LITTLEWHEEL Modeler's Diary

モデルフィニッシャー北澤志朗が、カーモデル作りに明け暮れる日々の暮らしを赤裸々に綴ります。

電源トラブル発生

2010年03月15日 10時16分45秒 | 時事ネタ関連
ここ数日非常に忙しくて、ジャガーの製作はあまり進んでいません。
なんかいろいろな事がいっぺんに起っちゃってねぇ。くたくたですよ。

中でも最大のハプニングがコレ。
事の起こりは金曜日の夜でした。我が家の2階の書斎のコンセントの1つが突然、白煙を吹いたのです。
書斎には壁の3カ所に2穴のコンセントがあるんですが、そのうちの1つの、上の穴には直接エアコンのプラグを差してあります。もう1つの穴には、延長コード付きのテーブルタップをつけて、そこにテレビ、CATVのターミナル、古いビデオデッキのプラグを差してありました。そのビデオデッキのプラグのところから煙が。
どうやら過電圧のようで、当然デッキは壊れました。このデッキ、今はほとんど使っていないので、それだけなら実害はほとんど無いんですが…

そのあと、書斎の天井の照明を消すと廊下の照明がついてしまうという怪現象が発生。廊下の明りは階段の上と下にスイッチがありますが、書斎とは関係ありません。それなのになぜかスイッチが連動するようになってしまいました。しかし、じきに照明は消えてしまいました。
その時はもう深夜だったので、おかしいなぁ…と思いつつも、そのまま寝ちゃいました。

明けて土曜日。今度は書斎の隣の仕事部屋で異常が発生。明りもつかないしコンセントも全部死んでいるのです。エアコン、旋盤、コンプレッサー、塗装ブースの換気扇、乾燥機、撮影用の照明、全部使えません。
書斎の方でも、照明はつくものの、壁のコンセントのうち、仕事部屋との間の壁にある2カ所も死んでいる事が判明。パソコンと周辺機器、全部ダウン。
そのくせ、前夜に煙を噴いたタップが繋いであったコンセントだけは、コレがなぜか使えるんですね。

これだけおかしなことが起きているにも関わらず、漏電遮断ブレーカは作動していませんし、各配線ごとのブレーカも落ちていないのです。1階の電源は全く異常無し。

困惑しつつ、まず書斎のコンセントを1カ所ずつチェックしていたら、今度は突然すべてが復旧しました。私が2階で大騒ぎしているのに気付いた母が途中で階段を上がってきたんですが、その時に2階の廊下の明りを階段の下のスイッチで付けて、上のスイッチで消したんですね。その途端に全てのコンセントが使えるようになったのです。

一体、何なのだコレは?
20年前の私だったら、真っ先にオカルト方面を疑ったところですが(笑)、幸い今の私は自然科学至上主義者です。ポルターガイストとか霊障とかのタワゴトは全く信じません。まずは電気工事屋を呼ぼうと考えました。
ところが、家を建てた時の住宅会社はすでに解散しちゃって存在せず、当時の電気工事屋も判らなくなっていました。

幸いパソコンの電源が復活していたので、ネットで近場の電気工事屋を探そうとした、その時。
なんかこういうハナシをどこかで読んだ事があるのを思い出したんですよ。たしかちょっと前の新聞記事。家の中の電気がフラフラとおかしくなり、家電製品がいきなり壊れ…単3相…中性線…なんかそういう言葉が出てきたような。

ググってみたらすぐに判りました。単線3相式電源の中性線欠相による電圧上昇事故。

私は電気関係はあまり詳しくないので、ザックリと書きますが、つまりはこういう事のようです。
普通、一般家庭のコンセントは100Vですが、電柱から家に入ってきている電源は商用200Vである事がほとんどです。これを、接地線Nと電圧側L1/L2の3相で家屋内に配線しています。N&L1で100V、N&L2で100V、合わせて200Vを2系統で分け合うわけね。大型のエアコンやセントラルヒーティング、自動給湯システムなどは200V電源を必要とする場合があるので、その場合は200Vの専用回路を形成するわけです。
で、この3相のうちNが切れたり、接続が緩んだり(欠相)すると…家屋内配線の構成によっては、本来100Vのはずのコンセントにいきなり200Vが流れちゃいます。場合によっては全配線が200Vになっちゃう!なんて事も。

こういう事例、実は全国で起っていて、消費生活センターには02年から08年までに58件の相談があったそうです。その中には深刻な事例も少なくなくて、家中の家電製品が一瞬ですべて故障し、数十万円の損害になったというケースも。

この中性線欠相を防ぐために、現在では新築の家の分電盤には「中性線欠相遮断機能付き新型ブレーカ」なるものがついています。欠相が起きるとただちにブレーカが落ちるので、家電製品の故障は起きないわけです。
しかし、これが導入されたのは1995年以降なので、それ以前に建てられた家の場合、中性線欠相遮断機能の無い単なる漏電ブレーカがついている場合が非常に多いようなのです。
しかも、新型ブレーカの取付けは法律的には義務化されていないので、「必ず付けなさいよ」という広報はほとんどされていません。

てな事が判った時点で、我が家の分電盤を見てみると…やはり漏電ブレーカは旧式のもので、中性線欠相遮断機能は付いていませんでした。しかもムカつく事に、そのすぐ下には「関東電気保安協会」の点検済みステッカーが貼ってあります。昭和59年と書いてある。
59年って事は1984年。それ以来、検査員が来てないのかと驚きましたが、母によると毎年来ていて「検査合格です」という書類を置いていってる、との事。
でも漏電ブレーカを替えた方がイイと言われた事は1度も無いのです。一体何のための検査なのか?

とにかく、これはヤバいぞってことで、家中の家電製品のプラグを全部抜いて、我が家は一時的に電気無し状態に。ただし冷蔵庫だけは抜くわけに行かず(またコレが冷凍物いっぱい入ってるタイミング…)、やむなくそのままにしました。

で、どうするか。色々調べているうちに結局また夜になってしまい、土曜日はそのまま就寝。
日曜日の朝、前日ググった時に見つけて電話番号をメモっておいた「住宅電気工事センター」というところに電話をしてみました。
どこぞの電気屋の若いおニイちゃんらしき声が、メンドーくさそうに返事してたんですが「中性線欠相かも」と言った途端に雰囲気が激変。じきに電気工事屋さんから折り返し電話があり「すぐに主電源を切って下さい!」と言われました。
ふたたび電気無し状態で待つ事1時間、電気屋さん登場!

結果から言うと、我が家のトラブルは中性線欠相ではなかったんですねコレが。(ってオイオイ!)
電柱から引き込んでいる大元の電源線からメーター、分電盤、2階の2部屋のコンセントなどを念入りにチェックした結果、電圧異常は皆無。中性線の欠線や接続の緩みはあり得ない、という結論に。

それじゃあの異常現象は一体なんだったのか? やっぱりオカルト?(んなワケ無い)

電気屋さんの説明によると、デッキのプラグの発火は、プラグの歯の腐食劣化で導通が悪くなったため。電気ってのは水と同じで、流れにくくなるとそこに溜まるんだそうです。で発熱、腐食部分が焼けると一気に導通。デッキが壊れたのはそのせい。
この時、2階のそれ以外の回路の電流が一気に問題のコンセントに流れたため、他の回路の電圧が異常に下がり、他のコンセントがすべて使えなくなった。仕事場の照明が付かなくなったのも同じ原因。

この電圧低下は、2階の機器のプラグを一度抜いてからまた差したり、廊下の照明をつけたり消したりすることで次第にバランスが取れて回復したらしいんですね。
さらに、廊下の照明が書斎の照明を消したら勝手についたのは、この照明がパルックボールだったため。パルックボールは白熱電球と違い、コンデンサーを内蔵している、つまり充電されている状態なんですね。配線の電圧異常が起きている状態で書斎の照明を消した瞬間、電圧バランスが変わって放電し、勝手についた、と。
「とりあえず大丈夫だと思いますよ」と言った電気屋さん、後光がさして見えましたね(笑)。

ただ、旧型ブレーカはマズいですよ、ということで、早速新型ブレーカに取り替えてもらう事にしました。費用は工事点検費込みで2万円までしないだろうとの事。それで事故が防げりゃ安いもんです。
その電気屋さんが以前修理に関わったお宅でも、新調したばかりのセントラルヒーティング・システムがパーになっていたそうで、損害額は100万円単位だったとか。しかも電力会社との間で訴訟沙汰になっているらしいです。くわばらくわばら。

あと、2階の2部屋の機器の接続バランスがあまり良くないという事なので、接続をすべて見直す事にしました。やたらとタコ足になっているところと、1個しか繋がってないところがあったりするのは、やっぱりよろしくないそうなのです。
早速ビッグカメラに行って新しいテーブルタップやら分岐ソケットやらを購入、配線を整理して、壁のコンセントのバランスをとりました。
あとは新型ブレーカの取付けを待つばかり。

それにしても、です。
今回、我が家は違ってたからイイですけど、調べれば調べるほど、中性線欠相事故は起きた後が大変です。
電力会社は屋内配線の管理責任は家の持ち主にあるとして一切責任を負わないし、家電メーカーはユーザーの使い方の問題だからと保証を一切してくれない。電気工事業者は新型ブレーカを付ける法律的義務は無いので責任は無いと主張しますし、ブレーカのメーカーは中性線欠相遮断は旧型ブレーカ本来の機能ではないので責任を負いません。損害保険は新型ブレーカがついていなければ出ない場合があります。

さらに家が賃貸だとハナシはさらにややこしい。住人は家主の責任を問いますが、家主は電力会社や電気工事業者のせいにします。結局、甚大な被害を受けた住人が泣き寝入りするしかないのです。

国民生活センターではこの件について警告を出していますが、まだまだ注目度は非常に低いですよね。知らない人がほとんどのようです。マスコミの扱いも全然小さい。私が見た新聞記事も、見逃しちゃっても不思議じゃないくらい小さな扱いでした。もっとバンバン広報するべきですよ。
1995年以前に建てられた住宅やマンション、アパートなどにお住まいのみなさん、漏電ブレーカのチェックをお忘れなく。
主電源が単線3相式の場合、スイッチの先に「単3」と表示があります。中性線欠相遮断機能がついているブレーカには、必ずそのむね明記されています。何も書いて無かったら、ひと財産無くす前に電気屋さんにお電話を!




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5 コメント

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ドえらい事に… (こぶら酒)
2010-03-15 16:55:16
他人事ではない非常事態が発生していたのですね!?
我が家もIH用の200Vやコンセント増設、AV用の専用電源工事を
近々行う予定で業者さんに相談しているところでしたので、
カーモデル以外の件でも参考にさせて頂きます。

いや~しかし、大事には至らなかった様で良かったです。
私もPCやAV関係の機器が心配になってきました。
北澤先生~、心臓にヨロシクないです(笑)
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まだ続いてるんですよ (kitazawa)
2010-03-15 17:14:35
この記事をアップして数時間後、再び2階の電源がダウンしました。
どうもデッキのプラグだけじゃなく、2階の配線のどこかに異常があるようです。
電気工事屋さんの指示で2階の配線をオフにしたので、今は1階から長ーい延長コードで電気を持ってきてます。
書斎も仕事場も天井の明りがつきません。えーい仕事にならんっっ(困)。
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良い勉強になりました。 (田野中)
2010-03-15 18:31:54
いやはや、私「中性線欠相」なんて言葉、全然知りませんでした。あわてて我が家の配電盤を見にいきました。中性線欠相遮断機能、ついてました。良かった良かった。

北澤組照明担当のはずなのに電気関係にあまり強くない…。(苦笑)

冗談はさておき、北澤さんのおっしゃるとおり、この事例はもっと世間に対して告知されるべきだと思います。責任の所在が今ひとつスッキリしない状況なので、なおさらですよね。

いつもは模型について色々と勉強させていただいていますが、今日はまたひとつ、模型以外のことで大変良い勉強になりました。m(__)m
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一安心 (こぶr酒)
2010-03-16 09:15:07
昨日早速電気御者さんに部材の手配を確認してみました。
中性線欠相遮断機能がついているブレーカーでの手配になっていました。
良かったぁ~、ヤレヤレです。

模型以外でも、今回は大変に良い勉強させて頂きました。
ありがとうございました。
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我が家も(笑) (ばーちぃ)
2010-03-17 00:08:47
心配になって築7年の我が家のブレーカーも覗いてみましたが、対策品でした。ほっ(笑)。
我が家の場合、オール電化であるため、電気が使えないとなると煮炊きも風呂も使えない状態となるため、電気のトラブルは恐ろしいんですよね。
用心のためにもいろいろ勉強した方がいいんですかねぇ。
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