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長寿幸せ企業への「変化と継続」2022-25

第1章(10)あなたの企業の「経営理念」から「短期経営計画」までを作成してみよう 第3回

第1章 経営理念・行動規範のつくり方

(10)あなたの企業「経営理念」から「短期経営計画」までを作成してみよう 第3回

 中小零細企業の「行動規範(モラルコード)」

 「行動規範(モラルコード)」とは社内全員が、判断や行動時に厳守すべきことです。

 ここで日本を代表する大手企業の一つSONYの「ソニーグループ行動規範」1を参考にしてみましょう。ソニーグループ全社員にたいするものですから、日英両方で表記されています。

 

基本原則については

  • 法令、社内規則・方針の遵守および誠実で倫理的な事業活動

  • ステークホルダーとの関係

  • 多様性の理解

  • 構造的利益相反の回避

  • 社内通報

人権の尊重については

  • 雇用における機会均等

  • 強制労働、児童労働の禁止

  • 健全な雇用・労働

  • 職場環境



誠実で公正な事業活動については

  • 製品・サービスの安全

  • 環境保全

  • 公正競争

  • 広告

  • 企業情報開示

  • 個人情報

  • 知的財産

  • 機密情報

  • 公正な調達

  • 贈答、接待

  • 記録および報告

倫理的行動については

  • インサイダー取引

  • 個人的利益相反

  • 会社資産

  • メディアとの関係と公的発言

という風に20ページに渡って細かく規定されています。

 では同じく東芝の「東芝グループ行動基準」2はどうでしょうか?

1. 人権の尊重

2. お客様の尊重

3. 調達活動

4. 生産・技術活動および品質活動

5. 営業活動

6. 独占禁止法・官公庁取引規制等の遵守

7. 贈賄の禁止

8. 環境活動

9. 輸出管理

10. 反社会的勢力の排除

11. 技術者倫理の遵守

12. 知的財産権の尊重

13. 適正な会計

14. 広報活動

15. 広告活動

16. 職場環境の整備

17. 情報セキュリティ

18. 会社財産の保全・利益相反行為の禁止

19. 社会とのかかわり

SONYほどではありませんが11ぺージに渡って詳細にかかれています。両者の行動規範をみているとそれはそれでCSR3を公開するという目的は十分果たせていると思います。

 では、なぜ、この東芝が世間を騒がす大きな不正会計事件をなぜ防ぐことができなかったのでしょうか。

「13の適正な会計」には
1.東芝グループの基本方針

会計に関する法令・基準を遵守し、一般に公正妥当と認められた会計原則に従って適正に会計処理と会計報告を行います。

2.東芝グループ役員・従業員の行動基準

(1)会計情報を、一般に公正妥当と認められた会計原則に従って正確にかつ適時に会計処理を行います。

(2)会計情報を、法令にのっとり正確にかつ迅速に開示します。

(3)経理システムの維持・改善をし、財務報告に係る内部統制の整備・運用に努めます。
と書かれています。

最終項「19. 社会とのかかわり」、行動基準の一番最後は

東芝グループ役員・従業員の行動基準

(1)地域社会の文化、慣習等を尊重します。

(2)地域社会とのコミュニケーションの拡大を図り、会社の経営方針や事業活動に対する地域社会からの理解を得るよう努めま

す。

(3)地域社会の活動および社会貢献活動に積極的に参加します。

(4)品位と良識を兼ね備えた、自立した社会人として責任をもって行動します。

(5)職場、公共の場所、インターネット環境を問わず、東芝グループの一員としての自覚を持ち、誠実な言動をこころがけます。

で締めくくられています。私は従業員の誰もがこの行動規範をそらんじて言えないばかりでなく、経営者も言えなかったように思います。

 東芝はからくり人形で有名な発明家の田中久重が創業し、社会に役立つ数々の商品を開発提供してきた老舗企業です。長寿大企業であっても『長寿幸せ企業』ではなかったことが、東芝ファンでもある私はとても残念で仕方ありません。

 行動規範の定義などはどうでも構いませんが、これら大手企業の行動規範はまるで六法全書なようなものです。つまり法律です。
 私は、論語の
子曰く、これを道(みちび)くに政を以ってし、これを斉(ととの)うるに刑を以ってすれば、民免れて恥なし。これを道くに徳を以ってし、これを斉えるに礼を以ってすれば、恥有りて且(か)つ格し。」4
を思い浮かべました。行動規範を法律と考えるから、捕まらなければ罰せされることもないからと行ってしまうのです。行動規範を道徳と考えれば、心に恥じるので正しく行動することが出来るのです。法律は最高権力者が変われば変わりますが、道徳は時代や国が違っても変わりません。

 もう一つ行動規範として機能しない決定的な理由は、長すぎて毎日、唱和できないので、憶えられないことです。
毎日毎日繰り返して唱和して憶えれば、頭のなかに染み込んでいます。経営者も従業委員も行動を起こすときに、「あれ、おかしいな」とか「ちょっとちがうな」などと一呼吸間をおくことが出来るようになります。これが『長寿幸せ企業』に必要な行動規範です。

『長寿幸せ企業』をめざす俯瞰塾会員には以下のようなスタイルの行動規範の作成をおすすめしています。

 お客様、仕入先様、私達全従業員とその家族を笑顔にするために

  • 笑顔で挨拶しましょう

  • 礼儀と感謝の気持ちを大切にしましょう

  • 清潔で明るい職場にしましょう

  • 真摯に勤労しましょう

  • 損得より善悪を優先させましょう

  • 変化を求めて、常に挑戦しましょう

  • そして、これらを継続しましょう

 経営者ご自身が、わかりやすく、行動につながる言葉で作成して、毎朝の朝礼や会議、ミーティングなどで唱和することです。

 さらに重要なのは、経営者が唱和のあとに従業員に向かって話す機会があれば必ず
「もし、私がこれらに違う行為をしていたら、しようとしていたら、お願いですから、私に『行動規範と違ってるよ』と諫言をしてください」
とお願いすることです。私の場合ももそうでしたが、会社を危機に貶めるのは従業員ではなく経営者です。経営者がおかしな判断や行動をしてもなかなか諫言することはできないことを理解しておいてください。

 

井上経営研究所のホームページやブログは、起業してはじめて「中小零細企業」の経営者となった方が、

 

  1. 幾多の経営危機を乗り越えて、変化と原理原則を学ぶんで経営危機から脱出するための「経営救急クリニック」事業

  2. 黒字企業から優良企業、無借金企業になり、『長寿幸せ企業』を目指し、従業員の幸福な生活を支援し、社会に貢献するための「長寿幸せ企業の道」事業

  3. 経営者が会社を安心して去れる「出口戦略」を成功させるための「事業承継・M&A (ハッピーリタイアメント)」事業

 

 まで、中小零細ファミリー企業の経営者人生の中で起こりうることを想定して構成しています。ご参考にしてください。



1ソニーHPより転記 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/compliance/code_of_conduct.pdf

2東芝HPより転機 http://www.toshiba.co.jp/csr/jp/report/files/pdf6_4.pdf

3企業の社会的責任

4論語 為政第二 より

 次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (1)「倒産への負の連鎖」からの脱却 です。

 このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A


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