ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

買い急ぎ心理が起きる訳。

2020年04月08日 09時57分18秒 | コロナ
「人はなぜ、買い占めに走るのか?」
今日はこの話題を考えてみます。つい先日、トイレットペーパーが売り場から姿を消したことがありましたね。当該家族の人数が増えたりしないのならトイレットペーパーの使用量がそれまでより2倍に増える事はありません。これは自明なことです。1パック買えばよいのについでにもう1パック買ってしまうので品薄が起きてしまいます。
供給量はすぐには倍にはならないので在庫はまもなく底をついてしまいます。
あのとき、トイレットペーパーの購入を急いだ人の心理がどうであったかを考えてみます。
トイレットペーパーはどこの家庭でもその日に使うものを、その日に調達することなどありません。必ず幾らかの在庫を家庭で保有しています。普通であれば毎週の使用量は一定なので、在庫の減少が見込まれる段階で次の補充を行います。
ですが、買い急ぐ人は、いま買っておかないとそれが無くなってしまうと思い込んでしまいます。
このような消費者心理を行動経済学の「現状維持バイアス」理論を使うと次のように説明できます。現状維持バイアスとは「大きな変化や未知なるモノを避け、現状を維持したくなる」という心理作用です。
いつでもどこでもトイレットペーパーが購入できることは消費者にとってはそれまでの「現状」です。この現状が「在庫不足」により変更されることを消費者は嫌うのです。トイレットペーパーの「在庫不足」が起こってから人々は「買い急ぎ」に走るのではありません。「買い急ぎ」が「在庫不足」を招くのです。
動物は餌が不足になり、おなかがすいてきて初めて食料をもとめて行動に移ります。ですが人間はモノ不足を予測して行動するのです。これは人間が予測力という優れた能力を持っているからです。「買い急ぎ行動」は予測力が過剰に働いたと言えるでしょう。これは人間が定住生活で身に着けた習性だとも考えられます。

さて、次に別の側面から「買い急ぎ行動」を考えてみましょう。トイレペーパーの生産と流通に支障が出なければ供給が続けられると、普通の思考では判断がつく単純な事象です。
ですが、この度の「買い急ぎ行動」は「何かの代償行動」になっているのではないかと考えられます。代償となっているその何かとは、言うまでもなくコロナ感染の終息が見えてこないという不安です。
トイレペーパーを入手したことがその不安の解消にプラスに作用している、と考えられます。
これはアルコール依存症の初期にも見られることです。何かに対して不安を感じた時、その不安の解消に役立つ方策がすぐには見つからない場合、とりあえず代替え策を求めます。その代替え策がトイレペーパーの購入だったり、飲酒だったりするわけです。さらに鬱症などの精神疾患に見られる行動で、必要でもないのに高額な買い物をすることがあるとされます。これなどは不安の解消をそれにより代替えしているとされています。
ともあれ、わたしたちが今しなければならない事は、刹那的な行動を控え、自分の頭で考えて行動することでしょう。
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