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長寿幸せ企業への「変化と継続」2022-25

第5章(5)未来へ、社員へ、家族へ、社会への「推譲」

第5章 健全企業の経営実学「人間学」を学ぶ
)未来へ、社員へ、家族へ、社会への「推譲」

4章(4)健全企業から優良企業、無借金企業へ・・そして、まず「幸せ企業」を実現 第2回 で

「推譲」とは
従業員や家族はもちろん地域や社会の未来のために「分度」して残したものを譲っていくことです。幸せ企業をめざす中小零細ファミリー企業では、配当が「推譲」より優先することはあってはなりません。
 二宮尊徳は
 「富と貧とは、元来遠く隔たったものではない。ほんの少しの隔たりであって、その本はただひとつの心がけにあるので、貧者は昨日のために今日つとめ、昨年のために今年つとめる。それゆえ終身苦しんでも、そのかいがない。富者は明日のために今日つとめ、来年のために今年つとめるから、安楽自在ですることなすことみな成就する。それを世間の人は今日飲む酒がない時は借りて飲む。今日食う米がなければまた借りて食う。これが貧窮に陥る原因なのだ。」
と言っています。
 こうして、幸せ企業に近づけば近づくほど、経営者も従業員もさらに「至誠」を向上させ、いっそう「勤労」し、積極的に「分度」「推譲」していくサイクルに入りこんで行くことが出来るのです。

と話しました。

 

 「推譲」については多くの偉人がその重要性について箴言、金言を残しています。

 フランスでは、「ノブレス・オブリージュ(高貴さは(義務を)強制する)」として身分に応じて社会的義務が発生すると言われています。

 「金を稼げるだけ稼ぎ、維持できるだけ維持し、与えられるだけ与えるのは男の義務である。」といったのは ロックフェラーです。

 聖書の中にも「人にしてもらうことを期待するより、人にしてあげることを喜びにしよう1」という言葉が出てくるそうです。

 日本でも、渋沢栄一は
できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが、我々の義務である」と言い、
 出光佐三は「働いて、自分に薄く、その余力を持って人のために尽くせ。」2
の名言を残しています。

 一方で、古くから、

孟子は、「恒産なくして恒心なし3

管子は、「倉廩(そうりん)満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」4 

などの箴言を残すなど、わたしのような一般人にとって「推譲」の難しさについての名言やことわざも多く存在します。

 

 その中で、二宮尊徳は一般人ができる「推譲」への実践方法をを私達に教えてくれています。

 「富と貧とは、元来遠く隔たったものではない。ほんの少しの隔たりであって、その本はただひとつの心がけにあるので、貧者は昨日のために今日つとめ、昨年のために今年つとめる。それゆえ終身苦しんでも、そのかいがない。富者は明日のために今日つとめ、来年のために今年つとめるから、安楽自在ですることなすことみな成就する。それを世間の人は今日飲む酒がない時は借りて飲む。今日食う米がなければまた借りて食う。これが貧窮に陥る原因なのだ。」と言っています。

「世の中が無事に治まっていても、災害という変事がないとは限らない。変事が仮にあっても、これを補う方法を講じておれば、変事がなかったも同然になるが、変事があってこれを補うことができなかった場合は、それこそ大変なことになる。
 古語に『三年の蓄えなければ国にあらず』といっている。外敵が来たとき、兵隊だけあっても、武器や軍用金の準備がなければどうしようもない。
 国ばかりでなく、家でも同じことで、万事ゆとりがなければ必ずさしつかえができて、家が立ちゆかなくなる。国家天下ならなおさらのことだ。人は、わが教えのことを、むやみに倹約ばかりさせるというが、むやみに倹約するのではない。変事に備えるためなのだ。また、わが道のことを貯蓄ばかりさせるというが、貯蓄が目的なのではない、世を救い、世を開くことが目的なのだ。5

 私がほんとうの意味で二宮尊徳を知ったのは、残念ながら倒産後でした。倒産前の私は、「恒産なければ恒心なし」で自分の見栄や驕りのために借りてきて経営をどんどん会社を「倒産への負の連鎖」に追い込んでしまう「貧すれば鈍する」の状態でした。それに気づいたのは倒産してすべて失って二宮尊徳の本に再び出会ってからです。
 何もない状態から、まずとにもかくにも働くこと(勤労)、そして身の丈に合った生活をして(分度)、必需品だからといって分割払いせずに我慢をして、まずは未来の家族と自分のために蓄え(推譲)していくと、今度は耐久財でも現金を貯めてから買うという癖ができてきました。まさしく、知らないうちに、尊徳のいう「明日のために今日つとめ、来年のために今年つとめるから、安楽自在ですることなすことみな成就する」に近づき、少なくてもお金のことで苦しまなくて済むようになってしまいました。

 倒産から10年も経ったころにはいつも幸せを感じ、自分は幸せものだと感謝できるようになりました。

 そして、「衣食足りて・・」「恒産あれば・・」の状態になれば、こんな私でも、「人のために役立ちたい」という社会への「推譲」を心するようになって、今はその実現を楽しみにしています。

 

 事業再生コンサルタントとしての仕事でも、私の【経営再建プログラム】の基本スキームは

「至誠」

「勤労」

「分度」

「推譲」

です。

 これが我慢して実行出来たクライアント様は意外と短期間で経営危機から脱出し、健全企業から優良企業に変わることが出来ました。
 それだけではなく、家族や従業員それに社会の幸せのための「幸せ企業」に近づき、何代も続く「長寿」企業へ道が拓けてくると確信しています。


1中村芳子「生きる力を与えてくれる聖書88の言葉」ダイヤモンド社

2木本正次「士魂商才の経営者出光佐三語録」PHP文庫p20

3「孟子」梁惠王上

4日本では一般に「衣食足りて礼節を知る」と知られる

5二宮翁夜話百八十三

(6)「人生の義務は、ただひとつしかない。それは幸福になることだ。」 (仮題)を予定しています。  

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A


 

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