ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

ブリューゲル「バベルの塔」展を観る(その2)

2017年06月21日 07時19分09秒 | 美術 アート
昨日の続きです。

ここで、ブリューゲルが描いた「塔の階数」に眼を向けてみましょう。
この絵によれば7階までがほぼ完成していて、それより上の階層、即ちこの絵に見られる8階と9階は建設途中である事が解ります。
この「バベルの塔」は実は7階より上の階層は完成を見ることが無かったのです。
それは何故でしょうか?

主は、人々が町と塔の建設をすることを許さなかったと旧約聖書の記述にあります。
逆の言い方をすれば、主は7階までの建設は許したのです。
主がそれ以上の建設を許さなかった訳は、次のように考えることが出来るでしょう。

世界は神により7日間で造られたと、旧約聖書の創世記の第2章にかかれています。

神により作られた世界には「7」より大きい創造物は必要ないと、この絵の作者は訴えたかったのかもしれません。
地上の人々が天まで届くような建造物を造ったりすることは、神の意向に背くことなんだと、絵の作者からの当時の人々に向けた警鐘とも読めます。
また一方、この絵の中に町を作る人々を数多く描きこんだのは、地上の民が一心不乱にその作業に従事することへの「日常的生活の重要さ」を表現しているとも読み取ることが出来ます。
そのどちらにも、取れますね。

ともあれ、絵は作者の手を離れてからは、それを観る観察者の自由にゆだねられていることに間違いはないでしょう。
この絵を観て、そんなことを感じました。


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