が3000番台とグレードアップ車では異なっているので、よく見ると同じ客室窓拡大車でも窓の位置が異なります(3000番台は主に下に、グレードアップ車は主に上へ窓を拡大しています)。


電話室時代のアンテナ部分。非常に見えにくいですが…。3000番台編成では撤去されたトイレは存置のようで、トイレタンクが残っています。



クハ481-352とクロハ481-1018は、青森に在籍していたこともあってか雨どいが改造されており、原形車とは異なり雨どいの形が異なっています(両端が曲がっているのが特徴)。下のクロハ481-1025の雨どいはT13編成の原形のもの。比べてみるとどのように曲がっているかが分かります。
また、クハ481-352にはベビーシートがないのも特徴の1つ。T11,T12,T13,T15編成のクハ481には設置されているため同じく設置されていそうですが未設置です。おそらくベビーシート改造時に秋田に在籍していなかったためのものと思われます(写真でベビーシートがないのがお分かり頂けると思います)。


外観にはとても個性的な部分が多い編成ですが、所属は特急編成。「北越」「いなほ」だけでなく、共通の運用となる「おはよう信越」「らくらくトレイン信越」もこなしています。最後のT編成上沼垂色として活躍したT13編成が最低限の運用範囲のみの活躍に留まる中、かつては「みのり」として長野へ、関西への団体臨時運用で大阪へ、「いなほ」として青森へと、「くびき野」代走未経験ながらその運用範囲は広範囲。更には中越地震の際長野~新潟を走った臨時快速として越後線。多客臨時・団体臨時列車として上越線も走行するなど、走行範囲はかなりのものでした。
広範囲に渡る活躍を考えれば、大きく注目を集めても良い編成であったと思いますが、検査期限の関係からか晩年期に残った編成の運用離脱第一号に。新潟地区の485系運用離脱は事故廃車となったR24編成以降見られなかったことから、久々の離脱として一部では話題となりましたが、新潟車の485系在籍数が多かったこともあってか大きな話題とはならず、静かに役目を終えました。
かなり多くの特徴や車歴を持った車両ばかりな編成ということもあり、運用離脱第一号編成…ではなく、個性的な編成の1つとして、思い出していただければ何よりです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿