ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

「澤田教一;故郷と戦場」展を観て。

2016年11月27日 21時33分27秒 | 写真とカメラ
青森県立美術館で「澤田教一;故郷と戦場」展が行われています。
10月8日から12月11日までの開催なのです。
今まで機会がなく見ておりませんでしたが、いよいよ終わりに近づいてきましたので慌てて観に行ってみました。

どんな手法で「故郷と戦場」が展示されるのかが、一番の興味のあるところでした。

いきなり、戦場での生々しい写真の展示は、ないだろうと予測して、会場に入りましたがやはり、その通り。

まず、初めは、青森県内で撮影した写真から始まっていました。その展示室は「青森」と銘打っていました。
三沢の街や恐山の風景、青森県内のお祭りの情景などでした。
二番目の部屋の展示場は一応「東京」と銘打ってはいますが、最初の展示の続きです。
そして、3番目から5番目までは「ベトナム」の展示です。
6番目は「香港」と銘打たれ、3~5までとは、趣が違っています。
そして、最後の7番目の展示室は、澤田が最後にいた場所、「カンボジア」でした。

「香港」と「カンボジア」での展示の一部を除いては、「戦場、戦場、また戦場」の写真ばかりです。
「戦争」を撮りに行ったカメラマンの写真展なので当たり前なのですが、とにかくいやというほど、「戦争を」見せつけられた写真展は初めてです。

中でも、驚愕的だったのは捕虜になった解放戦線兵士の処刑の様子を写した4枚の組写真でした。
南ベトナム軍の憲兵に両脇を抱えられて刑場に引き出されている様子のが1枚目。
次はその兵士の背後にうずたかく積まれている土嚢のかべ、そこの柱に拘束されて立たされている解放戦線の兵士。
3枚目は銃撃を受け、崩れ落ちている兵士の姿。
そして4枚目は処刑された兵士が入れられた粗末な棺、全く木箱にしか見えないひつぎの中の遺体、
遺体の左胸には黒々とした影のようなものが写っていました。
これは影などではありません。左胸だけに銃撃された跡でした。

戦闘で銃撃を受け死亡したのとは違う「兵士の死」が、そこには写されていたのでした。
おそらく正式な裁判を受けることなどなく、このような刑死が日常的に行われていたのが「ベトナム戦争」っだたのでしょう。

カメラマンのレンズはこの光景を「記録」として写しています。
この「記録」はどんな意味を持つのかなどと、その組写真の前で、しばし考えてしまいました。
写真と言うものの冷徹さを改めて感じました。この感覚は普段、私たちの日常ではありえまません。
報道写真には他の写真(記念写真やポートレートや芸術写真)にはない「冷徹さ」が必要とされているのだとも思えます。

1時間半ぐらいは、これらの写真の連続ばかりを見ましたので、とにかく疲れました。

さて、青森県立美術館にはこのような企画展のほかに美術館が所蔵するコレクションの展示もありました。
その中で目を引いたのはつぎの物です。

「青森の白い犬」です。
巨大な白い犬のオブジェです。
この大きさにまずは驚かされます。
この犬のユーモラスさに気分が和らぎました。目が何とも言えず可愛いのです。
そして、この犬の目の前には餌の入っていない皿がおかれています。
この犬はその皿を前にして、何を思っているのかな、などと思ってしまいました。

沢田氏は1970年10月28日にプノンペン郊外で何者かに銃撃を受け、死亡しました。

写真展を見て、そのころを思い出しました。
70年10月28日には、わたくし自身はは何をしていたのかを、いま思い出そうとしてみました。
沢田氏が銃撃により死亡したことは、私が大学生のとき新聞紙上で知りました。
そういえば、1970年10月21日は「10・21国際反戦デー」という行動がありました。
そのころ、時の首相「佐藤栄作」の渡米に反対する行動を羽田空港近くで行っていた記憶があります。
10月24日に佐藤栄作とアメリカ大統領のニクソンが会談をしています。
結果的には「佐藤栄作訪米阻止」は出来なったわけです。
自分たち学生がとった行動がどのような限界と成果があったのかなどの検討が、各方面などで行われていたのでしょう。

当時、デモや集会に一緒に行った友は今はどうしているのか、などと考えてしまいます。

きょうは澤田教一氏の撮った「ベトナム戦争の写真」を見たせいか、ビールが進みます。
ここまで書いてきて、2本目のビールが空になりました。

「見ないで済むものは見ない方が良い、知らなくて済むものは知らない方が良い。」そんな気持ちになってしまいます。
しらふでは書けない気持ちです。話が支離滅裂になってしまいましたので、本日はこれでおしまい。




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