ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

ブリューゲル「バベルの塔」展を観る(その1)

2017年06月20日 15時54分30秒 | 美術 アート
所用があり上京しました。ついでに東京都美術館で行われている「バベルの塔」展を観てきました。
観に行った日が日曜だったので、行列の肩越しに少しだけ観覧するような有様。
ゆっくり美術鑑賞が出来るような雰囲気ではありませんでした。

どうせ行くなら平日の朝いちばんでなければだめですね。

そんなわけで、少しでも観てきた印象を忘れないようにとガイドブックを買い求めてきました。
次のものです。


そしてそのガイドブックには原寸大の印刷物が付録として付いてきました。
これです。


実際のこの絵の大きさは縦599mm、横746mmとガイドブックにありました。
絵の中にこの塔を建てている人物が描かれているのですが、いったい何人の人がいるのでしょうか?
それを調べた研究者によると、およそ1400人だそうです。気の遠くなるような細密な描写です。

さて、「バベルの塔」とは一体何なのでしょうか?

旧約聖書の「創世記」第11章にそれに関する記載があります。少し長いのですが、引用してみましょう。

 全地は同じ発音、同じ言葉であった。<中略>彼らは互いに言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代わりに、れんがを得、しっくいの代わりに、アスファルトを得た。彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂きを天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。
時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔を見て、言われた。<中略>こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。<後略>


この旧約聖書によるとバベルとは町の名です。
バベルという町にある塔が「バベルの塔」という事になります。
東京にある塔を「東京タワー」と呼んでるのと同じことなのです。

聖書が述べているこれらの事からブリューゲルは想像上の「バベルの塔」を描いたのでしょう。
恐るべき想像力です。そして異常なまでの細密な表現をこの絵に観ることが出来ます。

この絵に描かれている人物の大きさは約3mmという事です。この絵の中の人物の身長が170センチであると仮定すると、塔の高さは510メートルと計算したポスターがありました。



東京タワーより高い建造物という事になります。
この絵が描かれたのは1568年頃だそうです。
この時代の建造物で高い建物は教会や城の尖塔ぐらいですので、それでもせいぜい数十メートルでしょう。
絵の作者ブリューゲルの想像力には全く驚愕するしかありませんね。

この絵画展ではほかに興味をそそられるたくさんの絵が展示されていましたが、それについてはまた後日という事にします。











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