第1章 経営理念・行動規範のつくり方
(3)あなたの会社は何のために存在し、何処へ行こうとしているですか?
その② 明確な「目的地(ビジョン)」
私はビジョンを「目的地」と表していますが、正確には「目的地のシーン」、つまりビジョンを達成したときの企業の状態です。
あなたが二代目や三代目など事業承継者として経営トップに着いた。その強い「使命(ミッション)」をお持ちのあなたが次期社長にその座を譲る時までに、あなたが理想とする会社や事業がどんな規模や状態で、そこで働いている社員がどんな様子であって、「使命(ミッション)」がどのように達成されているかなど「会社のなりたい姿」を言葉や文章で表現したものが「目的地(ビジョン)」です。
できればそのシーンにあなたの会社が扱っている商品やサービスやそれらを買ってくださるお客様の笑顔が描け、次世代にバトンタッチできるような『長寿幸せ企業』の道が続いていれば最高ですね。
「熱意」が強ければ、絵には描けなくても、目を閉じればまぶたの上にその絵がはっきりと見えてくるものです。超一流のスポーツ選手が常に金メダルや優勝メダルやを首にかけてもらうシーンを思い描くということをよく耳にしますが、それと同じです。
売上高などの数字やお金は「目的地(ビジョン)」を達成するために必要な金額や数字であるはずです。詳しくは次回お話しますが、「目的地(ビジョン)」を数字で表現したものが「経営目標(ターゲット)」なのです。
「人生は重荷を背負うて坂道を行くが如し」という徳川家康の言葉がありますが、人生の一部である会社経営も恐ろしいくらい沢山の試練や危機の連続です。山を登ってやっとの思いで峠を越えたと思ったら、もう次の高い山が目の前に現れます。海を泳いで渡ろうとしたら、一つの大きな波を超えても小さな波が次から次からやってきて、その先にはまた大きな波が潜んでいます。トップであるあなたはそのつど判断し、決断して、会社を引っ張っていかなければなりません。
あなたが何処へ行こうとしているか「目的地(ビジョン)」がはっきりしていれば、近くの里山に登る準備をするのに、富士山に登る服装や装備を持っていったり、その逆をやってしまったりするようなことはありません。
里山に重装備で行くのであれば余分な苦労が伴うだけで済むかもしれませんが、目的地を明確にせずに、河口湖にドライブに来たついでに富士山に雨具や防寒具、予備食なしで登り、悪天候にでも遭遇すれば死に至る可能性まであります。富士山に登るという前提で、準備をすれば死(倒産)に到る確立は非常に低くなります。
登山や旅行はきちんと目的地を決めていくのに、会社経営に「目的地(ビジョン)」を決めていかないのはおかしいと思いませんか。登山でも「そこに山があるから」登って遭難では済まされません。会社を経営するのに「そこに会社があるから」で経営されてはたまったものではありません。しかし、現実には「何のためにどこに向かって行く」のかを決めなくて闇雲に経営されている中小零細ファミリー企業経営者が多くおられます。
強い「使命(ミッション)」や明確な「目的地(ビジョン)」に、この後お話する「信条(クリード)」や「行動規範(モラルコード)」などの経営理念があれば、問題がおこった時の対処方法も適切なものになります。 経営判断には短期的には正しくても、長期的にみると間違っていたということも往々にしてあります。
経営理念があれば、その場、その時の損得や好き嫌い、他人のアドバイスで経営判断してしまう危険を避けることが出来るのです。
このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は毎週月曜日に発信しています。次週は (4)「目的地(ビジョン)」を数字で表現したものが「経営目標(ターゲット)」 です。
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井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に
- 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
- 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
- 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業
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