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長寿幸せ企業への「変化と継続」2022-25

第5章(2)まずは勤労から

第5章 健全企業の経営実学「人間学」を学ぶ

(2)まずは勤労から

 

 【経営再建プログラム】で債務超過や連続赤字などの経営危機を脱出する企業の第一条件は何かをよく問われます。

 

「ひとはすべからく勤労して、後に富を得る」と二宮尊徳が言い、

 

 

松下幸之助は

「自分なりに、一日一日を精いっぱい働きました。最初から今日のような大きな会社にしようとか、したいなどといったことは夢にも考えませんでした。ただその日その日を一生懸命誠実に働くという状態だったと思います。(中略)『ほんとうにきょうは、われながらよく働いたな』と、しみじみ充実感を味わい、幸せを感じた」1と述懐しています。

 

 

 

 河井継之助が「峠」(司馬遼太郎)で「志ほど世にとけやすく、壊れやすく、砕けやすいものはない」と言っているように、小さなことを地道な努力で継続していくことは、誰にとっても難しいことです。

 

 誰もが苦しいと思うことやいやだと思うことを継続し、習慣や楽しみに出来る人を「偉人」と言うのかもしれません。

 

 野球選手イチローで注目すべきは、試合以外でのルーティンワークや生活習慣でしょう。彼を敢えて天才と呼ぶのなら、彼こそ「継続の天才」です。

 

 

 

 私の「再建プログラム」で、企業を倒産の淵から脱し、正常企業から優良企業、無借金企業に変えていくことの出来た経営者は、決して特別、高学歴でも、頭のいい人でもありません。

 

まずは、よく働く人であることです。
 再建するのに必要な「知識」を習得したら、その「知識」を地道に行動に移し「知恵」とし、習慣化させ、自らを変えることの出来る人です。

 

 実際に、「再建プログラム」に着手した中で、高学歴、有名大学卒の経営者の方が脱落、中断してしまう確率が高いのが現実です。学力が高い経営者は総じて情報力も高いので、「もっと簡単に」「もっと楽に」「もっと早く」と「魔法の杖」を求める傾向にあります。

 また、「成功事例」が大好きで、「カンブリア宮殿」などのTV番組や成功体験を書いた書籍などで感激するとすぐに真似したがる傾向がありますが、フォームだけイチロー選手の真似をしても全く打てないのと同じでほとんど失敗に終わります。
 スポーツや芸術、音楽などすべて基本を学び、繰り返して継続し基本を身につけることが必要です。陸上競技で単に走り続けているだけでは早くなりません。水泳ではいくら我流で泳いでも早くはなりません。それが、一流の選手やコーチに付いて、机上の理論を学び、アドバイスを受けながら実践していくと普通のひとでもおどろくほど早く走れたり、泳げたり出来るようになります。理論で学び、実践で身体に染み込ませていくのです。これは経営でも同じです。

 


 伝統的な匠の技などは、盗み見して学ぶ必要がありましたが、現在の経営の基礎的なことは誰でも学ぶことが出来ます。後ほどお話させていただく「時務学」における「経営会計」2や「経営戦略」「マーケティング」を学んでいるのと、学ばなくて全く知らないのではその後の経営に大きな違いが出てきます。

 

 

 

 もちろん私は「魔法の杖」は持っていません。「必ず再生できる」などと謳っている書籍やコンサルタントなどの「魔法の杖」で達成出来る「再生」はどうも私が考えているものと言葉の意味が違うようです。

 

 会社分割など「外科的治療」で会社の存続は確保できても、経営者や会社の体質が変わらなければ、早晩、経営危機に陥るのは目に見えています。体質を変えるには「内科的治療」が絶対に必要です。

 

 

 

 「内科的治療」に「知識」として、難しい作業はありません。強いて言えば、前月の決算を10日までに自社で作成することくらいでしょうか。これとて、「会計王」や「弥生会計」などの手軽で簡単な会計ソフトのお陰で、簿記知識など出来なくても誰でもできるようになります。一定期間自ら経理を手伝い、伝票を起票して、自社で月次試算表や決算書を作成できるようになれば、お金がどう動いていくのかが理解できるようになります。貸借対照表の資産の部や負債の部の勘定科目がなぜこの並び方になっているのかがわかり、キャッシュフローが見えてきます。投資や借入がどのように影響してくるのかも見抜ける芽が育ってきます。

 

 このようなことも、毎日継続して入力することを歯磨きのように習慣化させることが出来れば、経営者でなくても誰でもできるのです。

 

 「人間学」を学ぶ第一歩は目の前にある自分の仕事に一所懸命取り組み、松下幸之助のように
「ほんとうにきょうは、われながらよく働いたな」と、しみじみ充実感を味わい、幸せを感じることなのです。

 

1松下幸之助「人間としての成功」PHP文庫p27

 

2管理会計や事前会計とも同意。経営に必要な内部会計のこと。税務署や金融機関などの外部に対して必要なものを制度会計、事後会計、財務会計と呼ぶ。

次回は、第5章 健全企業の経営実学「人間学」の

(3)小を積む努力なしに夢の実現はない「積小為大」は地味なことの積み重ね(仮題)を予定しています。 

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A

 


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