ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

白井晟一の作品が国指定の文化財になります。

2018年11月20日 09時54分01秒 | 建築と精神
秋田県の湯沢市に現存する建物で建築家の白井晟一氏の作品が、此のたび国の重要有形文化財に指定される運びになりました。
此のたび指定されるのは湯沢市に現存する2作品です。ひとつは「四同舎」という建物で元は「湯沢酒造会館・四同舎」と称されていました。もう一点は「試作小住宅」といわれる住宅です。
此のたびの指定は、湯沢市在住のS氏をはじめとする有志の方々がその保存に向けて熱心な行政への働きかけなどをしてきた結果なのです。それらの方々の熱意が結実したことを素直に喜ぶとともにこれまでの関係各氏の努力に感謝したい思います。

私が、戦後を代表する建築家の白井氏の作品に出会ったのは、数年前に今は取り壊されてなくなった「旧雄勝町役場」や「旧秋の宮役場」と「稲住温泉・浮雲」などの作品を見て回った時からです。
その後、群馬県在住の旧友を訪ねた時に訪れた「旧松井田町役場」の保存状態の悪さを目にしました。秋田県に残る白井氏の作品もあのようになってはいけないと思って、地元紙に投稿をしたこともありました。
湯沢市で白井氏の作品の保存に熱心に取り組んでおられるS氏を訪ねて「四同舎」内部の見学をお願いしたこともあります。そのときのS氏の語り口からは、保存にかける熱意を感じたものです。

旧い建物とそれを育んだ文化は一度なくなってしまえば取り戻すことは容易なことではありません。
建物にはモノとしての価値以上の何かがあると思います。それが建てられたときの社会の様相や文化や何よりも建てた人の思念が建物には込められているのです。役目を終わってしまうことなど決してないのです。
此のたびの有形文化財の指定を契機に白井晟一氏の業績が広く知られるようになってほしいものです。

表題の画像は秋田魁新報の11月17日の記事です。

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