伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ112

2019-04-13 23:49:53 | ジャコシカ・・・小説
 
「それじゃ今日から三日間、毎日ここに来て泊まって行っていい」

 「嬉しいよ。多分僕は辛くなると思うけれど、そうしてくれると嬉しいよ」

 「私、高志の食べたいもの何でも作るわ」

 「ありがとう」

 後は何も言えない。


 別れはさばさばしたもので、取り立てて語ることは何もないと思っていた。

 久美も「じゃあね」と言って別れて行った。

 例え初めて知った恋だって、それだけで終わって仕舞った。

 だから話しなど何もない。

 ただ美奈子は最後に、久美とは別の言葉を残した。

 「あなたはやっぱり、ジャコシカだった」

 その言葉は、胸の奥に残った。

 
 今度の行き先もできるだけ遠くへと思った。

 狩勝峠を越え、海の見える街に行きたいと思っている。

 見送る人もいないホームから特急に乗り、ガランと空いた座席の窓際に座ると、さすがに寂莫の

思いに捉われた。

 やはりどんなに言いくるめようとしても、別れには迷いと未練と後悔がまとわり付く。

 美奈子への未練は消しようもなく切ない。

 一体自分は何をやっているのか。

 何の考えもなく、唯ぼんやりとホームを行き交う人々を見ている。


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