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金沢ミステリ倶楽部

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『乱れからくり』

2015年11月14日 00時00分00秒 | おすすめミステリ
『乱れからくり』泡坂妻夫 幻影城 1977

これまで自分が読んだミステリー作品の中からベストワンは、
泡坂妻夫さんの『乱れからくり』です。
海外旅行に向かう途中、隕石が車に直撃して男が死亡します。このような意表をつく発端から始まり、その後五角形の迷路がある「ねじ屋敷」で連続殺人事件が起きます。
からくり人形、迷路と全編からくりづくしですが、それが犯人の(作者の)意図を隠す見事なミスディレクションになっています。
「涸れ井戸」というダイイングメッセージも心憎いです。
誰にも薬瓶に毒を入れる機会はなかったという不可能状況が犯人の特定に繋がる伏線になっているのがよく考えられています。
探偵がさばさばした男勝りの女性でかっこいいですし、その助手の男性が容疑者の美しい未亡人と恋に落ちるのもロマンティックな雰囲気を盛り上げます。
第三の波直前に書かれた本格探偵小説の傑作だと思います。

担当 keita2




『十角館の殺人』

2015年11月13日 00時00分00秒 | おすすめミステリ
『十角館の殺人』綾辻行人(講談社ノベルス・講談社文庫)

舞台となった角島が大分県という設定でもあるため、僭越ながら大分県生まれの自分から、この名作を紹介させていただきます。

ミステリ初心者の方にまずオススメしているのがこれ。言わずと知れた「新本格」のスタートともいえる、名作中の名作です。
絶海の孤島に立つ奇妙な館「十角館」に集まったK✳︎✳︎推理小説研究会7人が、ひとり、またひとりと殺されてていく。生き残るのは、そして犯人は誰なのか。

この作品を初心者の方にまずオススメしている主な理由は3点です。
まず、(新)本格ミステリの基本となるフーダニット(誰がやったのか)を謎の軸に据えながら、スリリングな展開でページを捲る手を止めさせないところ。小説を読みなれていない人でも比較的高ペースで読み進められるでしょう。
次に、登場人物たちに割り当てられた名前。エラリーやカー、アガサといった人物たちのニックネームは、歴史に名を残す名作ミステリの書き手である巨匠の名前から来ているため、この作品を読めば外国の著名な作家の名前まで同時に頭に入ってしまう(これから海外ミステリを読んでいくにあたっての予習になる)ということ。そして何より、たったの1行(それも数文字)で、これまで重層的に提示されてきた謎のすべてが明らかになってしまう、その構成が見事ということ。「その1行」を目にした時の身体の震えと鳥肌の感覚は、いまだに忘れられません。
叶うなら、もう一度記憶を消して読み直したいというところ。これを読まずしてミステリは語れない、日本の新本格を代表する一作です。

郷司



『スウェーデン館の謎』

2015年11月10日 00時23分00秒 | おすすめミステリ
『スウェーデン館の謎』有栖川有栖(講談社文庫)

2016新春より始まるドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理(仮)」の原作は有栖川有栖さんの書かれたシリーズ中「作家アリスシリーズ」と呼ばれるものです。
その中のさらに「国名シリーズ」は短編が多いのですが、私のおすすめ作品『スウェーデン館の謎』は長編で読み応えがあり、雪密室あり、感情の揺さぶられるところあり。シリーズのどれを読んでなくても大丈夫です。

推薦者 カワグチ



『九つの答』

2015年11月09日 00時27分00秒 | おすすめミステリ
『九つの答』:J・ディクスン・カー 青木雄造訳 早川ポケットミステリ394 早川書房

カーが読者に挑戦状を突きつけた一冊でもあり、こういう作家の公然と表明した「長編」は、これが唯一でしょう。
内容もたっぷりの謎で、ストーリーテラー・カーの面目躍如の構成。つぎつぎと読者の思惑をあえて否定していった最後に
どんでんがえしが待っている。カー曰く、どうしてには全く興味がない。誰が、どうやって、こその追求に妙味があるのだ。

推薦:よしぽん



『ヴィーナスの心臓』

2015年11月08日 00時20分00秒 | おすすめミステリ
KMCおすすめ本
『ヴィーナスの心臓』(鮎川哲也/集英社文庫)

「達也が嗤う」「ヴィーナスの心臓」「実験室の悲劇」「薔薇荘殺人事件」「山荘の死」「悪魔はここに」以上六編が入っています。
この本の特色は、上記六つの作品を問題編と解決編に分けて収録しているところです。
きっとこの本を読めば、問題編を読んで、うーん、とうなって考えて、解答編のページをめくって、
「うわっ、やられたっ」と叫ぶことが六回続くでしょう(笑)
ちなみにKMCの例会では、「達也が嗤う」と「薔薇荘殺人事件」をとりあげて、読んできて感想を言い合いました。
みなさん騙されてくれていて、感想をお聞きするのが、すごく楽しかったです。
まだ読んだことが無いという方、もし古本屋で『ヴィーナスの心臓』を見つけたら、絶対買いですよ~。あなたはきっと作者の術中にはまるはず。

もしこの本を読んでみて、もっと詳しい解説があるものが読みたいという方は、
『鮎川哲也【短篇傑作選】Ⅰ 五つの時計』(創元推理文庫)
『鮎川哲也【短篇傑作選】Ⅱ 下り〝はつかり〟』(創元推理文庫)
『鮎川哲也挑戦コレクション挑戦編Ⅰ 山荘の死』(出版芸術社)
『名探偵・星影龍三全集 青い密室』(出版芸術社)
『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)』(講談社、
『贈る物語 Mystery 九つの謎宮』(綾辻行人・編)(光文社文庫)
などをお読みになってみられるといいかもしれません。

以上、KMCの謎子のおすすめ本でした。 謎子

追伸 「謎子」は、謎屋さんとはまったく関係の無いペーンネームです。