永続優良企業への「変化と継続」井上経営研究所

中小零細ファミリー企業版『長寿幸せ企業』の実践経営事典2019
なぜあの会社が短期間で無借金会社に生まれ変わったのか?

一人で悩まないでください!

 「心の富」を無くさない限り必ず再起のチャンスがあります。  形のあるものを手放すことが再起への最短距離です。時間が掛かっても迷惑をかけた方々に対して道義的責任を果たせる近道なのです。  「倒産」は犯罪ではありません。  「倒産」という言葉の響きは実態とかけ離れすぎているのです。「倒産」という言葉は一人歩きしすぎています。一般の方は倒産の実態についてあまりに無知すぎるのです。自分自身の世界で倒産を空想しないで下さい。倒産は事業にとっての最後の権利なのです。もがき苦しんでいるあなたを救ってくれる最後の手段なのです。  もちろん私は「倒産」など薦めているわけでは決してありません。 私の仕事は医師と同じく経営危機に陥った会社の検診をし、適切な薬をお渡しし、時には手術を施して健康体にすることです。 しかし病気に末期症状があるように事業にも薬や手術ではどうにもならない状態があります。こうした状況になっても会社や財産を手放そうとしないことが再起へのチャンスさえも失わせることになるのです。  「捨てなければ得られない」 重荷を捨ててみてください。今までのことが嘘のように安寧な生活を得ることができます。貧しくても心の平和や充足感からこそ新しいエネルギーが沸いてくるのです。

井上雅司の経営相談申込カレンダー

第6章(3)能力的、身体的に劣っていても、「徳性」が高く、一所懸命に働く人 や 家庭や個人の都合で会社が希望する日や時間に働けない人 が誰でも「幸せになる」ために働ける権利を持っている会社

2017年07月11日 | 第6章 健全企業の「時務学」を学ぶ

 

章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ

 

(2)「時務学」 「ヒト」に関する知識と技術

 ③能力的、身体的に劣っていても、「徳性」が高く、一所懸命に働く人や
家庭や個人の都合で会社が希望する日や時間に働けない人が誰でも「幸せになる」ために働ける権利を持っている会社

先回、

 『幸せ企業』をめざすには、経営者はもちろんすべての従業員に「負うべき義務や責任」と「得るべき自由や権利」があるはずです。義務や責任を果たせるからこそ、『幸せ企業』の従業員は誰でも生活環境に応じて働ける自由を持ち、「幸せになる」権利を持てるはずです。

とお話しました。
  

 長寿幸せ企業の従業員さんは仕事の能力が高い以上に、徳性が高いことが要求されます。
ということは仕事自体の評価が特段高くなくても、家族を養い幸せな家庭を気づくために必要な昇給が得られる仕組みがなくてはなりません。

 そこで、『長寿幸せ企業』をめざす俯瞰塾の会員企業は賃金規定を作る柱として2パーンのモデル賃金を作っています。

 モデル賃金第1は業務能力が劣っていても徳性が高い社員用。

 モデル賃金第2は入社から退社までできれば、このくらいのペースで能力を引き上げて、等級号棒を上げ、職位も給与もアップする努力をして欲しいというものです。両方のモデル共入社から退職まで5年刻みで、あるべき等級号棒とその給与を明記しています。


 私の目指す『長寿幸せ企業』には正社員やパートさん、非正規雇用などという言葉は存在しません。すべての人が社員さんであり、従業員さんです。限定的な条件でしか働けない従業員さんも同じ等級号棒表や勤務評価表を使用します。

 前述の妊婦、小さなお子さんのいる寡婦、寡夫、障害者及び彼らを支える家族、高齢者や要介護者などのいる家族。これらの方は現在の勤務体系でははじかれている人びとです。彼らの採用に目をつぶって、長寿幸せ企業などとは恥ずかしくて言うことができません。月20日勤務は出来なくても、一日8時間勤務はできなくても、彼らなりの働ける時間が少なからずあります。能力があっても今の会社側の都合による就業規定や賃金規定では働けないだけです。


 例えば、会社の月の労働時間が160時間だとしましょう。その会社で働いる要介護の母親を抱えている従業員さんは午前9時から2時間働いて、自宅に戻り母親の世話をして午後3時からまた2時間働いて5時に退社します。勤務時間は1日4時間、月80時間です。勤務時間指数は50ですので同じ同じ等級号棒の人の50%の給与が支給されます。1ヶ月前に申請すれば、翌月からいつでも勤務体系を変更することができます。


 但し、長寿幸せ企業はやさしさと同時に厳しさが必要です。それは勤務評価表です。勤務評価表は各等級別に仕事の作業の難易度別に「~ができる」という文言で明記されています。その表現には非常に気を使っています。一般的な5段階評価やABC評価ではハロー効果などの心理的な影響で結局はさじ加減で行っている企業がほとんどです。適性評価ではなくできるかできないの○か✕で判定できる文言を使用します。本人のみでなくその作業が出来る人は誰が見ても出来ると思うことが必要です。

 その等級の作業がすべて、または8割以上ができると判定されれば、翌期から次の等級に上がることができます。先ほどの母親を介護している従業員も同様です。働く日や時間が少ないからといって行う仕事の内容や責任は変わりません。

 私は2009年頃から「スーパーレディ」や「スーパーシニア」という言葉で、自社の都合ではなく、働く側の都合で優秀な人を採用していく仕組みを作りましょうと顧問先企業に声をかけ続けてきました。

 2009年というのは前年にリーマンショックがあり、急激に求人倍率が下がり、小規模零細企業でも割合簡単に人の採用が出来るようになった頃です。求職者から言えば自分の希望などを言っていれば就職など出来ない時代でした。しかし、私は日本の生産年齢人口が急激に減り続けていくのだから、不景気の状態でも中小零細企業が人材を確保できない時代がくる。ましてや好景気になれば、中小零細企業に応募する人などほとんどいなくなる。良い商品、良いサービスを持っていてもそれを造ったり、提供したりする人がいなくて売上を作ることが出来ない状況に陥ることもありうると考えました。

 そのためには、いままでの就業体系で、働くことを諦めていた人を掘り起こし、従業員が会社に合わせるのではなく、会社が従業員に合わせる「しくみ」を早急に考えなければなりません。

 そのためには、他の企業をコピペして、数字だけ変えたような就業規則、賃金規定、人事評価方法ではこの難局を乗り越えていけません。経営理念や「使命(ミッション)」、「目的地(ビジョン)」からもう一度人事戦略を再考してみてください。

 

 

 次回は 第6章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ の 第4回「時務学」:「ヒト」に関する知識と技術 
 その④ 『長寿幸せ企業』の賃金規定と人事評価方法

 

を予定しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A

 

 


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第6章(2)人に信頼されるような徳のある人をそれにふさわしい役職につける

2017年07月04日 | 第6章 健全企業の「時務学」を学ぶ

章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ

(2)「時務学」 「ヒト」に関する知識と技術
 ②人に信頼されるような徳のある人をそれにふさわしい役職につける

  多くの会社に訪問させて頂いていますが、社員は概して高学歴で、ひとりひとりの能力は高く、熱意もないわけではないのに、なぜかバラバラでうまく機能していない会社があります。

 一方で、ひとりひとりの能力は特に高糸は言えないのに、うまく機能している会社があります。そんな会社では、社員さんが全員同じ方向に向かって、知恵を出しあっています。その結果、衆知が集まって大きな力になり会社が発展しているように思います。 

 「一匹の狼(ライオンとも言われますが、この方が合っているように思いますが・・)に率いられた羊の群れは、一日にの羊に率いられた狼の群れに勝る」という皆さんも聞きたことのある言葉がありますが、私はこれは戦争におけるリーダー論であって、『長寿幸せ企業』を目指す会社経営には適さないものだと思っています。 

 会社経営で言えば、狼は常に獲物(売上)を狩ることの出来る、強いリーダーと言うところでしょう。一方、羊のリーダーはグループをまとめるのが得意ですね。


 私も二十余年にわたる経営で多くの場合、売上を一番あげられる従業員を常に引き上げてきました。その多くは営業成績がトップクラスで、はっきりと主張し、部下を鼓舞するのが得意な人ばかりでした。外部環境もよく、売上が伸びているときはグループのまとまりなどに問題ないのですが、売上が停滞や下降しだすと、部下の能力を軽んじて独りよがりの強権的なまとめ方や命令が出てくるようになり、グループはバラバラになり、退職者も出るようになることも何度かありました。
 もちろん、経営者である私の任命に問題があったのですが、当時の私には、経営理念はかっこよさが一番でとりあえず飾り物でしかなく、経営理念からすべての経営判断をするという知識も技術もなかったのですから何年たっても経営の知恵や技能が身についているはずがありませんでした。

 拙書の冒頭1

『経営理念』とは、

  1. 企業が何のために存在するのかを明確にする「使命(ミッション)」

  2. 現経営者が経営人生の最終到達地としてめだす目的地がどういう状態であるかを文章で描く「目的地(ビジョン)」

  3. ②を達成するためにおおまかな必要な数字を「経営目標(ターゲット)」

  4. ①から③の計画・実行・判断を支える「行動規範(モラルコード)」や「信条(クリード)」

以上をひっくるめたもので、これから正常企業から優良企業、さらに『長寿幸せ企業』を目指す上ですべての判断や行動の大本になるものだと言いましたが、経営戦略や戦術も例外ではありません。

 当然、人事戦略もその戦術もあなたの経営理念に沿ったものでなければなりません。就業規則はもちろんのこと、採用方法も賃金規定や人事評価方法や昇格も例外ではありません。

 私のホームページの「井上経営研究所とは2」にあるように「照一隅」が私の「使命(ミッション)」です。

 中小零細企業の

 「再建・再生」(再建プログラム)、

 「廃業・清算からの再起」〈廃業プログラム)、

 「開業・創業の経営危機からの脱出」(起業支援プログラム)

をお手伝いさせて頂く事により、一人でも多くの悩める人々が心からの笑顔を取り戻せるように少しでもお役に立てる。それに留まらず、これらの企業が「長寿幸せ企業」となり、「長寿幸せ企業」であり続けることをお手伝いする(俯瞰塾)により、これらの企業を通じて、経営者だけでなく、その家族、従業員、取引先、お客様など関わりのある人々の一人でも多くが末永く「幸せ」を実感できることに少しでも貢献することです。

 そのために、関与先の皆様には『長寿幸せ企業』に近づくための人間学と時務学を学んでいただくために多くの書籍を紹介し、知識と技術を学び、それを行動実践して知恵と技能として身につけることをお勧めしています。「ヒト」についても多くの書籍を紹介させていただいていますが、そのひとつ

 西郷隆盛の『南洲翁遺訓』3に 

四書五経の書経から

徳懋(さか)ンナルハ官ヲ懋ンニシ、功懋ンナルハ賞ヲ懋ンニス」

という金言が紹介されています。

 「人に信頼されるような徳のある人はそれにふさわしい役職につける、功績のあった人には給与の面、名誉の面で報いる。」

 という意味です。

 書経の時代から三千年近く連綿と続いている箴言ですので、販売や実務の才能があり、会社の利益に貢献した人には昇給や賞与、あるいは表彰などでそれに応えるべきであって、仕事ができる人だからと言って役職を与えたことが大きな失敗に繋がった事例がたくさんあったということでしょう。

 部下や同僚から信頼され、この人の言う事なら信用できるというような徳性の高いひとを役職につけるのが『長寿幸せ企業』を目指す経営者にとっては正道です。

 ということは、採用においても徳性が高いという資質は重要な評価材料になるはずですから、その段階から応募者の徳性に留意し、自社の「使命(ミッション)」や行動規範などの経営理念(哲学)にまったく合わない人や徳性の低い人は、その人が自社の利益に貢献できる非常に優秀な人であっても採用を見送るべきです。

 

 先に紹介したザッポスは一次面接で採用担当が標準的な面接をした後に、二次面接で人事部がザッポスの企業文化に合うかどうかのみを探る面接を実施するそうです。更に企業文化や「目的地(ビジョン)」などの研修を徹底的に行い、採用後4週間の研修修了までにやめる人全員に2000ドルを支払うそうです。そのくらいをしなければ自社の経営理念(哲学)にほころびが生じると考えているからです。

 

 『幸せ企業』をめざすには、経営者はもちろんすべての従業員に「負うべき義務や責任」と「得るべき自由や権利」があるはずです。義務や責任を果たせるからこそ、『幸せ企業』の従業員は誰でも生活環境に応じて働ける自由を持ち、「幸せになる」権利を持てなければなりません。 


1第1章 あなたは何のために、何処に行きたいのか ー経営理念・行動規範のつくり方(1)「経営理念(フィロソフィー)」は企業のすべての判断や行動の大本になるもの

2https://www.chojyu-siawase.com/kigyo-gaiyo

3渡邉五郎三郎著 『南洲翁遺訓の人間学』 致知出版社 p60


 このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。

 次回は 第6章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ の 第3回「時務学」:「ヒト」に関する知識と技術 
 その③ 能力的、身体的に劣っていても、「徳性」が高く、一所懸命に働く人は誰でも「幸せになる」権利を持っている会社

を予定しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第6章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ(1)経営者の「六芸」

2017年06月26日 | 第6章 健全企業の「時務学」を学ぶ

章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ

 経営者の「六芸」

 伊與田先生は著書「己を修め人を治める道 『大学』を味読する」1の中で人間は生まれながらにして、「徳性」が授けられている。ただ太陽が雲に隠れるように、人間の「我」や「私」が強くなると徳性を隠す雲のようになってくると書かれています。

 「我」という漢字は「手」と「矛(ほこ)」からなっており、武器を持って威嚇している様子を表しており、「私」という漢字は五穀を意味する「禾」と肘を曲げている様子を表す「ム」でなって、穀物を独り占めする様子を意味しています。

 私は初めての伊與田塾で、「人間学」とは人間が生まれながらにして持っている徳性を育てるための学問であり、知識や技術を習得するための学問を「時務学」ということを知りました。

 昔は「学(問)」といえば人間学のことで、時務学のことを「芸」といったそうです。そういえば「東京学芸大学」の「学芸」とは人間学と時務学のことで、東京学芸大学という名は正にその「使命(ミッション)」を明確に表しているといえますね。大学のホームページ2を見てみると目的として
 「東京学芸大学は、人権を尊重し、すべての人々が共生する社会の建設と世界平和の実現に寄与するため、豊かな人間性と科学的精神に立脚した学芸諸般の教育研究活動を通して、高い知識と教養を備えた創造力・実践力に富む有為の教育者を養成することを目的とする。」とあります。

 縦糸である人間学は時代が変わっても不易ですが、横糸である時務学は時代とともに変化していかなければなりません。孔子の時代の時務学「六芸」は礼(礼儀)、楽(音楽)、射(弓)、御 (馬車を操る) 、書(文学)、数(算数)を表しました。
 それでは、現在において『長寿幸せ企業』を目指す中小零細ファミリー企業のトップが身につけなければいけない時務学とは何なのでしょうか。

 「六芸」にあやかって、『長寿幸せ企業』の「時務学」を「ヒト・モノ・カネ」の三芸と考えて話を勧めていきましょう。

(2) 「時務学」 「ヒト」に関する知識と技術 ①人手不足と採用

 経営の三要素と言えば、ヒト、モノ、カネの順番で言われるくらい、その中で、何年やっても難しいのがヒトの問題です。紀元前何千年前から人類はずっとヒトの問題で悩み続けているのですから。
 私が経営再建のお手伝いをする場合もそうです。
 相談者の最初の悩みはただ資金繰り、つまりカネのことのみです。
 続いて、それを解決する手段としてのモノ、商品と製造と流通に関する仕組みづくりや、【日繰り資金繰り表】、【PDCA事業計画書】【連動式財務三表】などの作成や自社で月次決算書を毎月10までに作成する仕組みづくりなどモノの解決が沢山出てきます。
 これらを克服して経営危機を脱し、とりあえずカネの問題もなくなって初めて出てくる相談の多くはヒトのことなのです。経営危機の時には縁のなかった賞与や昇給の問題です。多くの中小零細企業の多くは「場当たり経営」ですので、ここで相談もなく、後述するように、
「優しさ」と「甘さ」を間違って気前よく大盤振る舞いをしてしまって、再び経営危機に陥ってしまうなどという笑えない現実も散見します。
 

 最初に確認しておきたいことがあります。それは、戦略や戦術を立てる前に 「あなたは何のために、何処に行きたいのか?」をはっきり答えられますかということです。従業員さんの採用から退職までの基本的な考え方を決めるということは人事戦略を決めるということです。第1章でお話したように、まず、何のためにという「使命(ミッション)」何処に行くのかという「目的地(ビジョン)」をはっきさせる。次に数字としての「経営目標(ターゲット)」を決めて、経営目標をどのようにして達成するか、やりかたをはっきりさせるのが「戦略(ストラテジー)」でしたね。戦略は幹から伸びた大きな枝です。この枝から、小さな枝がたくさん出て、葉が茂り、果実が出来るのです。

人事戦略も同じです。


 世の中には成功事例を紹介したハウトゥー本が溢れています。活字中毒と言われたくらいこの種の本を読んだ私は、これで知ったやり方をそのまま真似ても殆どの場合うまくいかないということを数多く体験しています。失敗から学べばいいじゃないかと言われるかもしれません。しかし、自分の会社という樹の幹に立派に実がついた枝を接ぎ木してもうまくいかないどころか、私のように、元の樹を枯れさせてしまう場合さえあります。
 これから、お話することはあくまでこのような理念や考え方をお持ちの方に向けてのものだということをご理解ください。

 「まず、社員を幸せにする」の使命を持ってDelivering Happiness(幸せを届ける会社)3」のキャッチフレーズで顧客を惹きつけたアメリカのネット靴店ザッポスはコアバリュー(理念)に合わない人には、ザッポスに勤めてほしくないと採用面接でふるいにかけているそうです

 理念や「行動規範(モラルコード)」に合わない人は採用しない。迷った場合でも、試用期間中に自社の理念や「行動規範(モラルコード)」にあっているかを見極めて、そうでない時は正規採用しない勇気が必要です。
 とくに小規模零細企業の場合は穴埋め的なパッキン採用がほとんどですので、即戦力になるからこのくらいは目をつむってという考え方は絶対に避けてください。あとで、大きな問題になるケースが多々見受けられます。

 業務処理能力は高いが、道徳力が低い応募者と業務処理能力は低いが、道徳力が高い応募者のうちどちらかを採用しなければならない場合は、迷わず後者を選ぶべきです。
 特に、管理職以上を中途採用するときは、この点に注意しなければなりません。
「隣の芝生は青く」見えるものです。
 私も繰り返しこの過ちを犯しました。有能な会員経営者の方でも同じような間違いをする例が多くあります。
よくある健全企業の採用として悪いケースは、取引先などで大変お世話になっている管理職やいろいろな現場でお会いする競合会社の管理職から「実は・・」と言って退職の相談を受けたりする場合です。
 特に、「自分の力を発揮させてくれない」とかう「ちの経営者にはビジョンがない」とかを口にする時は最注意です。

 「徳性のある人には地位を、能力ある人には金を与える。」という言葉を忘れないようにしてください。

 

 会社と人との関係は本当に不思議なものです。多くの会社に訪問させて頂いていますが、社員は概して高学歴で、ひとりひとりの能力は高く、熱意もないわけではないのに、なぜかバラバラでうまく機能していない会社があります。
 一方で、ひとりひとりの能力はけっして高くないのに、うまく機能している会社があります。そんな会社では、社員さんが全員同じ方向に向かって、知恵を出しあっています。その結果、衆知が集まって大きな力になり会社が発展しているように思います。

 

 21世紀前前半、経営の効率化やロボット機械などによって省人化がおこなわれようとも日本では「人材不足」が経営の大問題になってきます。中小零細企業にとっては、何も手を打たなければ人材どころではなく、「人手不足」が慢性的になり、長寿どころか「人手不足倒産」という言葉さえ現実となってしまいます。
 私は、中小零細企業が長寿企業であるために必要なことは、高収益企業や高成長企業であることより、その企業に関わる経営者や家族は勿論のこと、従業員のみなさんが、この企業で働けてよかった、この企業があってよかった、と誇りに思えるような企業で在り続けることだと考えています。
 また、従業員さん
からみた『長寿幸せ企業』とはどんな企業かというと
(1)家族を養い、幸せな家庭を築ける給与を得ることができる企業
(2)人生設計ができる長期継続して健全な企業
(3)上記を満たした上で、やりがいを実感すること出来る企業
というふうに捉えています。


 採用の方法や賃金規定や評価方法はこれらの経営理念が根や幹のうえに立っていることを忘れないでください。
 今までは、会社側の都合で採用や就業の仕組みを決めてきました。パート従業員、非正規社員や派遣社員というのはまさに会社側の都合でした。この方法を続けていけば、今後本格的に少子高齢化に入っていく日本において
他社との人材獲得合戦で給与戦争の泥沼に自ら踏み込んでしまいます。まるで一時代のスーパーマーケットの目玉商品などの価格破壊競争なような状況になってしまいます。働き手は一時的に高給を得ることが出来ますが、過剰な人件費の負担に耐え切れなくて倒産してしまえば、上記(2)の人生設計が出来る会社ではなくなってしまいます。それでは今後はどのような仕組みで採用や就業を考えていけばいいのでしょうか。 それは、働く側の環境や身体的能力?に応じて働き方を変えてそれをうまく組み合わせて会社側の都合に近いものにしていく仕組みが必要になります。
 学生、妊婦、その夫、小さなお子さんのいる夫婦、寡婦、寡夫、障害者、その家族、高齢者、要介護者などのいる家族。これらの方は現在の勤務体系でははじかれている人びとです。月20日勤務は出来なくても、8時間勤務はできなくても、彼らなりの働ける時間が少なからずあります。能力があっても今の会社側の都合による就業規定や賃金規定では働けないだけです。
 

 私は「働き方革命」が叫ばれる10年以上前から、「スーパーレデイ」や「スーパーシニア」という言葉で埋もれている潜在労働者採用の仕組みを会員企業に提案してきました。「パート」や「非正規」などという言葉をなくし、すべてのひとが同じ呼び方の「従業員」であるべきだと言い続けています。
 働き方だけでなく、いままでの雇用形態や賃金規定、評価方法ではこれからのヒトの変化の時代を乗り切れません。多くの先駆的な取り組みを学び、「ヒト」に関する技術や知識を学び、実践し技能や知恵に変えていかなければ、21世紀前半を乗り越えるのは難しいといえるでしょう。

1 伊與田覚著 致知出版社

2http://www.u-gakugei.ac.jp/01gaiyo/mokuteki.html

3 トニー・シェイ著[ザッポス伝説]ダイヤモンド社

 

 このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が毎週火曜日に発信しています。

 次回は 第6章 健全企業の経営実学「時務学」を学ぶ の 第2回『長寿幸せ企業』の賃金規定と人事評価方法
を予定しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年、「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業を『経営再建プログラム』で再生させる「経営救急クリニック」事業を創業。さらに再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせる企業再生手法を確立。2010年、長寿永続健全企業をめざす中小ファミリー企業のための「『長寿幸せ企業』への道」事業を開始。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井上経営研究所代表者のプロフィール

 井上 雅司(いのうえ まさじ) 1951年和歌山県生まれ。 早稲田大学教育学部卒業後日本航空開発株式会社を経てスーパーマケットを創業。20余年の経営の後倒産。自らの経験を踏まえ「倒産から学ぶ『経営実学』」を研究。自分と同じ体験をする人を一人でも少なくしたいの信念のもと「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を目指して、2002年、「経営救急クリニック」井上経営研究所を設立。2002年、「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業を『経営再建プログラム』で再生させる「経営救急クリニック」事業を創業。  さらに再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、優良企業、無借金企業(超優良企業)そして、企業に関わる多くの人が幸せになれる「幸せ企業」にまで一気に生まれ変わらせる企業再生手法を確立。  2010年、永続幸せ企業をめざす中小零細ファミリー企業のための「『長寿幸せ企業』への道」事業を開始。 ●企業再生コンサルタント   ●論語指導士(論語教育普及機構認定資格) ●M&Aシニアエキスパート(一般社団法人金融財政事情研究会認定資格) ●事業承継・M&Aエキスパート(同)

井上経営研究所とは

 井上経営研究所は中小零細企業の再生・再建から健全企業化、さらに『長寿幸せ企業』への道をお手伝いする経営コンサルタント事務所です。  ホームオフィスは、紀伊半島の最南端から少し北西(大阪寄り)に戻った 南高梅や紀州備長炭で有名な自然に恵まれた「みなべ町」という小さな町にあります。この町から日本全国にクライアント様を持ち、対応させていただいています。私、井上雅司がこの不便な田舎価値を起点にビジネスを展開している理由は、プロフィールをお読み頂ければお分かりいただけると思いますが、私が人生の危機に陥った時、全てを掛けて私を助けてくれた、年老いた両親がいるからです。  また、コンサルタント事務所といっても、総務以外は、すべてのサービス業務やプログラム診断業務はもちろん、経理も、このホームページ作成も、全て私一人で対応させていただいています。  というわけですので、無料相談といえどすべて私が直接責任をもって対応させていただいています。