LITTLEWHEEL Modeler's Diary

モデルフィニッシャー北澤志朗が、カーモデル作りに明け暮れる日々の暮らしを赤裸々に綴ります。

マツダ・コスモAP(16)

2011年04月30日 19時17分39秒 | モデルカー製作記


↑透明塩ビ板をヒートプレス加工して窓ガラスを自作しました。

このキット、透明パーツがブロンズ色に着色されているんですね。もともとインテリアが上げ底なので、それを判りにくくするためなのかも知れません。
実車もブロンズガラスだったら、そのままでも良かったんですが、実車の写真を見ると薄い青系のようで、色味はほとんど目立ちません。キットのガラスを使うと、かなり違和感ありです。
でも、ボディとの合わせは悪くないので、それを利用して塩ビを絞ることにしました。今回は途中の写真を撮っておいたので、ちょっと詳しく解説しちゃいます。

↓キットの窓ガラスは4面一体なので、フロントとリアを切り離しました。前後は絞り型にし、側面は塩ビの平板に置き換えます。
型の寸法は、ボディの窓開口部から塩ビの厚みを引いた分ということで、塩ビの厚み0.2mmが両側で0.4mmですが、絞るとどうしてもカドが少し丸くなるのと、ボディの塗装で合わせがキツくなることも考慮して、縦横0.8mmほど小さめに作りました。いつも大体こんな感じです。

そのままだと絞る時にエアの圧力に負けてたわんでしまうので、ポリパテで裏打ちします。パテが乾く前に塩ビ板に押し付けて、そのまま固めてしまえば、裏側がきれいに真っ平らな型が出来上がります。
ガラスの表面には少し歪みがあったので、#600のペーパーで磨いて滑らかにし、コンパウンドをかけて軽く磨いておきました。



↓ヒートプレッサーに掃除機を接続し、その吸引の力で型と塩ビの間の空気を吸い出して絞り加工をおこないます。
型をヒートプレッサー上面の吸引プレートに両面テープで固定します。ある程度、型の高さがあったほうがエッジがシャープに絞れるので、型の裏側に3mmのプラ角棒を2本接着して、ゲタを履かせてあります。
型の周囲は、吸引の圧力がなるべく狭い面積にかかるように、型の近くだけ残してガムテープで塞いでおきました。



↓硬めの段ボール紙で、塩ビ板を固定するフレームを作ります。加熱した塩ビを平らに保つのと同時に、吸引を確実に行なうための「蓋」の役目もするので、フレームの外形は吸引プレートのエアが通る穴よりも縦横30mmくらい大きく、窓は型がギリギリ通るくらいにしておきます。



↓このフレームに、塩ビ板をホチキスで8カ所ほどガッチリとめて、ホットプレートで暖めます。塩ビをホットプレートに直接乗せると、部分的に焼けた跡がついたり泡を吹いたりして汚くなるので、ホットプレートの上に割り箸を2本置いて、その上で塩ビを浮かせて加熱するわけです。
向こう側についているボール紙の出っ張りは、持ち上げるための取っ手です。



↓塩ビがクニャクニャになったら、フレームごと持ち上げて素早く型の上にかぶせ、フレームの四隅をヒートプレッサーに押し付けて密着させつつ掃除機のスイッチをオン! 型と塩ビの間のエアがバビュッ!と吸い出されて、絞り加工完了です。この瞬間が実に気持ちイイんだな。



↓とはいっても、小さなホコリが入り込んだり、真ん中へんの空気が少し残っちゃったり、カドがキレイに絞り切れなかったりで、なかなか上手くいくもんじゃありません。今回は、前後とも5枚絞ってようやく成功。歩留まり悪すぎて商業ベースでの生産は無理だな、コレじゃぁ(笑)。



まあともかく、こうして前後とも、かなり合わせの良い窓ガラスが出来上がりました。

それから、ポリパテで作ったリアコンビ。透明感を塗装で表現するのもイイかなーとか思っていたんですが、せっかくキレイな形に作れたので、やっぱり透明化することにしました。といってもコレは自分でやったワケじゃありません。透明樹脂で大きな物を複製するのは、どうしても泡が入るので難しいんですよね。
そこで、長年の友人であり、この世界では知る人ぞ知るゴム型注型の名人「レジン職人」さんにお願いしました↓



完璧に透明、気泡皆無! いまひとつ透き通って見えないのは、原型の仕上げがテキトーだからで、透明度自体はガラス並みです。表からクリアーカラー、裏からスターブライトシルバーを吹きますから、とりあえずコレで充分。

「レジン職人」さんは、ありがたいことに1個からでも複製してくれますが、あくまで商売じゃなく趣味でやってるので、問い合わせをいただいてもご紹介は一切出来ません。あしからず。ちなみに、今回のコストはおカネで払うのではなく、いずれあちらの製作物(おそらく模型誌の作例)について、何らかのお手伝いをさせていただく、というハナシです。
模型趣味の世界に長くいると、時にこういう人間関係に恵まれることもあります。持つべきものは友達、というわけ。

さて、次回はいよいよボディ塗装。コスモ、真っ赤に染まります。




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3 コメント

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ヒートプレスは楽しいよー (kitazawa)
2011-05-03 11:45:53
バキューム・ヒートプレスをマスターすると、旧いキットも復活させられますし、上半身の改造もためらわずに出来ますし、ホント世界が広がります。
ハンダ付けと並んで、食わず嫌いな人が多いテクニックなんですが、実際には案外簡単なので、楽しんでやっていただきたいと思います。
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Unknown (Limahl)
2011-05-02 19:19:42
花粉と黄砂と散財が怖くて、このG/Wは製作中キットのウインドウパーツのバキュームに集中しよう、と思っていた矢先の絶好のタイミングでの記事、大いに参考にさせてもらっています。
ホットプレートに割り箸でかさ上げして炙るやり方は初見です。
成る程、これなら塩ビやプラ板全面均一に熱が伝わりそうですね、早まらずに良かった(笑
明日はホットプレートを引っぱり出して、出来上がったウインドウパーツを眺めながら、そのまま焼肉でもするとします。
では、両手を真っ赤に染めたコスモAPのボディカラー紹介、次回も楽しみにしてますね。
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いいですね。 (ミゾロギ)
2011-05-02 09:24:35
細かな解説、バキュームは敷居が高いのですが、これが出来ると世界が広がりますね。
レジンパーツも最高。職人さまには私もお世話になっております。
今回の本にも職人さまにいただいた貴重なレジンキットが登場。ロータスの本を作りましたが、素晴らしい出来になりました。静岡に持って行きますね。ぜひご覧ください。
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