伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ129

2019-11-23 11:41:53 | ジャコシカ・・・小説

 

どんなに怒っても、理や義を振りかざしても虚しい世界の話しなのだ。

 

 優美さんは本当に潰されたのだろうか。

 

次第に自分と顔を会わすこともなくなり、ついには姿を消してしまった。

 

しかし彼女には類い稀な才能がある。服飾学校で築いた地歩は失われていない。

 

だからいずれ再び歩き始め、のし上がってくるに違いない。

 

何よりも彼女にはこの仕事に対する、消すことのできない情熱がある。今度のブテック「フロー

 

ラ」の立ち上げで、つくづくそのことの強さを知った。

 

 気が付けば自分はその熱情に引きずられてやって来たのだ。

 

 その彼女が眼の前から姿を消し、突然自分には何もないことに気付かせられた。

 

 そんなはずはないと思いつつも、心の底に拡がる空虚さはどうしょうもない。

 

 思えば自分の心根は邪(よこしま)なのだ。

 

 力は抗いの中から生まれている。

 

 恨みのようでもあり、憎しみかも知れない。そこから生まれる怒りは、いつも何かを攻撃してい

 

ないと落ち着かない。

 

 気がつけば恋すら忌避している。

 

 優美さんと私の決定的な違いがここにある。

 

 

 彼女は人を愛し仕事を愛し自分を信じている。

 

 私にはそれがない。

 

 どういう訳かそんな風に出来ている。

 

いつも見たくもないものを見て、知りたくもないものばかりを識ろうとする。

 

 

 

 

 


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