第1章 経営理念・行動規範のつくり方
(4)「目的地(ビジョン)」を数字で表現したものが「経営目標(ターゲット)」
「目的地(ビジョン)」は定性目標1とお考えください。「目的地(ビジョン)」を数字に落とし込んだものが「経営目標(ターゲット)」で、「経営目標(ターゲット)」は金額や数値で表せる定量目標2です。
この後、この「目的地のシーン」を達成するために必要な事業数や社員数を設定します。これが「経営目標(ターゲット)1」です。次に「目的地のシーン」の大まかなBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)を策定し、その中の重要項目の指数や金額が「経営目標(ターゲット)2」となります。
私の顧問先の俯瞰塾3会員企業は【『長寿幸せ企業』版PDCA事業計画書】を作成されていますが、彼らの多くは「自己資本比率」、「経常利益額」、「売上高営業利益率」それにその結果としての「売上高」を「経営目標(ターゲット)」にされています。その他に「研究開発費額」や「社員平均年齢」、「一人あたり営業利益高」などをターゲットとされている方もおられます。
「目的地(ビジョン)」の「経営目標(ターゲット)」が決まれば、次は現在まで逆算してマイルストーンを置いていきます。経営者の現在の年齢によって違ってきますが、来期から、「目的地(ビジョン)」や「経営目標(ターゲット)」の最終到達地点、つまり社長引退の年までが「経営目標(ターゲット)」設定の期間です。
今40歳で、70歳引退であれば、ターゲット期間は30年ということになります。20世紀なら、5年毎にマイルストーンを置くべきなのでしょうが、環境の変化がドッグイアーを遥かに凌ぐ今、マイルストーンは50歳、43歳、41歳で十分だと思います。
つまり、短期経営目標が1年、中期経営目標が3年ということになります。長期経営目標は10年ですが、これはあくまでもアバウトで結構です。いや逆にアバウトぐらいの方がいいと思います。勿論経営者の性格によって違ってきますが、毎年長期経営目標やこのあとお話する長期戦略を練り直して、頭を抱えこんでいる生真面目すぎる経営者も散見されます。いい加減なようですが、最終到達経営目標と中期経営目標をグラフで結んだ線上の近くにあれば、それで十分です。ベクトル(方向)が合っていれば、来期又チェックすればいいのです。
ここから、どのようにしてそれらを達成していくのかを決めるのが「戦略」です。これは経営陣の専権事項であって管理職に任せてはいけません。
具体的には、事業ごとの市場や顧客を明確にし、どの商品やサービスを選択・集中をさせて、ターゲットとして設定した「自己資本比率」、「経常利益額」、「売上高営業利益率」、「一人あたり営業利益高」を達成していくことをきめることです。
そこからさらに、これらの戦略目的を達成するための具体的な方法、つまり「戦術」へとつながっていくのです。
このつながりをきちんとしておかないと、求めていること(「目的地(ビジョン)」)とやっていることが違ったものになって、二宮尊徳のいうところの
「瓜を植えて茄子を求めるまちがいをするな」ということになるのです。
1 数字で表せないような質的な目標
2 数字で表せる量的な目標
3 俯瞰塾は井上経営研究所の【経営再建プログラム】を終了された会員企業で、『長寿幸せ企業』をめざす中小企業経営者のための「経営実学」の実践学習塾です。会員以外の方でも、「初回問診」や「面談による無料経営相談」で審査基準をクリアできれば入塾できます。
次週は
(5)「経営目標(ターゲット)」をどのようにして達成するか、やりかたをはっきりさせるのが「戦略(ストラテジー)」
です。
井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に
- 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
- 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
- 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業
に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。
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